Indeedが「仕事とジェンダー」に関する3ヵ国比較調査を実施 どの国も4割の女性が「働く際に自身の性別が不利になる」と感じている結果に

Indeed Japan株式会社

世界No.1求人検索エンジン*「Indeed (インディード)」の日本法人であるIndeed Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:大八木 紘之、https://jp.indeed.com/、以下Indeed)は、SDGs達成目標の一つとしても掲げられている「ジェンダー平等を実現しよう」に着目し、日本と、ジャンダーギャップ指数ランキング2位のフィンランド、及び、ダイバーシティ先進国であるアメリカ(ジェンダーギャップ指数ランキング30位)の3ヵ国において、現在就業中の20~40代の男女計各300人(計900人)を対象に、「仕事とジェンダー」に関する調査を行いました。

Indeedは「We help people get jobs.」をミッションとし、あらゆる人々が公平に自分に合った仕事を見つけられる社会の実現を目指しています。そのためには、性別などの個人の属性によって制限されない職場環境や働き方、仕事さがしができる環境の実現が重要です。一方で、今年3月に、世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)が発表した、国別に男女格差を数値化した「ジェンダーギャップ指数2021」では、日本は総合ランキングにおいて世界156ヶ国中120位という結果でした。日本における男女平等や女性活躍の推進は大きな課題であると言えます。
 
 そこでこのたびIndeedでは、特に職場環境や仕事に関する場面におけるジェンダー平等の実現を推進するための課題を明らかにしたいと考え、本調査を行いました。その結果、仕事に関するジェンダー意識・課題の国毎の違いや共通の課題が明らかになりました。Indeedは、本調査から明らかとなった、国際社会における日本のジェンダーギャップの特徴を踏まえ、性別に制限されずに仕事さがしができたり、働いたりすることが可能な職場・社会の実現に尽力していきたいと考えています。
  

  • 調査結果要約

1.【仕事に対する価値観】3ヵ国とも働くことを「安定して生活するための手段」として捉える割合が高いが、日本人女性が特に顕著。さらに、日本よりも海外の方が仕事に対する価値観が多様な傾向。
 ・仕事に対する価値観は、各国の男女とも「安定した生活をするための必要な手段」が最多だが、日本は特にその傾向が高い。中でも日本人女性は特にその傾向が顕著。
 ・仕事に対する価値観、日本は画一的な一方で、フィンランド・アメリカはより多様な価値を見出している傾向。特徴はフィンランド「自己成長・実現」、アメリカ「社会貢献」。
 
 2.【働く上で感じる男女差】どの国も男性より女性の方が「自分の性別を不利」と感じている。日本では職場でのハラスメント、海外では発言権のなさが上位の課題。
 ・各国とも4割前後の女性が「働く上で自身の性別が不利」だと感じており、男性の約2倍以上。最も男女間ギャップが大きいのはフィンランド(女性は男性の3.87 倍)、最も男女間ギャップが小さいのは日本(女性は男性の1.97倍)。
 ・女性が「性別が不利」だと感じる理由の1位は、日本「給料が上がらない」、フィンランド「補助や雑務ばかり依頼される」、アメリカ「昇進・昇格ができない」。
 
 3.【昇進・昇格への意欲】どの国も昇進・昇格したい理由の上位は「給与増」「スキルアップ」だが、昇進・昇格したくない理由に日本と海外で差。
 ・昇進意欲が最も高いのはアメリカ。日本は男女とも昇進意欲が低い。その理由に男性1位「仕事よりプライベートを充実させたいから」、女性1位「仕事で大きな責任を負いたくないから」。
  

