<ダイキン『第25回 現代人の空気感調査』>令和の東京の夏は昭和・平成より50日長くなる!?昭和・平成の空気感の変遷から見る令和の東京の夏の行方
東京生まれ・東京育ちの男女500人に聞いた「令和元年 東京の夏の空気感調査」
ダイキン工業株式会社は、東京生まれ・東京育ちの男女500人を対象に、昭和・平成における東京の夏の空気感の変遷と令和の空気感について聞く「令和元年 東京の夏の空気感調査」を実施しました。現代人の空気感調査は、“空気”に関する現代人の意識や課題を浮き彫りにし、日頃意識されにくい“空気”について多くの方々に興味と関心をもっていただくことを目的として、2002年から実施しています。
今年、約30年間の平成の時代が幕を閉じ、令和の時代が始まりました。昭和・平成に続く令和の空気はどのようなものになり、それに伴い私たちの暮らしはどう変わっていくことになるのでしょうか。近年の日本の夏は、記録的な猛暑、酷暑が続いていることもあり、令和初となる2019年の夏の行方が気になるところです。
そこで、25回目となる今回の空気感調査では、今後、より多くの外国人が訪れ、ますます世界からの注目が集まるであろう“東京”の夏の空気感の変遷とエアコンとの付き合い方について、現在と過去(回答者が小学生・10歳の頃)を比較する形で調査を行いました。その結果、多くの人が現在の東京の夏の暑さは、「耐えられないくらいの暑さ」「命の危険を感じる暑さ」だと感じており、暑さの要因は気温の高さよりも、湿度(しつど)の高さにあると考えている人が多いということが分かりました。また、現在の夏の期間は過去に比べて平均で約50日長くなっていると感じられており、多くの人にとって以前は「なくても困らないもの」だったエアコンが、現在はないと困る「生活必需品」だと考えられていることが分かりました。さらに、東京生まれ・東京育ちの人から外国人旅行者に向けた、東京の夏を快適に過ごすためのアドバイスもご紹介します。
本調査の主な結果は以下の通りです。
■東京の夏の暑さは「耐えられないくらいの暑さ」「命の危険を感じる暑さ」
東京生まれ・東京育ちの人は、東京の夏はどれくらい暑いと感じているのでしょうか。「あなたは、最近の東京の夏の暑さについて、どのように感じていますか」と聞いたところ、約4割(43.6%)が「耐えられないくらいの暑さ」、約2割(21.6%)が「命の危険を感じる暑さ」と回答しました(図1)。この2つを合わせた6割以上(65.2%)の人が、最近の東京の夏を“普通の暑さではない”と感じているといえます。また意外なことに、男性よりも女性の方が「耐えられないくらいの暑さ」「命の危険を感じる暑さ」を感じている割合が高く、東京の夏は特に女性にとって厳しい季節と言えそうです。
それでは、東京の夏の気温は実際に上がっているのでしょうか。東京の夏日(日最高気温が25℃以上)、真夏日(日最高気温が30℃以上)、猛暑日(日最高気温が35℃以上)、熱帯夜*1(日最低気温が25℃以上)の日数の経年変化を見ると、いずれも右肩上がりで、東京は過去に経験したことのない夏の暑さを今なお更新し続けていることが分かります(図2)。
■東京の夏が暑いのは「湿度(しつど)が高いから」が最多(70.6%)
最近の東京の夏の気温が高いことは事実ですが、暑く感じるのは気温が高いからだけなのでしょうか。「あなたは、最近の東京の夏が暑いのはなぜだと思いますか」と聞いたところ、最も多かったのは「湿度(しつど)が高いから」(70.6%)で、「気温が高いから」(68.2%)を上回る結果となりました(図3)。
そこで、東京の夏(8月)の平均相対湿度(しつど)の推移を見ると、昭和25年(1950年)から減少~横ばいで推移していましたが、平成19年(2007年)頃からは上昇に転じています(図4)。つまり、最近の東京の夏の暑さは、温度の上昇に加えて、この湿度(しつど)の上昇が関係しているものと推測されます。東京生まれ・東京育ちの人たちは、東京の夏の湿度(しつど)の高さを敏感に感じ取っていると言えそうです。
■令和の東京の夏は昭和・平成よりも50日長くなり100日間に!?
