【先発薬の処方量が最大1.9倍、後発薬も処方量下がらず】先発薬とジェネリックの薬価が同等となったときの影響を調査
日本システム技術株式会社では、独自に保有しているレセプトデータ(※1)を中心としたメディカルビッグデータ「REZULT」を基に薬価改定による先発品医薬品の薬価が後発品と同額となったときの影響について独自調査を実施しました。
■調査概要
調査対象 :当社の保有するレセプトデータ(約880万人 2023年9月時点)
対象期間 :薬価改定前(2021年1月‐2022年3月)、薬価改定後(2022年4月‐2023年6月)
対象医薬品:ムコスタ錠100mg(先発医薬品)、レバミピド錠100mg(後発医薬品)
■調査結果のまとめ
①先発品の薬価が後発品と同額となると、薬価改定直前と比較して処方数量が最大約1.9倍に。
②性年齢別の調査では、40~59歳の層が男女ともに多く使われていることが明らかに。
■診療年月別の調査
診療年月別の調査では、ムコスタ錠100mg(先発医薬品)とレバミピド錠100mg(後発医薬品)が調剤で処方されている処方数量の割合を診療年月別に集計しました。
集計の結果、薬価が後発医薬品と同額の1錠10.1円となった2022年4月を境に先発医薬品の処方数量比が増加しています。2022年4月の薬価改定後の4月以降も8月まで増加傾向が続き、その後やや落ち着くといった傾向がみられます。一方、後発医薬品は、2022年4月の薬価改定後に処方数量比が下がるなどの影響は見られませんでした。
2021年4月に薬価が11.8円から10.7円に引き下げられたとき(-1.1円)は処方数量比に変動がほとんど見られませんが、2022年4月の10.7円から 10.1円への引き下げ時(-0.6円)に大きく処方数量比が増加しています。薬価引き下げの値段ではなく、後発医薬品と同額になることが処方数量比の増大のトリガーとして影響すると考えられます。
先発品医薬品と後発品医薬品の処方量の比を診療年月ごとに可視化したところ、2022年4月の薬価改定後に先発品医薬品のシェアが2022年6月まで増加している様子が見られます。薬価改定前の2022年3月と処方数量比の変動が安定する2022年6月の比較で約3.3%先発品医薬品のシェアが増加しています。
【先発医薬品・後発医薬品の処方数量比(シェア)】
■性年齢別の調査
性年齢別ごとの調査によると、40~59歳の層が男女ともに多く使われてます。どの性年齢層も2022年4月の薬価改定後に増加する傾向が見られ、処方数量の多寡はありますが特定の性年齢層によって増加傾向に大きな差異はありませんでした。使用率の低い0~19歳についても2022年4月の薬価改定後に他と同様に増加傾向が見られます。
【先発医薬品の性年代別の診療年月別薬剤処方数量比】
本件で公開した調査レポートの全文は以下をご参照ください。
https://www.jastlab.jast.jp/news-20230929/
■メディカルビッグデータ「REZULT」について
日本システム技術株式会社では約880万人ものレセプトデータを中心とした各種情報をデータベース化し、メディカルビッグデータ「REZULT」を構築しています。提供サービス形態は、データセットの提供、Adhoc分析、BIツールの環境構築などお客様の課題解決に最適なソリューションを揃えております。Webでのご説明も可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
https://www.jastlab.jast.jp/rezult_data/
※1:レセプトデータについて
レセプトとは、患者が受けた保険診療について、医療機関が保険者(市町村や健康保険組合)に請求する医療報酬の明細書のことです。医科・歯科の場合には診療報酬明細書、保険薬局における調剤の場合には調剤報酬明細書、訪問看護の場合には訪問看護診療費明細書とも言います。1患者、1か月、1医療機関あたりで1件のレセプトにまとめられており、患者が医療機関を受診した原因となる疾病情報や、医療費を支払っている情報等を保持しています。当社ではこれらの各種情報をデータベース化して保持しています。
【本件に関するお問い合わせ】
日本システム技術株式会社 未来共創Lab
お問い合わせ:https://www.jastlab.jast.jp/contact/
未来共創Labサイト:https://www.jastlab.jast.jp/
以 上
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