  • 調査結果まとめ

『仕事に対する価値観』は、ジェンダーギャップよりも、国毎のギャップの方が大きい傾向が見受けられました。日本、フィンランド、アメリカの3ヵ国とも男女共に、仕事を「安定した生活のための手段」として捉えている割合が最も高いことがわかりましたが、日本ではその割合が突出して高い結果となりました。日本人は、仕事は生計を立てるための手段であると捉えている人が多く、その他の価値観を見出している人の割合が低い点が特徴的です。一方で、フィンランドやアメリカでは、仕事を「自己成長の場」「自己実現の場」として捉える割合が比較的高く、アメリカでは「社会貢献活動」として捉えている人も一定数いることがわかりました。日本よりも仕事に対して、多様な価値観が醸成されているものと見受けられます。
 ジェンダーギャップに着目すると、日本では男性よりも女性の方がより仕事を「安定した生活のための手段」として捉える割合が高く、他国よりも男女間で差が大きいことがわかりました。一方で男性は、仕事を「日常を豊かにする自己成長の機会」と捉える人の割合が非常に低く、これは日本人女性・他国の男女と比較しても特徴的な点です。
 
 『働く上でのジェンダーギャップ』が顕著に現れたのは、「働く際に自身の性別が不利だと感じた」経験の有無でした。3カ国とも、女性の方が男性よりも「働く際に自身の性別が不利だと感じた」経験のある人が多く、共通課題であるといえそうです。性別が不利だと感じた経験のある女性に、その理由を聞くと、「給料が上がらない」「昇進・昇格ができない」が3カ国とも上位5位以内の理由として上がっており、キャリアアップが共通の課題であることが見受けられます。
 一方で国別の特徴を見てみると、日本では2位に「セクハラを受けた」3位に「パワハラを受けた」が上がっており、他国よりも女性がハラスメントを受けやすい環境に置かれている可能性が見受けられます。一方で、フィンランド・アメリカでは「発言がしにくい・発言の機会がない」が上位にあがっており、日本との差が見られました。国別で女性が置かれている環境の違いが浮き彫りになりました。
 
 仕事に対する価値観やジェンダーギャップの状況、その背景にある課題は国によって異なることが、今回の調査からも見受けられましたが、どの国においても、多様な価値観に対応できる働き方、性別による不利の解消が重要であるといえるでしょう。日本と海外との仕事に対する価値観や実態の違いを認識することが、自国の課題解決のヒントにもなり得ます。
 
 Indeedは、今回の調査結果から明らかになった日本におけるジェンダーギャップの状況や課題をもとに、Indeedのサービスや情報発信を通じて解決策を提供していくとともに、求職者がより自分に合った仕事を⾒つけやすくなる環境づくりを促進してまいります。
  

  • 調査結果に対する有識者コメント:日本女子大学名誉教授 大沢真知子氏

  今回の国内外調査から浮かび上がってきたのは、日本の職場の長時間労働の問題ではないかと思います。確かに長時間労働をすることで、男性は昇進や昇格がしやすく、自身の性別を有利だと考えていますが、同時に、昇進意欲も低くなっていることに注意が必要だと思います。他の2ヶ国ではおしなべて昇進意欲が高いのに対し、日本では、男女ともに低くなっていることが気になるポイントです。その違いは、フィンランドやアメリカでは仕事に対して多様な価値を見出しており、その方が、仕事への意欲が高くなり、仕事へのモチベーションも上がることを示していると思われます。一方で各国の昇進したくない理由を見ると、アメリカやフィンランドでは「現状に満足しているから」という理由が挙げられているのに対し、日本では、「仕事で重い責任を負いたくない」や「仕事よりもプライベートを充実させたい」が男女ともに上位に挙げられているのが目立ちました。日本人の仕事への意欲の低さを表しているのではないかと思います。
 
  他方、各国とも4割の女性が、女性であることが働く際に不利になっていると回答しているにもかかわらず、その理由に違いがあり、海外では発言権が共通の課題となっているのに対し、日本ではセクハラ・パワハラが上位となっています。これは、海外では意思決定の場に女性はいるけれども、発言しづらい、あるいは発言しても聞いてもらえないことに不満を抱いている女性が多いのに対し、日本ではそもそもそういう場に女性がいないことが、この違いとなって表れているのではないかと思います。また、日本ではセクハラ・パワハラを受けている女性が多いこともわかりました。日本では職場のハラスメントを防止することが使用者の(措置)義務になっていますが、それが守られていない可能性が示唆され、その徹底が求められています。
 