東京の夏は、命の危険を感じるような、耐えられないくらいの暑さだと感じられていますが、昔はどうだったのでしょうか。「あなたは、東京の夏の期間はいつからいつまでだと思いますか」と、小学生の頃(10歳頃)の東京の夏について聞いたところ、各年代に大差なく夏の始まりは「6月下旬~7月上旬」、終わりは「8月中旬~下旬」で、昭和35年~平成21年の東京の夏は約50日間だと思われていたことが分かります。また、現在の夏についても同様に聞いたところ、現在の夏の始まりは「6月上旬~中旬」、終わりは「9月中旬~下旬」で、夏の期間は約100日間だと思われていました。東京の夏は昭和・平成の夏と比べて約50日も長くなったと思われている(始まりが約20日早く、終わりが約30日遅くなった)ということになります(表1、図5、6)。
昭和・平成と比べて体感で約50日長くなった東京の夏ですが、夏の期間と感じている6月~9月は、実際に暑く、そして長くなっているのでしょうか。縦軸に年(昭和35年~平成30年)、横軸に日(6月1日~9月30日)をとって平均気温の推移を見ると、時代が進むほど(下に行くほど)平均気温が高いことを示す黄色やオレンジ、赤の四角が増え、それと同時にその範囲が左右に広がっていくことが分かります(図7)。つまり、東京の夏は体感だけでなく、平均気温の推移から見ても、年々暑く、その期間はじわじわと長くなっているといえます。
■平成の猛暑を経た令和の東京の夏は「不快になる」が約7割(66.6%)
気温、湿度(しつど)が高く、長期化傾向にある東京の夏ですが、平成の猛暑を経た令和の夏はどうなっていくのでしょうか。「あなたは、令和の東京の夏の空気はどうなっていくと思いますか」と聞いたところ、「とても不快になる」(25.4%)、「どちらかというと不快になる」(41.2%)で、合わせて約7割(66.6%)の人が、令和の東京の夏が「不快になる」と考えていることが分かりました(図8)。東京生まれ・東京育ちの人は、東京の厳しい夏が今後も続くことをすでに覚悟しているのかもしれません。
令和の東京の夏の空気を「不快になる」と考える人が多い一方で、少数ではあるものの20~30歳代を中心に「快適になる」と考える人も存在しています。それらの人に「令和の東京の夏の空気が快適になると思うのはなぜですか」と聞いたところ、最も多かったは「エアコンなどの設備や建物の性能向上、技術の進化が期待できるから」(81.3%)でした(図9)。若い世代はAIやIoTによるイノベーションを身近なものとして感じていることもあり、令和の夏もエアコンをはじめとする空調機器や建物の進化を通じて快適に過ごせる、過ごしたいという前向きな願望を込めて答えてくれたのかもしれません。
■初めてエアコンがついた際のエピソード「家族みんなでエアコンの吹き出し口の下で涼んだ」
■東京の夏を過ごす上で、エアコンは「なくても困らないもの」から、ないと困る「生活必需品」に
初めてエアコンがついた際に家族にとって特別な存在だったエアコンですが、その存在感は時代とともにどのように変化しているのでしょうか。「東京の夏を過ごす上で、エアコンはあなたにとってどんな存在ですか」という設問で、現在と小学生の頃(10歳頃)のエアコンに対する認識を聞き、昭和から令和までの変遷をたどりました。その結果、エアコンは昭和35~44年には98.0%が「なくても困らないもの」(「なくても全く困らないもの」と「あった方がいいが、なくても困らないもの」の計)と考えられていましたが、現在(2019年)は「生活必需品(ないと困るもの)」が約9割(86.4%)を占め、東京の夏を過ごす上でエアコンはなくてはならない生活インフラとして存在していることが分かりました(図11)。
■広がる「つけっぱなし運転」 就寝時のつけっぱなし運転実施率は5割超(54.7%)
エアコンが普及し、東京の夏が変化する中でエアコンの存在感が変わってきたように、エアコンの省エネ性、機能性の向上に伴い、その使い方にも変化の兆しが見られます。夏場のエアコンのつけっぱなし運転について、「夏場のエアコンの使い方としてつけっぱなし運転をすることがありましたか」と、「就寝時」、「短時間の外出中」、「24時間」の3つについて、小学生の頃(10歳頃)と現在における実施経験の有無を聞き、昭和・平成・令和における変遷をたどりました。その結果、いずれのつけっぱなし運転も平成2年(1990年)頃から増え始め、現在、就寝時のつけっぱなし運転の実施率は54.7%、短時間の外出中のつけっぱなし運転は46.9%に達していることが分かりました(図12)。24時間のつけっぱなし運転の実施率は20.4%とそれほど高くはありませんが、他のつけっぱなし運転が増えていることから考えると、その実施率は今後増えていくものと推測されます。
