中東・アフリカにおけるスマートフォン市場、2019年第3四半期に成長が鈍化

中東・アフリカ2019年第3四半期スマートフォン市場は、Samsungが29%のシェアでリーダーの座を獲得。一方、Transsion Groupのフィーチャーフォンのシェアは過去最高の77%に到達。

カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチ (英文名: Counterpoint Technology Market Research 以下、カウンターポイント社)は、中東・アフリカ(MEA)地域のスマートフォン市場は、2019年第3四半期に前年同期比2%の緩やかな成長を見せ、また、フィーチャーフォン市場は横ばいという結果になり、携帯端末市場全体では、前年同期比1%の成長となったという調査結果を含むMarket Pulseによる最新調査を発表致しました。
キーとなる国々である、ナイジェリア、エジプト、南アフリカ等を合わせた、中東・アフリカの1/4の売上を占める国々は現在、景気回復の途上にあり、緩やかな経済成長を見せていますが、規制の問題を抱えているということもあり、前年同期比わずか2%というスマートフォン市場の成長鈍化となりました。

カウンターポイント社のアソシエイトディレクターTarun Pathak氏は、スマートフォン市場の成長について以下のようにコメントしています。
「中東・アフリカ市場の各国は、異なる発展段階にあり、それゆえ様々な経済・政治・規制の課題を抱えている。中東・アフリカは世界で3番目に多いインターネットユーザーである5億人超を抱えるものの、その普及度は4割程度と、とても低い。従って、初めてインターネットに触れるユーザー層が、この地域のスマートフォン市場の次なる成長を担うことになるだろう。中東が、伝統的に強力かつ発展を遂げた地域であることに対して、ナミビアやタンザニア等のアフリカの一部の国々には、インターネットアクセスのコストが世界一高額な国々が残っている。この地域格差を埋めるには、キャリア、政府、端末メーカーが、一体となって努力する必要がある。」

カウンターポイント社のリサーチアナリストVarun Mishra氏は、各社の動向について以下のようにコメントしています。
「Transsion Groupのフィーチャーフォン2ブランドであるiTelとTechnoの中東アフリカにおけるシェアは、この四半期に過去最高となった。フィーチャーフォンは、アフリカの主要市場で今でも存在感がある。エントリーレベルのスマートフォン、特に40米ドル未満の機種は、機能が限られており、使い勝手が悪いことに起因する。加えて、データ通信も端末も高価であり、更には、デジタルリテラシー不足等の課題もある為、即座にスマートフォンへ切り替えることに対してユーザーが二の足を踏んでいることも影響している。一方で、スマートフォンについては、SamsungやTecnoなどのメーカーはパートナーを活用してこの地域での事業拡大を狙っている。例えば、Tecnoはナイジェリアで初のフラグシップ店をオープンした。他の中国企業では、Huaweiだけがこの地域で強いプレゼンスがあり、vivo、OPPO、Xiaomiはアフリカへの参入そのものを、あるいは、いかに一定の事業規模を得るかということを、未だ模索中である。旧機種のYシリーズが、今でもよく売れている為、米国の取引禁止は、中東・アフリカ地域でのHuaweiの売上が急減するような影響を与えていない。」

スマート・フィーチャーフォンのジャンルでは、KaiOSがアフリカ市場での成長を続けており、同社はTecno、Vodacomと一緒に、このOSを搭載した新製品を投入しました。同社は既に、中東・アフリカ地域における大手キャリアMTNと、フランスの大手キャリアOrangeとも端末を発売しています。2018年第3四半期と比べると、KaiOSを搭載した端末の出荷はアフリカにおいて600%の成長をみせています。初めてインターネットに触れるユーザー層を取り込む上で、このOSを搭載した機種は重要な役割を果たしていることもある為、この地域ではスマート・フィーチャーフォンにとって期待できる潜在市場と言えます。しかし、端末価格を従来のフィーチャーフォンとなるべく同額に維持することが、スマート・フィーチャーフォンがこの地域で成功するための鍵となるのではないかと私達は予測しています。

図1: 中東アフリカ地域のスマートフォン市場シェア&フィーチャーフォン市場シェア
(左: スマートフォン市場、右: フィーチャーフォン市場)

出典:Counterpoint Research Market Pulse Q3 2019


【市場サマリー】
  • スマートフォンメーカーのトップ5社が58%の市場を占めている。
  • フィーチャーフォンが、この四半期の端末売上全体の37%を占めた。iTelとTecnoを合わせたフィーチャーフォン市場でのシェアは過去最高となった。その理由は、スマートフォンメーカーのロングテールにあたる中小メーカーがアフリカから撤退し始めたことによる。
  • Samsungはスマートフォン市場をリードし、2019年第3四半期はスマートフォン市場の29%を獲得した。Galaxy AシリーズがSamsungの売上の4/5を占め、中でもA10とA20 Coreがベストセラー機種となった。
  • TechnoはHuaweiに取って代わり、市場の第二位の座を獲得し、Spark 3とPop 2 Powerがベストセラー機種となった。
  • Huaweiの売上はYシリーズに頼っており、Huaweiのスマートフォン売上に占めるYシリーズの割合は過去最高の70%となり、前年同期の47%から大きく伸びた。
  • iTelは50米ドル未満のセグメントで強さを維持した。また、Infinixは、34%と、前年同期比最速で成長する企業の一つになり、市場の4%を獲得した。
  • 100米ドル未満のセグメントがスマートフォン市場全体の55%を占めている。高級機(400米ドル以上)は中東・アフリカ地域における出荷数量の6%に過ぎず、しかも、UAEやサウジアラビアなどの発展した国の需要に頼っている。
  • 地域内では発展している中東ではスマートフォン市場は横ばいである。第3四半期には、クウェート、UAE、カタール、バーレーン、サウジアラビア等で5Gサービスが始まった。中東市場では2020年にも5Gが急拡大する可能性はあるが、アフリカ市場ではまだ何年も先のことになるだろう。

包括的かつ詳細なMarket Pulse 2019年第3四半期版は、購読者の皆様に提供中です。詳細な最新調査、分析、プレスリリースに関するお問い合わせは、お気軽にpress(at)counterpointresearch.comまでお問い合わせ下さい。

【カウンターポイント社概要】
Counterpoint Technology Market ResearchはTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化した国際的な調査会社である。主要なテクノロジー企業や金融系の会社に、月報、個別プロジェクト、およびモバイルとハイテク市場についての詳細な分析を提供している。主なアナリストは業界のエキスパートで、平均13年以上の経験をハイテク業界で積んだ経験を持つ。
公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/

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会社概要

URL
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業種
情報通信
本社所在地
20F Central Tower, 28 Queen’s Road Central, Hong Kong
電話番号
-
代表者名
Kyungsoo Kang
上場
未上場
資本金
550万円
設立
2012年05月