パラオ共和国における遠隔医療システム実証事業に参画
〜株式会社エムネスが提供するクラウド型医療情報管理共有システム「LOOKREC」を活用した遠隔読影で医療水準向上に貢献〜

株式会社エムネス(本社:広島県広島市、代表取締役:阿部伸一)は、このたび、株式会社シード・プランニング(所在地:東京都文京区、代表取締役社長:梅田 佳夫)が採択された、総務省の令和6年度「パラオにおける遠隔医療システムの展開に向けた実証の請負」において、クラウド型医療情報管理共有システム「LOOKREC」の提供および遠隔読影コンサルテーションサービスを提供し、実証を完了しましたことをお知らせいたします。
■総務省事業「パラオにおける遠隔医療システムの展開に向けた実証の請負」の概要
パラオ共和国は、我が国にとって重要なパートナーであり、自立的・持続的な発展のための継続的な支援が重要視されています。特に、ICT分野での協力が進められる中で、5G展開に向けたユースケース創出が求められています。 また、パラオでは慢性的な医師不足が深刻な問題となっており、 加えて近年流行した新型コロナウイルス等の影響もあり、医療分野でのICT活用、特に遠隔医療への需要が高まっています。
以上のことから、遠隔診療を通じてパラオの医療の質改善に貢献することを目指し、日本の遠隔医療システムの展開可能性に関する実証を行うことを目的として実施されました。
パラオの医療事情
人口約1万8千人のパラオでは、医師・看護師などの医療従事者の人材の確保・定着および育成に課題があり、医療体制が十分とは言えない状態です。
基幹病院であるベラウ国立病院は、疾患状態に応じた患者の当該国唯一の紹介・搬送先であり、公的医療の中心的役割を果たしています。しかし、科によっては専門医不在で医療レベルは十分とは言えず、大きな怪我や病気で専門的な治療が必要となった場合は、国外へ緊急搬送されることも。また、国民の70%以上が過体重など生活習慣病に罹患していることから医療費が圧迫し、医療関係者の負担はさらに増加。以上のことから、医療従事者支援のための遠隔医療技術を必要としている状況です。
■2025年 シード・プランニング社 × エムネスによる実証内容
エムネスは、本事業において、クラウド型医療情報管理共有システム「LOOKREC」をベラウ国立病院に試験導入しました。
クラウド型医療情報管理共有システム「LOOKREC」とは
LOOKRECとは、CTやMRI等の検査装置から撮影された医用画像をクラウド上にアップロードし、医療機関、医療従事者がリアルタイムに画像を管理・共有できるプラットフォームサービスです。クラウドへの保存容量に制限がないため機器の増設は不要で、また、物理的なサーバを持たないためソフトウェアの追加購入、メンテナンスも不要です。インターネット接続端末があればどこでも安全に利用することができるため、経済的かつ簡単に導入することが可能です。
2025年2月、エムネスは、市場調査を強みとする株式会社シード・プランニングと共にパラオ共和国を訪問。
本実証実験では、ベラウ国立病院にて、難症例の検査等で海外専門医へ患者の検査画像を共有し、コンサルテーションを受けるといった臨床ニーズを想定。エムネスが提供する医療支援クラウドサービス「LOOKREC(※1)」を使用することで、海外の専門医との連携がリアルタイムで可能となり、より精度の高いコンサルテーションが受けられるようになります。本実証実験に協力いただいた現地医師からは、医療体制の強化に効果を実感いただけました。
■実証による有用性
実証の結果、遠隔コンサルテーションはパラオの医療レベル向上に大きく寄与できる可能性が示されました。ベラウ国立病院の医師や放射線技師へのヒアリングを通じ、以下の有用性が確認されました。
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臨床的効果
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日本の放射線診断専門医による読影で診断精度が向上し、誤診リスクが減少しました。レポート返却までの時間(従来数週間かかることもあった)が大幅に短縮され、患者への対応が迅速化しました。肺膿瘍や肝臓がん疑いの症例で、迅速な診断に基づいた治療変更や海外での精密検査・治療への移行が可能となりました。
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教育的効果
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遠隔読影レポートを通じて、ベラウ国立病院の医師は専門医の所見の捉え方などを学ぶ機会を得て、読影スキルの向上が期待されます。特に、レポートの分かりやすさ(画像への矢印・番号記載)が好評でした。継続的な症例共有は、現地医療スタッフの継続教育の場となり得ることが示唆されました。
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システム操作性