 【プロフィール】 

 大沢 真知子(おおさわ まちこ)
 日本女子大学名誉教授
 南イリノイ大学経済学研究科博士課程修了、経済学博士。
 コロンビア大学社会科学研究センター助手、シカゴ大学ヒューレットフェロー、ミシガン大学ディアボーン校助教授、日本労働協会(現日本労働研究・研修機構)研究員、亜細亜大学経済学部助教授・教授を経て日本女子大学人間社会学部現代社会学科教授。2013年4月に同大学の「現代女性キャリア研究所」所長に就任し、2021年3月に定年退職し、現在は名誉教授。内閣府仕事と生活の調和に関する専門調査会、男女共同参画局監視・影響専門調査会などの委員も務め、著書に「21世紀の女性と仕事」など。
  

  • 調査結果詳細

1.【仕事に対する価値観】3ヵ国とも働くことを「安定して生活するための手段」として捉える割合が高いが、日本人女性が特に顕著。さらに、日本よりも海外の方が仕事に対する価値観が多様な傾向。
 
 1-1:仕事に対する価値観は、各国の男女とも「安定した生活をするための必要な手段」が最多だが、日本は特にその傾向が高い。中でも日本人女性は特にその傾向が顕著。
 「働くこと」をどのように捉えているか、仕事の価値観や考え方について尋ねたところ、国・性別にかかわらず仕事は「安定した生活をするための必要な手段」であると回答した割合が最多でした。
 
 中でも日本は「安定した生活をするための必要な手段」であると回答した人が、男性の64.0%、女性の75.3%にのぼり、男女ともに他国と比べて20ポイント以上高い結果となりました。
 
 また、男女の回答差に着目すると、フィンランドやアメリカでは、回答割合の男女差はそれほど大きくはなく、その差は6ポイント以下に止まりましたが、日本では女性は男性よりも11.3ポイント高く、男女間の差が他国と比べて大きい結果となりました。
 
 フィンランド・アメリカと比べて日本では特に、仕事を「生計を立てるための手段」として捉えている人が多く、中でも日本人女性にその傾向が顕著であることがわかります。


 1-2:仕事に対する価値観、日本は画一的な一方で、フィンランド・アメリカはより多様な価値を見出している傾向。特徴はフィンランド「自己成長・実現」、アメリカ「社会貢献」。
 仕事に対する価値観の国別の特徴をみるために、「安定した生活をするための手段」以外の2位以降の回答を比較しました。



 日本で特徴的だったのは、他2国と比べ、仕事に対し「安定した生活をするための必要な手段」以外の価値観を見出している人が少ないという点です。また、日本人男性以外は2位の回答が「日常を豊かにする自己成長の機会」だった一方で、日本人男性では本回答は5位で6.0%にとどまっていることがわかりました。日本人男性は仕事を「自己成長の機会」と捉えている人が非常に少ないことが特徴として見受けられます。
 
 フィンランドでは男女とも2位が「日常を豊かにする自己成長の機会」(男性24.0%、女性22.0%)、3位が「自分のやりたいことがやれる自己実現の場」(男性20.0%、女性19.3%)と、ともに2割前後の回答が集まっています。仕事を「自己実現」「自己成長」の場として捉えている人が多いことが特徴であるといえそうです。
 
 アメリカでも、男女とも2位は「日常を豊かにするための自己成長の機会」(男性17.3%、女性22.0%)の結果となり、比較的多くの人が仕事を「自己成長の機会」と捉えていることがわかります。また、男性の3位・女性の4位が「社会に貢献するための重要な活動」であり、男女とも10%以上が回答している点が特徴的でした。アメリカでは、仕事を「社会貢献活動」と捉えている人が比較的多いことがわかります。
 
