2024年2月1日(木)QPS研究所の小型SAR衛星5号機 「ツクヨミ-Ⅰ」の高精細モード(スポットライトモード)による取得画像を公開
「ツクヨミ-Ⅰ」は米国Rocket Lab社のロケット「Electron(ミッションネーム:The Moon God Awakens)」によって2023年12月15日(金)に打上げられ、約1ヶ月後の2024年1月17日(水)にファーストライト(初画像)を公開いたしました。その後も順調に調整を続け、この度のスポットライトモードによる取得画像の発表に至りました。今後は次のステップであるサービス提供の開始に向けた運用の調整を鋭意行ってまいります。
(※1) SAR(合成開口レーダー):電波を使用して地表の画像を得るレーダー。雲や噴煙を透過し、昼夜を問わず観測することができる点が特長。
(※2) 公開した画像データは衛星の機能を試験・調整している中で確認できた試験データになります。
(※3) 民間のSAR衛星においてを意味します。
(※4) アジマス(衛星の進行方向)分解能46cm相当に画像化処理したもの。レンジ(衛星の進行方向と直交する方向)分解能は観測条件によって可変となります。今後、順次画像評価を進める予定です。
スポットライト詳細
観測場所
① オーストラリア シドニー (観測時の天候:くもり)
② 福岡県 福岡市 (観測時の天候:くもり)
③ 北海道 函館市 (観測時の天候:晴れ)
※天候は気象庁及び気象情報サイト公開データより
観測日時
① 2024年1月27日(土)03:39(現地時間)
② 2024年1月25日(木)10:07(日本時間)
③ 2024年1月24日(水)13:30(日本時間)
分解能
① アジマス分解能46cm x レンジ分解能45cm(オフナディア角 30.5度)
② アジマス分解能46cm x レンジ分解能46cm(オフナディア角 29.4度)
③ アジマス分解能46cm x レンジ分解能82cm(オフナディア角 16.3度)
画像説明補足
「ツクヨミ-I」は分解能1.8mの通常モード(ストリップマップモード)と分解能46cmの高精細モード(スポットライトモード)の観測ができ、この度は高精細モードでの観測となります。
画像処理協力
アルウェットテクノロジー株式会社
代表取締役社長CEO 大西俊輔 コメント
「ツクヨミ-Ⅰはサービス提供に向けて順調に進んでおり、アマテル-Ⅲと同じく、分解能46cmのスポットライト画像を公開できることを嬉しく思います。傾斜軌道の商用機としては1機目となり、先立ってサービス提供を開始しているアマテル-Ⅲとは異なる軌道となるため、地上管制のタイミングや頻度も異なるのですが、実証機QPS-SAR1号機「イザナギ」も傾斜軌道であり、これまでに培ってきた運用経験が発揮されての成果となりました。また、今回はQPS研究所本社のある福岡市の画像も含まれていますので、ぜひご注目いただければ幸いです。今後もサービス提供開始に向けて着実に運用を続けてまいります。」
スポットライトSAR画像
このページ上では広域画像は小さくなっており、圧縮をかけて容量を軽くしているため、弊社ホームページのニュース(https://i-qps.net/news/1783/)にて掲載している画像もご覧いただければ幸いです。
①オーストラリア シドニー
海と山の美しい自然とビジネス街が融合し、街のシンボルのオペラハウスやアーチが目を引くハーバーブリッジがあるなど特色豊かな街です。
街の大部分は丘陵上にあり、特に湾に面したエリアは、坂道も多く、そして海岸線は低木の茂る岬や三日月形の砂浜が交互に連なっていて、砂嘴、陸繋島などがあるのも特徴です。画像ではシドニーを囲む港の様子が細部まで観測できています。
拡大場所①−1:商工業、金融、交通の街として国の経済の中心であるシドニーの高層ビルが立ち並ぶエリア。ビルの階層を確認できます。
拡大場所①−2:シドニー市街とノースシドニーを結ぶシドニー・ハーバーブリッジ。全長約1149m、幅49mのシングルアーチ橋。鉄柱、鉄脚の細部まで確認できます。
拡大場所①−3:ポート・ジャクソン湾には小さなプレジャーボートが多数映っています。
②福岡県 福岡市
画像の中心が福岡市の繁華街、天神です。右側には博多駅、左上には福岡PayPayドーム。山と海に囲まれ、街中には大きな公園もある緑豊かな街の特徴がわかります。天神では都市再開発「天神ビッグバン」プロジェクトにより複数の新しい高層ビルが誕生中です。
拡大場所②−1:天神エリア
建設中のビルも多くあります。
拡大場所②−2:博多駅周辺
拡大場所②−3:福岡PayPayドーム
拡大場所②−4:福岡県庁周辺
拡大場所②−5:大濠公園
③ 北海道 函館市
函館市街と美しい星型の五稜郭。右に函館港が広がっています。
拡大場所③−1:五稜郭エリア
会社概要
社名 :株式会社QPS研究所(東証グロース市場 証券コード:5595)
本社住所:福岡市中央区天神1-15-35 レンゴー福岡天神ビル6階
代表者 :代表取締役社長 CEO 大西俊輔
創業 : 2005年6月
URL : https://i-qps.net/
事業内容:人工衛星、人工衛星搭載機器、精密機器、電子機器並びにソフトウエアの研究開発、設計、製造、販売
QPS研究所は2005年に福岡で創業された宇宙開発ベンチャー企業です。名前のQPSとは「Q-shu Pioneers of Space」の頭文字を取っており、九州宇宙産業の開拓者となること、更には九州の地より日本ならびに世界の宇宙産業の発展に貢献するとの思いが込められています。その名の通り、九州大学での小型人工衛星開発の技術をベースに、国内外で衛星開発やスペースデブリへの取り組みに携わってきたパイオニア的存在である名誉教授陣と若手技術者・実業家が一緒になって、宇宙技術開発を行っています。
QPS研究所は従来のSAR衛星の1/20の質量、1/100のコストで100 kg 台の高精細小型SAR衛星「QPS-SAR」の開発に成功し、現在は商用機2機を運用し、夜間や天候不良時でも高分解能・高画質で観測できる世界トップレベルのSAR画像を提供しています。この後も毎年複数機の衛星を打上げ、2027年度には24機体制、そして最終的には36機による衛星コンステレーションを構築し、平均10分ごとの準リアルタイム地上観測データサービスの提供を目指しています。また、QPS研究所の事業は、創業者たちが宇宙技術を伝承し育成してきた北部九州を中心とする、全国25社以上のパートナー企業に力強く支えられています。
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