安八町の子どもたちが世界のHEROに
青少年健全育成講演会で「誰一人取り残されない世界」を考える
2025年11月29日
特定非営利活動法人 なかよし学園プロジェクト
安八町から世界へ “人権を学ぶ”から“行動する”へ
特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト(代表:中村雄一/千葉県松戸市)は、2025年11月29日(土)、岐阜県安八町・中央公民館大ホールで開催された「青少年健全育成講演会・シンポジウム」において、代表・中村雄一が講演「誰一人取り残されない世界~安八町から世界へ発信~」を行いました。
なかよし学園はこれまで、安八町内の小中学校と連携し、「世界とつながる学び」や防災教育、国際協力学習を実施。今回はその1年間の歩みを町民と共有し、「人権は『学ぶ』だけでなく、行動に移してこそ力になる」というメッセージを届けました。

世界10か国の現場とつながる安八の子どもたち
講演では、南スーダンの洪水被害やコンゴ民主共和国の避難民キャンプ、カンボジアの地雷原、シリアやルワンダの紛争・ジェノサイドの歴史など、なかよし学園が支援を続ける地域の写真や動画を紹介。
「戦後50年のカンボジア」「戦後0年のシリア」といったキーワードとともに、日本の子どもたちと同世代の子が、学校に通えなかったり、食糧や安全な場所を必要としている現状を伝えました。
子どもたちは真剣な表情で映像を見つめながら、
「戦争がこわい。なくなってほしい」
「他の国がどれだけ困っているか、初めて実感した」
と感想を寄せ、ニュースの向こう側にいる“誰か”の存在を自分ごととして受け止めました。



結小学校の防災BOOK・防災バッグが世界の教室へ
今回の講演会の大きなハイライトは、安八町立結小学校の児童代表がステージに立ち、自分たちの探究の成果である「防災BOOK」と「防災バッグ」を、世界の子どもたちへの教材として中村代表に託した場面です。




結小学校では、「願うだけでなく、行動に移すことが大切」というメッセージを受け、「知る→考える→動いてみる」の3ステップを大切に学習を進めてきました。
・地元の水害・地震の歴史を調べる
・自分たちにできる備えを話し合う
・使わなくなったランドセルや通学かばんを集め、防災バッグにリメイク
・新聞紙で作る防災スリッパなど、子どもでも実践できる工夫をまとめた「防災BOOK」を制作



これらの教材は、今後なかよし学園が訪問するアフリカやアジアの学校で、防災教育の教材として活用される予定です。結小の児童からは、
「自分たちが作ったもので世界の誰かの役に立てたと思うと、HEROになれた気がする」
「ニュースの世界を身近に感じた。祈るだけじゃなく、行動できてうれしい」
といった声があがりました。

教職員・町からの声:「遠く」と「身近」を往復する学び
防災学習を担当した安田圭右教諭は、
「目的が明確になったことで、子どもたちの意欲が一気に高まりました。自分たちの防災BOOKや防災バッグがどこへ届き、どんなふうに使われるのかを想像しながら、先生も子どももワクワクしながら準備を進めました。」
と語ります。

講演会を主催した安八町青少年育成町民会議の取り組みとして、町全体が子どもたちの挑戦を見守り、「遠くの世界」と「身近な地域」を往復しながら学ぶ土壌が育ちつつあります。
「知る・考える・動く」が子どもたちのHEROスイッチを押す
結小学校 校長 中野由美
今日の講演の中は、大人の私たちが今何ができるかを考える大変貴重な機会になりました。中村先生が小学校で講演をされた時に、「HEROは特別な人ではない。君たちがHEROになれるんだ」という大変力強いお言葉を頂いたのを覚えています。
はじめは、子どもも担任もそんなことができるんだろうか。と思っていました。 けれども、「願うだけでなく行動に移すことが一番大切」と伺って、そうか、と思いました。
子供たちにはいっぱい願いがあります。お友達と仲良くなりたい。家族と幸せになりたい。いろんな願いがあるんだけれども それが世界の人も幸せにしたい。 そんなところまで願いが広がったらどんなに素敵なことだろう。と思いました。 そして、願うだけでなく行動に移すことが、ちいさな子どもでもできる。そう背中を押すを学校でもやってみようと思いました。

