化審法対応試験・申請へのワンストップ支援体制を強化
~法改正に対応し、試験設計から申請までを一括支援。迅速な上市と手続き負担の軽減に貢献~
【要旨】
株式会社東レリサーチセンター(所在地:東京都中央区日本橋本町一丁目7番2号、代表取締役社長:真壁芳樹、以下、「TRC」)と東レテクノ株式会社(所在地:滋賀県大津市園山一丁目1番1号、代表取締役社長:山根常幸、以下、「TTK」)は、2025年以降の化審法(※1)関連通知の改正に対応し、専門人材の拡充と制度改正に対応したノウハウの高度化により、新規化学物質の申請に必要な試験スキームの設計から試験実施、申請コンサルティングに至るまでを一貫して提供するワンストップ支援体制を強化しました。これにより、法規制に適合した最適な試験計画とスケジュールの提案が可能となり、お客様の申請リスクの低減および製品上市の迅速化、さらに社内負担の軽減に貢献します。
【背景】
新規化学物質を製造又は輸入する際は、化審法に基づき、環境を経由した人の健康への影響を未然に防止する観点から、有害性に関する事前審査を受ける必要があります。低分子化合物では、分解性、蓄積性、生態影響、遺伝毒性など複数の試験が求められる一方で、高分子化合物については、生体膜を透過しにくい特性を踏まえ、比較的簡易な評価手法として高分子フロースキーム試験が適用されます。この試験では、安定性、溶解性及び低分子成分の含有率などを評価し、化学物質の環境影響の有無を判断します。2025年以降の制度改正により、既知見の活用や試験省略の適用範囲が拡大し、適切な試験スキームの設計や申請戦略の重要性が一層高まっています。
【TRCおよびTTK(以下、「TRC・TTK」)による支援内容と体制強化のポイント】
高分子フロースキーム試験においては、単に試験を実施するだけではなく、被験物質の化学構造や組成比に基づいて溶解性や分解性を事前に予測し、最適な試験スキームを設計することが重要です。この過程では、法規制の解釈と化学的知見を統合した高度な判断が求められ、試験条件の設定や実施可否の判断が申請結果に大きく影響します。
TRC・TTKは、1987年に同試験が制定されて以来、有機溶媒可溶高分子、水溶性高分子、溶媒不溶性高分子ならびに酸・アルカリにより分解する高分子など、多様な材料に対する試験および申請支援の実績を有しており、これらの経験に基づいて、対象物質の特性に応じた試験スキームの設計、申請戦略の立案およびスケジュール最適化を一体的に支援しています。特に、高分子フロースキーム試験における判断プロセスについては図1に示す通り、溶解性等に基づく分岐を伴うため、事前予測を含めた設計力が重要となります。

今回の体制強化は、2025年の運用通知(※2)および2026年の既知見通知(※3)の改正により、試験省略や評価方法の選択肢が拡大したことを受けたものです。TRC・TTKでは、化審法および関連規制に精通した専門技術者の増強に加え、制度改正に対応した試験設計および申請ノウハウの体系化を進めました。これにより、試験スキームの策定から申請コンサルティングに至るまでを一貫して提供できる体制がさらに強化され、従来の個別対応型サービスと比較して、より効率的かつ精度の高い支援が可能となっています。
【今後の展開】
化学物質に関する法規制は化審法のみならず多岐にわたり、今後も制度改正や運用の見直しが継続的に行われることが想定されます。
TRC・TTKは、今回強化したワンストップ支援体制を基盤として、申請支援にとどまらず、インハウスセミナー等を通じた最新規制動向の提供や、開発初期段階からのコンサルティングを推進し、お客様の円滑な製品開発および社会実装に貢献してまいります。
【用語説明】
※1) 化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)
PCB(ポリ塩化ビフェニル)による環境汚染及び被害の発生を契機として、環境を経由して人の健康を損なうおそれがある化学物質の製造、輸入および使用を規制することを目的として、1973年に制定された法律。新規化学物質を製造又は輸入する場合には、あらかじめ国に申請し、人への有害性などについて審査を受けることが義務付けられている。
※2) 運用通知(2025年10月6日改正、2026年4月1日施行)
化審法の具体的な運用方法や判断基準を示した指針。今回の改正では以下の点が主に見直された。
①既存化学物質等の定義の明確化
どの物質が「既存化学物質等」として扱われるかの基準が整理された。
②含有率に関するルール(いわゆる99%・98%・90%ルール)の見直し
既存化学物質等である主成分の骨格に組込む単量体の扱いについての基準が見直され、条件によってはより柔軟な申請区分の適用が可能となった。
③有機化合物の塩に関する取扱いの拡充
一部の金属塩(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど)について、既存物質として扱える範囲が拡大された。
これらの見直しにより、化学物質の区分や申請要否の判断において、より合理的かつ効率的な対応が可能となっている。
※3) 既知見通知(2026年4月24日改正、2026年6月1日施行)
すでに知られている化学物質の性質やデータ(既知見)を、申請時にどのように活用できるかを定めたルール。今回の改正では、以下の点が拡充された。
①特定の構造を持つ高分子に対する試験省略の拡大
主鎖や側鎖の構造が一定の条件を満たす場合、従来は必要であった高分子フロースキーム試験の一部を省略できるようになった。
② 高分子の物性条件に基づく評価簡素化
水や有機溶媒に溶けにくい、または分子量が非常に大きい(例:数平均分子量10万以上)などの条件を満たす場合、その高分子は安定であるとの知見から、一部試験を省略できることとなった。
これにより、既知見を活用した効率的な評価が可能となり、申請に必要な試験の負担軽減や期間短縮が期待される。
詳細は2026年4月24日に公開された「「構造及び物性評価による高分子フロースキーム」の届出に係るガイダンス 第1.0版」を参照ください。
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