■夏場のエアコンの設定温度 男性は25℃、女性は27℃が最多
つけっぱなしという、新しいエアコンの使い方が広がる一方で、最も基本的な使い方といえる温度設定は現在どうなっているのでしょうか。「あなたのご自宅における夏場のエアコンの設定温度は何度ですか」と聞いたところ、男性は25℃(22.5%)、女性は27℃(28.0%)が最多となりました(図13)。なお、世代別に平均設定温度を算出すると、全ての世代で女性の方が高くなっていました(表2)。
■東京の夏を感じるスポットは「隅田川」「東京湾の屋形船」「神宮球場」
東京にはさまざまな観光スポットがあり、国内外から多くの観光客が訪れますが、東京生まれ・東京育ちの東京人にとって東京の夏を感じるスポットといえばどこなのでしょうか。「あなたは、東京の夏を感じたり、思い浮かべたりするスポットといえばどこだと思いますか」と聞いたところ、全ての世代で1位に挙げられたのは「隅田川」で、「東京湾の屋形船」、「神宮球場」が続きます(表3)。東京というと、都市のイメージが強くありますが、夏を感じるスポットとしては、隅田川花火大会や神宮外苑花火大会などの伝統的な花火大会が開催される場所や水辺のアクティビティを楽しめる場所などが人気と言えそうです。
■東京の夏の良いところ、自慢できることは、「花火」「夏祭り」「風鈴、すだれ」、そして「空調が整備された快適な屋内空間」
外国人観光客が増加し、東京に対する世界の注目が今後さらに高まると予想される中で、令和に東京を訪れる外国人に向けて、「東京の夏の良いところを自慢とするとしたら、何をアピールしますか」と自由回答形式で聞いたところ、「花火大会」や「夏祭り」などのイベントへの参加や、「風鈴やすだれで涼をとる」といった風情のある過ごし方をすすめる声が多く寄せられました。
■東京生まれ・東京育ちの人が外国人旅行者におすすめする東京の暑さ対策
第1位は「街中にある自販機やコンビニでこまめな水分補給」(45.0%)
近年の東京の夏は、東京生まれ・東京育ちの人にとっても厳しい季節です。そこで、「令和に東京を訪れる外国人旅行者に向けて、東京の夏を快適に過ごす、おすすめの暑さ対策やグッズがあれば教えてください」と聞いたところ、最も多かったのは「街中にある自販機やコンビニでこまめな水分補給」(45.0%)で、次いで「日傘」(40.0%)、「日中は屋外での活動は控える」(35.2%)、「汗拭きシート」(33.6%)、「速乾性のある機能性インナーの着用」(30.8%)などのグッズが続きます(図14)。日本は世界有数のコンビニ大国、自販機大国であり、また日傘は世界でも珍しい暑さ対策グッズだと言われており、外国人旅行者におすすめする東京の暑さ対策の上位には日本ならではの対策が挙げられました。
< 参考資料「調査対象者が生まれた年代と主な出来事」>
東京生まれ・東京育ちの男女500人に聞いた「令和元年 東京の夏の空気感調査」は、世代毎に、現在と小学生頃(10歳頃)について聞くことで、東京の空気感の変遷を調べた調査です。
【調査概要】
■表題 :東京生まれ・東京育ちの男女500人に聞いた「令和元年 東京の夏の空気感調査」
■調査主体:ダイキン工業株式会社
■調査実施:株式会社マクロミル
■調査方法:アンケート調査(インターネット調査による)
■調査期間:2019年6月28日(金)~6月29日(土)
■調査対象:東京生まれ・東京育ちの男女
■対象内訳:調査対象の内訳は下表の通り
■備考:図表の構成比は四捨五入しているため、構成比の和が100%にならない場合があります。
【過去に実施した“東京の夏“に関する「現代人の空気感調査」のご紹介】
■第24回 東京在住の外国人150人に聞いた「東京の夏の暑さとスポーツ」に関する意識調査(2018年10月)
2020年を前に外国人が感じた“東京の夏”の課題は「湿度」
高温多湿な東京の夏は「湿度」対策をして安全・快適に過ごそう
https://www.daikin.co.jp/air/knowledge/library/vol24/index.html
■第21回 外国人に聞いた「東京の夏のビジネスシーン」に関する意識調査(2015年7月)
東京の夏、クールビズだけどクールじゃない!?
