アクアリウムの新しい祭典、『第2回 INNOVATE AQUARIUM FESTIVAL』を環境移送ベンチャーイノカが開催 300名のアクアリストと11社のパートナー企業が参加
株式会社イノカ(本社 : 東京都文京区、代表取締役CEO : ⾼倉葉太、以下「イノカ」)は、水生生物飼育者(アクアリスト)の技術をシチズンサイエンスとして結集するべく、2023年12月2日(土)に『INNOVATE AQUARIUM FESTIVAL』(プラチナパートナー:ジェックス株式会社)及び第2回『INNOVATE AQUARIUM AWARD(通称:イノアク)』を開催しました。現地とオンラインを合わせて300名以上が参加し、生き物の持つ力とアクアリストの持つ技術で社会課題を解決する革新的なアイデアを発表し合いました。
本イベントでは『AWARD』部門において96組のアクアリストの応募から選ばれた6組のファイナリストが、好きな生き物の魅力や事業化アイデアを発表しました。会場内では応募者全員が自身の飼育する生き物やそのこだわりについてのパネル展示を行い、意見交換をすることができる交流会が開催されました。
・ファイナリストによるアイデア発表
〈ウミウシの餌を安定供給するため、カイメンの医療への応用と大規模養殖を実現したい〉
ウミウシは多くの種類において餌が判明しておらず、飼育難易度が高いと言われています。ファイナリストのゆすら氏は、これまで45種類の飼育に挑戦し16種類のウミウシの餌を確認しました。そのうち特に安定供給の難しいカイメンという生き物に着目し、カイメンのもつ毒が医療品の開発にも使われていることや、その濾過能力を活かし海洋汚染問題を解決できる可能性について発表しました。その研究のためには生体が大量に必要であり、今回カイメンの大規模養殖事業を提案。栃木精工株式会社と長谷虎紡績株式会社、2社から企業賞を受賞しました。
〈水槽の苔とり屋『オトシンクルス』とアマゾンの環境の魅力を発信〉
アマゾンに生息する小型の魚であるオトシンクルスは、水槽の”苔とり屋”として多くの水槽で飼育されています。ぺんちゃ〜ん氏はオトシンクルス愛好家として、独自の飼育方法で繁殖や色上げに成功するほか、オトシンクルスの種類を判別するAIをご自身で開発されています。今回の提案では、オトシンクルスの生息するアマゾンを訪れた際に確認した多様な環境を再現できる施設開発を提案されました。ぺんちゃ〜ん氏はグランプリ(最優秀賞)と100BANCH/パナソニック賞の2つを受賞。100BANCHにはオトシンクルスの水槽の設置が予定されています。
〈海の生態系を支えるクラゲの定点観測で、海中の状態を予測する〉
水族館でも人気を集めるクラゲは、成体になる前は全く異なる”ポリプ”と呼ばれる姿をしています。ポリプが成体へと変態するための条件や、ポリプを巨大化させる研究を独自に行うファイナリストのかさ氏。衛星からの情報を元に気象を予測するように、海中でクラゲの定点観測をすることで海の中の様子を確認する構想を発表。かさ氏は株式会社アオキシンテックから企業賞を受賞しました。
写真左:質疑応答の際の海遊館 北谷氏 右:株式会社アオキシンテック 青木圭太氏とかさ氏
〈人工”エコトーン”でゲンゴロウが住める田んぼをつくる〉
日本の田んぼや用水路はコンクリート整備が進んでおり、生き物が住みづらい環境になっています。しかし魚が住む田んぼは温室効果ガスのひとつであるメタンガスの排出を大幅に削減するとの先行研究もあります。そこでしん氏は、水と陸という異なる環境が少しづつ変化しながら接する「エコトーン」という場所を人工的に設置し、生き物が増える環境を作るという計画を発表しました。しん氏は竹田設計工業株式会社から企業賞を受賞しました。
〈繁殖方法を確立し、遅れているサメの研究を進めたい。〉
諸貫優人氏は、自宅に1500ℓ水槽を所有し7種類(発表時点)のサメを飼育するサメ愛好家。餌の準備には48時間の下拵えと2時間の調理を施すなど独自の飼育を自宅で行っています。サメは性成熟に時間がかかり繁殖が難しいなどの理由から、サンプルや基礎情報が不足し研究が進んでいないという問題があります。サメの魅力や研究を進める必要性について発表し、フードテクノエンジニアリング株式会社から企業賞を受賞しました。
〈マリンボトルアクアリウムという趣味から始まる体験型プロジェクト〉
園原信也氏、大塚英世氏、ichi氏3名のチームは、小さな水槽内に海の中の世界を再現する「海藻レイアウト水槽」の魅力をSNSで広く発信しています。海藻そのものの魅力や独自の飼育理論、そして企業や地域を巻き込んだ大規模な構想を発表しました。園原氏がプレゼンテーションをする中、ステージ横では大塚さんが実際に水槽を一から作り上げるライブパフォーマンスを披露。この水槽は交流会でも参加者の注目を集め、ジェックス株式会社と大成生コン株式会社の2社から企業賞を受賞しました。
・交流会とポスター展示