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LOOKRECは直感的で操作が容易であり、短期間のトレーニングで医療スタッフは操作に習熟でき、本格導入に向けたユーザーアクセプタンスは良好でした。
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経済的効果・アクセス改善
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Private clinic経由での読影は患者自己負担が大きいですが、ベラウ国立病院でシステムが利用できれば保険適用が可能となり、患者負担軽減に繋がる可能性があります。また、国内での迅速な診断により、不要な国外搬送を減少させ、医療費抑制に寄与することも期待されます。
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ベラウ国立病院の医師からは、年間のCT撮影件数約1300件のうち40~50%は遠隔画像診断が必要と感じており、継続利用したいとの意見が得られています。

◼️本プロジェクトの今後の展開について
現地での実証実験では、難しい操作を必要とせず遠隔読影の依頼を出せるLOOKRECの使用感に高評価をいただき、対応医師からは「継続的に活用していきたい」とのコメントを頂戴しました。
一方、病院内の回線速度が遅いことから画像読み込みに時間がかかるなど、高速通信網の整備にも課題が残りました。
今後は、医療機器を使いこなせる人材とその教育支援をポイントとし、本プロジェクトの円滑な実施のため、社内外調整を重ねていく所存です。
<本プロジェクト担当医師からのコメント>
本実証では、LOOKRECにより医用画像 を日本の専門医が迅速に読影し、肺膿瘍などの早期治療に直結する成果を得ました。一方で通信帯域や人材育成など、持続運用に向けた課題も浮き彫りになっています 。今後はパラオ政府・医療機関と協議を重ね、費用負担の仕組みと遠隔支援体制を最適化し、住民が安心して利用できるモデルの実現を目指して参ります。本事業で得られた知見を生かし、段階的なフェーズ2検証も視野に、公共・民間双方の資源を組み合わせた継続スキームの具体化に挑戦していきます。(株式会社エムネス 医療事業企画室/脳神経外科医 嶋田 裕記)
株式会社シード・プランニングについて
シード・プランニングは、市場調査、コンサルティングを行う企業です。 コア領域としている「メディカル」「創薬・バイオ」「ヘルスケア」「DX・IT・素材」「エネルギー・環境」の5領域を主体に、学際的および産業融合的な新規成長分野にも対象を広げ、企業・官公庁・自治体・および各種団体のお客様に対し、事業課題の解決、実行戦略の企画策定、市場動向把握、政策立案等の付加価値の高いサービスを提供しています。
本社所在地 : 東京都文京区湯島3-19-11 湯島ファーストビル 4F
代表者 : 代表取締役社長 梅田 佳夫
事業内容 : 市場調査、コンサルティング
ウェブサイト: https://www.seedplanning.co.jp/
株式会社エムネスについて
エムネスは「身体の状況をありのままに正確にリアルタイムに伝えて世界中の医師や医療従事者が連携して、患者のために理想の医療を提供できるようにすること」というミッションのもと、医療機関向けの遠隔画像診断支援サービスに加え、医用画像を中心とするデータの管理・共有のためのクラウド型医療情報管理共有システム LOOKREC (※1)を提供しています。
LOOKREC は診療のデジタル化を加速し、場所にとらわれないあらたな医療のあり方や医師の働き方改革の実現、病病・病診連携や集学的な研究などの組織の壁を超えた医療連携に貢献しており、1,420施設(2025年6月現在)を超える施設で利用されています。
所在地 : 広島県広島市南区東雲本町1-2-27
代表者 : 代表取締役社長 阿部 伸一
事業内容 : 医療支援クラウドサービス、遠隔画像診断サービス
ウェブサイト: https://mnes-lookrec.com/
※1 クラウド型医療情報管理共有システム「LOOKREC」について
LOOKRECは、CTやMRI等の検査装置から撮影された医用画像をクラウド上にアップロードし、医療機関、医療従事者がリアルタイムに画像を管理・共有できるプラットフォームサービスです。
クラウドへの保存容量に制限がないため機器の増設は不要で、また、物理的なサーバを持たないためソフトウェアの追加購入、メンテナンスも不要です。インターネット接続端末があればどこでも安全に利用することができるため、経済的かつ簡単に導入することが可能です。
医療機器販売名 : ルックレック 医療機器認証番号: 227AGBZX00096000
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