外国人のクールビズ、8割が実施するも徹底できていないことに不満
https://www.daikin.co.jp/air/knowledge/library/vol21/index.html
■第20回 外国人に聞いた「東京の夏の暑さ」に関する意識調査(2014年7月)
9割が自国より暑い…。外国人は東京の夏をどう感じている!?
https://www.daikin.co.jp/air/knowledge/library/vol20/index.html
今年、約30年間の平成の時代が幕を閉じ、令和の時代が始まりました。昭和・平成に続く令和の空気はどのようなものになり、それに伴い私たちの暮らしはどう変わっていくことになるのでしょうか。近年の日本の夏は、記録的な猛暑、酷暑が続いていることもあり、令和初となる2019年の夏の行方が気になるところです。
そこで、25回目となる今回の空気感調査では、今後、より多くの外国人が訪れ、ますます世界からの注目が集まるであろう“東京”の夏の空気感の変遷とエアコンとの付き合い方について、現在と過去(回答者が小学生・10歳の頃)を比較する形で調査を行いました。その結果、多くの人が現在の東京の夏の暑さは、「耐えられないくらいの暑さ」「命の危険を感じる暑さ」だと感じており、暑さの要因は気温の高さよりも、湿度(しつど)の高さにあると考えている人が多いということが分かりました。また、現在の夏の期間は過去に比べて平均で約50日長くなっていると感じられており、多くの人にとって以前は「なくても困らないもの」だったエアコンが、現在はないと困る「生活必需品」だと考えられていることが分かりました。さらに、東京生まれ・東京育ちの人から外国人旅行者に向けた、東京の夏を快適に過ごすためのアドバイスもご紹介します。
本調査の主な結果は以下の通りです。
■東京の夏の暑さは「耐えられないくらいの暑さ」「命の危険を感じる暑さ」
東京生まれ・東京育ちの人は、東京の夏はどれくらい暑いと感じているのでしょうか。「あなたは、最近の東京の夏の暑さについて、どのように感じていますか」と聞いたところ、約4割(43.6%)が「耐えられないくらいの暑さ」、約2割(21.6%)が「命の危険を感じる暑さ」と回答しました(図1)。この2つを合わせた6割以上(65.2%)の人が、最近の東京の夏を“普通の暑さではない”と感じているといえます。また意外なことに、男性よりも女性の方が「耐えられないくらいの暑さ」「命の危険を感じる暑さ」を感じている割合が高く、東京の夏は特に女性にとって厳しい季節と言えそうです。
それでは、東京の夏の気温は実際に上がっているのでしょうか。東京の夏日(日最高気温が25℃以上)、真夏日(日最高気温が30℃以上)、猛暑日(日最高気温が35℃以上)、熱帯夜*1(日最低気温が25℃以上)の日数の経年変化を見ると、いずれも右肩上がりで、東京は過去に経験したことのない夏の暑さを今なお更新し続けていることが分かります(図2)。
*1 熱帯夜は、通常は夜間の最低気温が25℃以上を指しますが、ここでは日最低気温が25℃以上の日を便宜的に熱帯夜と定義し集計しています。
■東京の夏が暑いのは「湿度(しつど)が高いから」が最多(70.6%)
最近の東京の夏の気温が高いことは事実ですが、暑く感じるのは気温が高いからだけなのでしょうか。「あなたは、最近の東京の夏が暑いのはなぜだと思いますか」と聞いたところ、最も多かったのは「湿度(しつど)が高いから」(70.6%)で、「気温が高いから」(68.2%)を上回る結果となりました(図3)。
そこで、東京の夏(8月)の平均相対湿度(しつど)の推移を見ると、昭和25年(1950年)から減少~横ばいで推移していましたが、平成19年(2007年)頃からは上昇に転じています(図4)。つまり、最近の東京の夏の暑さは、温度の上昇に加えて、この湿度(しつど)の上昇が関係しているものと推測されます。東京生まれ・東京育ちの人たちは、東京の夏の湿度(しつど)の高さを敏感に感じ取っていると言えそうです。
■令和の東京の夏は昭和・平成よりも50日長くなり100日間に!?
