幾多の世紀を超えて伝説を築き、皇帝を魅了したといわれるジャケ・ドローの置時計「シンギングバード・クロック」が、運命的にも誕生の地へと舞い戻り一般公開されています
ジャケ・ドローの時計修復技術
スイス超高級機械式ブランド、ジャケ・ドローが支援した置時計の修復作業が完了し、現在ヌーシャテル美術歴史博物館の臨時展覧会「3つの時の夢(Rêves en trois temps)」で披露されています。
幾多の世紀を超えて伝説を築き、皇帝を魅了した置時計が、幸運にも誕生の地へと舞い戻りました。ジャケ・ドローの「シンギングバード・クロック(SINGING BIRD CLOCK)」は、時計作りの歴史に残る物語です。
シンギングバードは、彼の得意とする技術のひとつです。そのからくり仕掛けの製造は、豪華な装飾を施した鳥籠の中に、多彩なメロディーを奏でる鳥(多くは原寸大)を演出していました。18世紀から19世紀の流行を反映して、これらの鳥の大半はカナリア(serin)であり、そこから「ラ・セリネット(serinette=鳥風琴)」と名付けられました。
一説によると、ナポレオンは帝国様式のキャビネットにこのオリジナルムーブメントを搭載させ、後に自身の弟と結婚してカトリーヌ・ボナパルトとなる、カタリーナ・フォン・ヴュルテンベルクに贈ったとされています。
このオートマタの製作には、ピエール-ジャケ・ドローの生まれ持った才能に加え、ムーブメント、メロディー、そしてオートマタのデザインや設計、組立て、調整を行う能力を有する高度な専門技術を持つ職人のネットワークが活用されています。「シンギングバード・クロック(SINGING BIRD CLOCK)」は時計作りにおける偉大な時代の証明であり、そのなかでジャケ・ドロー一族は、時計職人としてだけでなく、企業家としても重大な貢献を果たしたのです。またこの置時計は、その時代を席巻した自然主義の魅力も示しています。
今日、修復が完了し、ムーブメント、鳥、ブロンズ装飾、キャビネットが蘇りました。年輪年代学により内側のキャビネットの時代を推定した結果、ピエール-ジャケ・ドローの活動時期と完全に一致する1754年に伐採されたエゾマツが使用されていることが確認されました。したがってマホガニー製キャビネットは、この内側のキャビネットの上に組み立てられていることになります。エジプト回帰様式(Retour d’Egypte)にインスピレーションを受けた、星、パルメット、玉縁のブロンズ装飾は、この置時計が名高いオーナーたちによってキャビネットに修正を加えられ、それぞれの時代を反映するスタイルにアレンジされたことを証明しています。
「シンギングバード・クロック(SINGING BIRD CLOCK)」は、ラ・ショー・ド・フォン国際時計博物館(6月26日~8月26日)および、ヌーシャテル美術歴史博物館(9月4日~10月28日)の臨時展覧会「3つの時の夢(Rêves en trois temps)」で披露された後、ル・ロックル時計博物館(シャトー・デ・モン)のコレクションに戻されます。
11月初旬にル・ロックル時計博物館に返却されるこの置時計は、全面的に修復され、機能や部品も保護されていますが、寿命を長く保つために、厳重な監視のもと今後ごく稀にしか作動されることはありません。この貴重なカナリアの囀りは、創業280年を記念した、ジャケ・ドローの遺産に捧ぐ最高のオマージュです。
«Some watches tell time, some tell a story»
シンギングバード・クロック
シンギングバードは、彼の得意とする技術のひとつです。そのからくり仕掛けの製造は、豪華な装飾を施した鳥籠の中に、多彩なメロディーを奏でる鳥(多くは原寸大)を演出していました。18世紀から19世紀の流行を反映して、これらの鳥の大半はカナリア(serin)であり、そこから「ラ・セリネット(serinette=鳥風琴)」と名付けられました。
シンギングバード
一説によると、ナポレオンは帝国様式のキャビネットにこのオリジナルムーブメントを搭載させ、後に自身の弟と結婚してカトリーヌ・ボナパルトとなる、カタリーナ・フォン・ヴュルテンベルクに贈ったとされています。
このオートマタの製作には、ピエール-ジャケ・ドローの生まれ持った才能に加え、ムーブメント、メロディー、そしてオートマタのデザインや設計、組立て、調整を行う能力を有する高度な専門技術を持つ職人のネットワークが活用されています。「シンギングバード・クロック(SINGING BIRD CLOCK)」は時計作りにおける偉大な時代の証明であり、そのなかでジャケ・ドロー一族は、時計職人としてだけでなく、企業家としても重大な貢献を果たしたのです。またこの置時計は、その時代を席巻した自然主義の魅力も示しています。
今日、修復が完了し、ムーブメント、鳥、ブロンズ装飾、キャビネットが蘇りました。年輪年代学により内側のキャビネットの時代を推定した結果、ピエール-ジャケ・ドローの活動時期と完全に一致する1754年に伐採されたエゾマツが使用されていることが確認されました。したがってマホガニー製キャビネットは、この内側のキャビネットの上に組み立てられていることになります。エジプト回帰様式(Retour d’Egypte)にインスピレーションを受けた、星、パルメット、玉縁のブロンズ装飾は、この置時計が名高いオーナーたちによってキャビネットに修正を加えられ、それぞれの時代を反映するスタイルにアレンジされたことを証明しています。
エジプト回帰様式
「シンギングバード・クロック(SINGING BIRD CLOCK)」は、ラ・ショー・ド・フォン国際時計博物館(6月26日~8月26日)および、ヌーシャテル美術歴史博物館(9月4日~10月28日)の臨時展覧会「3つの時の夢(Rêves en trois temps)」で披露された後、ル・ロックル時計博物館(シャトー・デ・モン)のコレクションに戻されます。
11月初旬にル・ロックル時計博物館に返却されるこの置時計は、全面的に修復され、機能や部品も保護されていますが、寿命を長く保つために、厳重な監視のもと今後ごく稀にしか作動されることはありません。この貴重なカナリアの囀りは、創業280年を記念した、ジャケ・ドローの遺産に捧ぐ最高のオマージュです。
«Some watches tell time, some tell a story»
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