創薬分析サービスの高度化に向けバイオ分子の新規極微量定量分析システムを導入
~高感度・高精度定量を実現し、バイオ医薬品の研究・技術開発を支援~

【要旨】
株式会社東レリサーチセンター(所在地:東京都中央区日本橋本町一丁目7番2号、社長:真壁芳樹、以下「TRC」)は、ナノフロー液体クロマトグラフィー*1と高分解能質量分析計*2を組み合わせた新規分析システムを国内分析会社で初めて導入し、タンパク質やペプチドをはじめとするバイオ分子の極微量定量分析能力を強化しました。
これにより、生体試料*3中に含まれる微量成分*4を従来よりも高感度かつ高精度に定量できるようになり、薬物動態解析やバイオ医薬品の品質評価において、より信頼性の高いデータ提供が可能となりました。
【背景】
近年、抗体医薬やペプチド医薬などの新規モダリティの拡大に伴い、従来の低分子医薬品に加えて、タンパク質やペプチドなどのバイオ分子(中分子・高分子)の精密な定量分析の重要性が高まっています。これらの分子は構造や挙動が複雑であり、生体試料中では極めて低濃度で存在する場合も多いため、高感度かつ高分解能な分析技術が不可欠です。
特に、薬効評価や安全性評価、品質管理においては、生体試料中の微量成分を高い再現性で定量することが求められており、従来の分析システムでは極低濃度成分に対しては十分な信号強度が得られず、検出が困難であるという課題がありました。
【導入システムによる提供価値】
これに対してTRCは、ナノフロー液体クロマトグラフィーによる高い分離性能と高分解能質量分析計による高質量精度測定を融合し、複雑な生体試料中に含まれる極微量成分の高精度定量を国内分析会社で初めて実現しました。
従来の分析では、感度や分離性能の制約により、生体試料中の極低濃度成分の検出・定量には限界がありましたが、本システムではこれらの課題を大きく改善し、低分子から中分子・高分子までの幅広い分子種を一貫して解析できる分析基盤を確立しています。
こうした技術的進展を従来の分析システムと比較すると、以下の通りです。

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項目 |
従来分析システム |
新規分析システム |
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感度 |
微量成分の検出に制約 |
極微量成分まで高感度に検出可能 |
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分離性能 |
成分の重なりが生じやすい |
複雑試料中でも高い分離性能を実現 |
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微量成分の定量 |
再現性・精度に課題 |
高精度かつ高再現性で定量可能 |
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対応分子範囲 |
主に低分子中心 |
低分子〜中分子・高分子まで対応 |
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創薬への適用 |
薬物動態分野を中心に限定的 |
薬物動態・品質評価・バイオマーカー*5探索まで幅広く対応 |
このように、本システムは単なる分析性能の向上にとどまらず、これまで捉えきれなかった情報を可視化し、創薬プロセスにおける意思決定の高度化に貢献します。
具体的には、生体内での薬剤挙動のより精緻な把握(薬物動態解析の高度化)、バイオ医薬品の品質特性評価の信頼性向上、ならびに極微量バイオマーカーの検出による疾患研究の促進など、研究・技術開発の各段階において高付加価値なデータ提供が可能となります。
【今後の展望】
TRCは、本分析システムを活用し、生体試料中の微量成分解析サービスのさらなる高度化を推進します。今後も最先端分析技術の導入と高度化を通じて、製薬企業および研究機関のニーズに応え、医薬品開発の加速と社会課題の解決に貢献してまいります。
【用語の説明】
*1:ナノフロー液体クロマトグラフィー
極めて低流量で成分を分離する分析手法。試料の希釈を抑えながら分析できるため、微量な成分でも高感度で検出することが可能となり、生体試料中の微量成分分析に適している。
*2:高分解能質量分析計
高分解能かつ高精度で分子の質量を測定できる質量分析計。複雑な試料中の成分を正確に識別・定量できるため、信頼性の高い分析結果の取得に寄与する。
*3:生体試料
血液、血漿、尿など、生体由来の試料。目的成分以外の多くの物質を含むため分析が難しいが、本システムにより複雑な試料中から目的成分を高精度に測定することが可能となる。
*4:微量成分
極めて低濃度で存在する成分。従来は検出や正確な定量が困難であったが、高感度分析技術により信頼性の高い定量が可能となる。
*5:バイオマーカー
疾患の診断や薬効評価に利用される指標となる生体分子。精度よく測定することで、創薬研究や臨床開発における判断精度の向上に寄与する。
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