東京の夏は、命の危険を感じるような、耐えられないくらいの暑さだと感じられていますが、昔はどうだったのでしょうか。「あなたは、東京の夏の期間はいつからいつまでだと思いますか」と、小学生の頃(10歳頃)の東京の夏について聞いたところ、各年代に大差なく夏の始まりは「6月下旬~7月上旬」、終わりは「8月中旬~下旬」で、昭和35年~平成21年の東京の夏は約50日間だと思われていたことが分かります。また、現在の夏についても同様に聞いたところ、現在の夏の始まりは「6月上旬~中旬」、終わりは「9月中旬~下旬」で、夏の期間は約100日間だと思われていました。東京の夏は昭和・平成の夏と比べて約50日も長くなったと思われている(始まりが約20日早く、終わりが約30日遅くなった)ということになります(表1、図5、6)。
昭和・平成と比べて体感で約50日長くなった東京の夏ですが、夏の期間と感じている6月~9月は、実際に暑く、そして長くなっているのでしょうか。縦軸に年(昭和35年~平成30年)、横軸に日(6月1日~9月30日)をとって平均気温の推移を見ると、時代が進むほど(下に行くほど)平均気温が高いことを示す黄色やオレンジ、赤の四角が増え、それと同時にその範囲が左右に広がっていくことが分かります(図7)。つまり、東京の夏は体感だけでなく、平均気温の推移から見ても、年々暑く、その期間はじわじわと長くなっているといえます。
■平成の猛暑を経た令和の東京の夏は「不快になる」が約7割(66.6%)
気温、湿度(しつど)が高く、長期化傾向にある東京の夏ですが、平成の猛暑を経た令和の夏はどうなっていくのでしょうか。「あなたは、令和の東京の夏の空気はどうなっていくと思いますか」と聞いたところ、「とても不快になる」(25.4%)、「どちらかというと不快になる」(41.2%)で、合わせて約7割(66.6%)の人が、令和の東京の夏が「不快になる」と考えていることが分かりました(図8)。東京生まれ・東京育ちの人は、東京の厳しい夏が今後も続くことをすでに覚悟しているのかもしれません。
令和の東京の夏の空気を「不快になる」と考える人が多い一方で、少数ではあるものの20~30歳代を中心に「快適になる」と考える人も存在しています。それらの人に「令和の東京の夏の空気が快適になると思うのはなぜですか」と聞いたところ、最も多かったは「エアコンなどの設備や建物の性能向上、技術の進化が期待できるから」(81.3%)でした(図9)。若い世代はAIやIoTによるイノベーションを身近なものとして感じていることもあり、令和の夏もエアコンをはじめとする空調機器や建物の進化を通じて快適に過ごせる、過ごしたいという前向きな願望を込めて答えてくれたのかもしれません。
■初めてエアコンがついた際のエピソード「家族みんなでエアコンの吹き出し口の下で涼んだ」
内閣府の「消費動向調査」によるとエアコンの普及率は現在90.6%(平成31年3月/2人以上の世帯)で、多くの家庭にエアコンが設置されている状況にあります(図10)。一方で、現在の50~60歳代が小学生の頃(10歳頃)、昭和30~40年代における普及率は10%程度で、家にエアコンがないのが当たり前という時代でした。そこで、「ご自宅に初めてエアコンがついた際、家族やあなたの生活はどう変わりましたか」と自由回答形式で聞いたところ、若い世代は「生まれた時からすでにあったので分からない」という回答が多かったものの、「エアコンがついてから、扇風機の風を取り合う兄弟げんかがピタッとなくなった」(30歳代・男性)という声や、ミドル以降の世代からは「デパートに入ったみたいと家族で喜んだ」(50歳代・男性)、「家族みんなでエアコンの吹き出し口の下で涼んだ」(60歳代・女性)、「家族でエアコンのある部屋で寝ていた」(50歳代・女性)など、家族にとって、エアコンがいかに特別な存在だったのかが分かるエピソードが寄せられました。