エントリーした参加者が全員ポスターを展示し、審査員やパートナー企業も交えた交流や意見交換が行われました。参加者が作成したポスターに登場する生き物の種類数は海水・淡水の垣根を超えて約100種類にのぼりました。
・イベント開催の背景
イノカは、2030年までに世界での市場規模が約500兆円に達すると見込まれる「ブルーエコノミー」の拡大を牽引すべく、日本が有する固有の海洋・河川湖沼生物多様性を重要な資源と捉えています。これらの貴重な資源の保全を目指すことはもちろんのこと、医薬品や化学品、化粧品、食料品をはじめとする研究開発での利用を促進することにより、将来的なグローバル競争力の源泉とすることを目指しています。
イノカのコアテクノロジーである「環境移送技術」は天然海水を使わず、水質(30以上の微量元素の溶存濃度)をはじめ、水温・水流・照明環境・微生物を含んだ様々な生物の関係性など、多岐にわたる要素を考慮しながら、自社で開発したIoTデバイスを用いて、任意の生態系を水槽内に再現するイノカ独自の技術です。この技術も、弊社取締役CAO(Chief Aquarium Officer)増田が個人の趣味で行っていたサンゴ礁生態系のアクアリウムの技術や知見と、弊社代表の高倉が持っていたAI・IoTの技術を掛け合わせることで誕生しました。
INNOVATE AQUARIUM FESTIVALの開催目的やビジョンを話すイノカCEO高倉
イノカは、アクアリスト達の水槽内での生き物の長期飼育や繁殖方法確立といった技術や知見が「市民科学」としての可能性を秘めていると確信しております。そうした人々を”生態圏エンジニア”と定義し、本イベントでは、アクアリストの技術や知見の発掘を目的としております。水環境の問題に関心のあるパートナー企業12社にも協力いただき、各企業の取り組みとマッチングできそうな生態圏エンジニアを発掘し、研究開発やサステナビリティ活動とのコラボレーション事業もプロデュースしてまいります。
・開催概要
日時:2023年12月2日(土)
場所:100BANCH
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3-27-1
渋谷駅南口から徒歩5分
特別審査員:桝太一氏(同志社大学ハリス理化学研究所)、鈴木香里武氏(幼魚水族館館長)、北谷佳万氏(海遊館 魚類展示チームサブマネージャー)
パートナー企業:
プラチナパートナー ジェックス株式会社
ゴールドパートナー アオキシンテック株式会社、大成生コン株式会社、竹田設計工業株式会社、栃木精工株式会社、長谷虎紡績株式会社、100BANCH、フードテクノエンジニアリング株式会社
シルバーパートナー 神畑養魚株式会社、JFEスチール株式会社、ロート製薬株式会社
共催団体 2030生物多様性枠組実現日本会議(J-GBF)
特別協力 海遊館
・今後の展望
今回の受賞者及び参加者とパートナー企業とのマッチングを行い、生き物の持つ力とアクアリストの技術で社会課題を解決するプロジェクトをイノカが中心となってプロデュースして参ります。
またアクアリストの技術や知見にスポットを当てた『AWARD部門』及び生物・環境系の部活に所属する学生を対象に新設された『EGG部門』は継続して開催して参ります。次回(11月〜12月頃を予定)は東京と大阪の2箇所開催にイベントを拡大し、水生生物に限らずアクアリウムにあらゆる角度から着目したコンテンツの創出を目指します。
・株式会社イノカについて
イノカは「人と自然が共生する世界をつくる」ことをビジョンに掲げ、国内有数のサンゴ飼育技術を持つアクアリスト(水棲生物の飼育者)と、東京大学でAI研究を行っていたエンジニアがタッグを組み2019年に創業したベンチャー企業です。
「自分たちの好きな自然をみつづける」をフィロソフィーに、自然を愛し、好奇心に基づいて飼育研究を行う人々の力と、IoT・AI技術を組み合わせることで、任意の生態系を水槽内に再現する『環境移送技術』の研究開発を推進しています。2022年2月には世界初となるサンゴの人工産卵実験に成功しました。
当社は、遺伝資源を含む海洋生物多様性の価値を持続可能にすることを目的として、「自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:以下「TNFD」)」の「TNFDデータカタリスト」にも参画しています。
会社名 株式会社イノカ
代表者 代表取締役CEO 高倉 葉太
設立 2019年4月
所在地 東京都文京区後楽2丁目3番地21号
・お問い合わせ先
株式会社イノカ 『INNOVATE AQUARIUM AWARD』運営事務局
Mail: innoawa_manage@innoqua.jp
公式サイト:https://fes.innoqua.jp
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