学校で大切にしたのは、まず3点です。 まず1つ目は、「知る」ということを大切にすること。もちろん世界のことも大切ですが、今自分がいる町が、学校、お友達がどうなのかという身近なところに目を向けて、「まちの良さやお友達・仲間の良さに気付いて、遠くも知る。身近も知る。」 世界のことも大切ですけれども、毎日の生活の中で、お友達のことや町の良さを価値づけるようにしていきました。 二つ目に大切にしたことは、「考える」ということです。「何かできるかな?」と考えるんだけれども、「何ができるか」 具体的に考えることが大切ということも、先生たちに伝えました。「何かしたい」ではなく「何ができるか」具体的に考える子供達にしたいと思いました。
そして、 考えたあとは三つ目の「実際にやってみる。 動いてみる。」


「知る」「考える」「動いてみる」の3つのことを、どの学年でも大切にすることで、子どもたちが変わってきたと思います。 このようなことができたのは、中村先生が「君たちにもできる!」と力強い言葉を頂いたからだと思っています。そして、実際に動いた。
今日の講演で、アサガオのことをご紹介頂きましたが、子どもたちが日常の中で、アサガオのたねをまき、花が咲くまで毎日お水をやって育てたのですが、それができるのがどんなに幸せなことか。を知りました。それは、世界の色んな国で花が咲かない場所がある。地雷があって 立ちいれない場所がある。それを知ることで、目の前のタネがあって水をやれる幸せ、花が咲く幸せを知りました。この幸せを、世界の同じ年代の子たちに伝えるには、どうすれば良いのだろう。と考えました。そして、「押し花にして、この花の美しさを伝えよう!花の美しさを知った子どもたちは、きっとタネをまくだろう」そう考えて、実際に動きました。

この「知る」「考える」「動く」ということが、子どもたちの「自分たちには誰かを幸せにする力がある」という”自信”につながって、いったんだろうと思います。 遠くの誰かを幸せにする力があるということは、目の前の身近な人を幸せにすることができるんじゃないか。そういうことを大人が声をかけることで、「じゃあ、身近な人の幸せのために、自分は何ができるんだろう。」と考えるようになりました。「遠く」と「身近」を繰り返し考え、動くことで、子どもたちは、「誰かを幸せにすることができる自分なんだ」と自信をつけていきました。
そして、その自信は学校の明るさになっていきました。地域の方から、最近「結小学校の子ども達が明るいですね」という声をいただきます。その明るさというのは きっと子どもたちが「自分には誰かを幸せにする力がある。自分でもできることがあるんだ」って気づいたからだと思います。 今日の講演会は「誰一人取り残されない」ということがテーマでしたけれども、 そのためには 大人一人一人が子供の個性を大切にして、子どもの可能性を信じて、やりたいと言ったことに対して、背中を押してあげること。そして、広い世界があることを、大人の私たち自身も知りながら、一人ではできないことを、手を繋いでできるようなそんな町にしていくことが大切だと今日の講演会では学びました。
ふるさと安八の良さに気付いて、その中で生きる自分を大切に、仲間を大切に。そういう日常の中で、いつか世界を幸せにする。そんな子どもたちが育つ安八町にしたいと今日は感じました。本日は、本当にありがとうございました。
代表・中村雄一メッセージ
「安八の子どもたちは、もう“平和を願う側”ではなく、“平和をつくる側”に立っています。
押し花や防災バッグ、絵本や歌――どんな小さな一歩も、世界では確かな変化になります。
これからも、安八で育ったHEROたちと一緒に、『誰一人取り残されない世界』を現実にしていきたいと思います。」

今後の展開
なかよし学園は、結小学校の防災BOOK・防災バッグをはじめ、安八町の子どもたちが生み出した教材を、2026年以降の海外授業で順次実装していきます。また、オンライン交流や現地からのフィードバック講演を通じて、「届ける→喜ばれる→学びが還ってくる」というCoRe Loop型の学びを、安八町とともにさらに発展させる予定です。
団体概要
特定非営利活動法人 なかよし学園プロジェクト
代表者:理事長 中村 雄一
所在地:千葉県松戸市
活動内容:
・世界10カ国の紛争地・貧困地域での教育・人道支援
・日本全国の学校と海外の現場をつなぐ「世界とつながる学び」プロジェクト運営
・国際連合経済社会理事会、ACUNS学術会議、ウィンザー城などでの平和教育発信 ほか
お問い合わせ先
特定非営利活動法人 なかよし学園プロジェクト
担当:中村 里英
E-mail:nakayoshigakuen.office@gmail.com
URL:http://www.nakayoshigakuen.net/npo/
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