■東京の夏を過ごす上で、エアコンは「なくても困らないもの」から、ないと困る「生活必需品」に
初めてエアコンがついた際に家族にとって特別な存在だったエアコンですが、その存在感は時代とともにどのように変化しているのでしょうか。「東京の夏を過ごす上で、エアコンはあなたにとってどんな存在ですか」という設問で、現在と小学生の頃(10歳頃)のエアコンに対する認識を聞き、昭和から令和までの変遷をたどりました。その結果、エアコンは昭和35~44年には98.0%が「なくても困らないもの」(「なくても全く困らないもの」と「あった方がいいが、なくても困らないもの」の計)と考えられていましたが、現在(2019年)は「生活必需品(ないと困るもの)」が約9割(86.4%)を占め、東京の夏を過ごす上でエアコンはなくてはならない生活インフラとして存在していることが分かりました(図11)。
■広がる「つけっぱなし運転」 就寝時のつけっぱなし運転実施率は5割超(54.7%)
エアコンが普及し、東京の夏が変化する中でエアコンの存在感が変わってきたように、エアコンの省エネ性、機能性の向上に伴い、その使い方にも変化の兆しが見られます。夏場のエアコンのつけっぱなし運転について、「夏場のエアコンの使い方としてつけっぱなし運転をすることがありましたか」と、「就寝時」、「短時間の外出中」、「24時間」の3つについて、小学生の頃(10歳頃)と現在における実施経験の有無を聞き、昭和・平成・令和における変遷をたどりました。その結果、いずれのつけっぱなし運転も平成2年(1990年)頃から増え始め、現在、就寝時のつけっぱなし運転の実施率は54.7%、短時間の外出中のつけっぱなし運転は46.9%に達していることが分かりました(図12)。24時間のつけっぱなし運転の実施率は20.4%とそれほど高くはありませんが、他のつけっぱなし運転が増えていることから考えると、その実施率は今後増えていくものと推測されます。
■夏場のエアコンの設定温度 男性は25℃、女性は27℃が最多
つけっぱなしという、新しいエアコンの使い方が広がる一方で、最も基本的な使い方といえる温度設定は現在どうなっているのでしょうか。「あなたのご自宅における夏場のエアコンの設定温度は何度ですか」と聞いたところ、男性は25℃(22.5%)、女性は27℃(28.0%)が最多となりました(図13)。なお、世代別に平均設定温度を算出すると、全ての世代で女性の方が高くなっていました(表2)。
■東京の夏を感じるスポットは「隅田川」「東京湾の屋形船」「神宮球場」
東京にはさまざまな観光スポットがあり、国内外から多くの観光客が訪れますが、東京生まれ・東京育ちの東京人にとって東京の夏を感じるスポットといえばどこなのでしょうか。「あなたは、東京の夏を感じたり、思い浮かべたりするスポットといえばどこだと思いますか」と聞いたところ、全ての世代で1位に挙げられたのは「隅田川」で、「東京湾の屋形船」、「神宮球場」が続きます(表3)。東京というと、都市のイメージが強くありますが、夏を感じるスポットとしては、隅田川花火大会や神宮外苑花火大会などの伝統的な花火大会が開催される場所や水辺のアクティビティを楽しめる場所などが人気と言えそうです。
■東京の夏の良いところ、自慢できることは、「花火」「夏祭り」「風鈴、すだれ」、そして「空調が整備された快適な屋内空間」
外国人観光客が増加し、東京に対する世界の注目が今後さらに高まると予想される中で、令和に東京を訪れる外国人に向けて、「東京の夏の良いところを自慢とするとしたら、何をアピールしますか」と自由回答形式で聞いたところ、「花火大会」や「夏祭り」などのイベントへの参加や、「風鈴やすだれで涼をとる」といった風情のある過ごし方をすすめる声が多く寄せられました。
その一方で、東京という都市ならではの答えとして、「室内に空調が効いていて過ごしやすい」(30歳代・男性)、「外が暑くてもデパートなど涼しい場所が多い」(40歳代・男性)、「ほとんどの場所に冷房が入っている」(50歳代・男性)、「エアコンや空調設備が整っているので屋内が快適」(30歳代・女性)、「エアコンが効いている建物が多いので暑くなってもすぐに涼むことができる」(40歳代・女性)など、空調が整備された快適な屋内空間の存在が挙げられました。
■東京生まれ・東京育ちの人が外国人旅行者におすすめする東京の暑さ対策
第1位は「街中にある自販機やコンビニでこまめな水分補給」(45.0%)
近年の東京の夏は、東京生まれ・東京育ちの人にとっても厳しい季節です。そこで、「令和に東京を訪れる外国人旅行者に向けて、東京の夏を快適に過ごす、おすすめの暑さ対策やグッズがあれば教えてください」と聞いたところ、最も多かったのは「街中にある自販機やコンビニでこまめな水分補給」(45.0%)で、次いで「日傘」(40.0%)、「日中は屋外での活動は控える」(35.2%)、「汗拭きシート」(33.6%)、「速乾性のある機能性インナーの着用」(30.8%)などのグッズが続きます(図14)。日本は世界有数のコンビニ大国、自販機大国であり、また日傘は世界でも珍しい暑さ対策グッズだと言われており、外国人旅行者におすすめする東京の暑さ対策の上位には日本ならではの対策が挙げられました。
< 参考資料「調査対象者が生まれた年代と主な出来事」>
東京生まれ・東京育ちの男女500人に聞いた「令和元年 東京の夏の空気感調査」は、世代毎に、現在と小学生頃(10歳頃)について聞くことで、東京の空気感の変遷を調べた調査です。
【調査概要】
■表題 :東京生まれ・東京育ちの男女500人に聞いた「令和元年 東京の夏の空気感調査」
■調査主体:ダイキン工業株式会社
■調査実施:株式会社マクロミル
■調査方法:アンケート調査(インターネット調査による)
■調査期間:2019年6月28日(金)~6月29日(土)
■調査対象:東京生まれ・東京育ちの男女
■対象内訳:調査対象の内訳は下表の通り
■備考:図表の構成比は四捨五入しているため、構成比の和が100%にならない場合があります。
【過去に実施した“東京の夏“に関する「現代人の空気感調査」のご紹介】
■第24回 東京在住の外国人150人に聞いた「東京の夏の暑さとスポーツ」に関する意識調査(2018年10月)
2020年を前に外国人が感じた“東京の夏”の課題は「湿度」
高温多湿な東京の夏は「湿度」対策をして安全・快適に過ごそう
https://www.daikin.co.jp/air/knowledge/library/vol24/index.html
■第21回 外国人に聞いた「東京の夏のビジネスシーン」に関する意識調査(2015年7月)
東京の夏、クールビズだけどクールじゃない!?
外国人のクールビズ、8割が実施するも徹底できていないことに不満
https://www.daikin.co.jp/air/knowledge/library/vol21/index.html
■第20回 外国人に聞いた「東京の夏の暑さ」に関する意識調査(2014年7月)
9割が自国より暑い…。外国人は東京の夏をどう感じている!?
https://www.daikin.co.jp/air/knowledge/library/vol20/index.html
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