 3カ国の回答を比較すると、日本では一つの価値観に対する割合が非常に高く、価値観が画一的な傾向にあるのに比べて、フィンランドやアメリカでは日本よりも多様な価値を見出していることが見受けられました。
 
 
 2.【働く上で感じる男女差】どの国も男性より女性の方が「自分の性別を不利」と感じている。日本では職場でのハラスメント、海外では発言権のなさが上位の課題。
 
 2-1:各国とも4割前後の女性が「働く上で自身の性別が不利」だと感じており、男性の約2倍以上。最も男女間ギャップが大きいのはフィンランド(女性は男性の3.87 倍)、最も男女間ギャップが小さいのは日本(女性は男性の1.97倍)。

 「働く上で自身の性別が不利だと感じた経験の有無」について尋ねたところ、どの国でも男性に比べて女性の方が「自身の性別が不利」だと感じた経験のある割合が高く、女性は男性の約2倍以上いることが分かりました。
 
 日本は、男女とも「自身の性別が不利」だと感じた割合は他国よりも高く、女性で42.0%、男性で21.3%にのぼります。
 
 男女間ギャップが最も大きかったのはフィンランドで、女性(36.0%)は男性(9.3%)の3.87倍となりました。一方で最も男女間ギャップが小さかったのは日本で、女性は男性の1.97倍でした。
  


 2-2:女性が「性別が不利」だと感じる理由の1位は、日本「給料が上がらない」、フィンランド「補助や雑務ばかり依頼される」、アメリカ「昇進・昇格ができない」。
 
 各国の女性に自身の性別が不利だと感じたのはどのような時かを伺ったところ、各国で回答に差がありました。日本の1位は「給料が上がらない」33.3%、フィンランドの1位は「補助や雑務ばかり押し付けられる」37.0%、アメリカでは1位「昇進・昇格ができない」33.9%でした。
 
 各国とも上位5位以内に理由として上がったのは、「給料が上がらない」で、日本は1位、フィンランドは2位、アメリカは4位でした。「昇進・昇格ができない」という回答も、日本は3位、フィンランドは5位、アメリカは1位と、共通して挙げられています。
 
 国別の特徴として、日本は「セクハラを受けた」が30.2%で2位、「パワハラを受けた」が20.6%で3位と、3ヵ国の中で唯一、ハラスメントに関する理由が両方とも上位5位にランクインした結果となりました。フィンランドとアメリカに比べ、日本の女性はハラスメントを受けやすい環境に置かれている可能性が見受けられます。
 
 一方、フィンランドとアメリカでは共通して「発言がしにくい・発言の機会がない」という回答が上位にランクイン(フィンランド3位、アメリカ2位、一方で日本は7位)しており、女性が職場での意見主張がしづらいと感じている傾向が高いことが窺えます。国別で更に見ていくと、フィンランドでは「昇進・昇格ができない」と同率5位に「出産や子育てのために退職を迫られた」(20.4%)、アメリカでは5位に「長時間の労働を強いられる」(25.8%)があがっています。発言権に対する不満という共通課題がある一方で、それぞれ国別の特徴として「マタニティハラスメント」や「長時間労働」の課題を抱えていることが見受けられます。


 コラム:【働く上で感じる男女差】男性が感じる不利
 男性に対しても、自身の性別が不利だと感じたのはどのような時かを伺いました。
 *男性は、「自身の性別が不利」だと感じた経験のある割合が少なかったため、以下は参考値となります。
 
 フィンランドとアメリカでは共通して「昇進・昇格ができない」が1位であるのに対し、日本では「体調不良の際に理解が得られない」が1位となっています。2位以下の回答を見ていくと、日本とアメリカではどちらも「長時間労働を強いられる」「個人の許容量を超える業務が割り振られる」が2位と3位に入り、業務時間や業務量が課題となっている様子が伺えます。一方で、フィンランドでは「重要な仕事が任されない」「発言がしにくい・発言の機会がない」が2位3位となっており、職場での役割付与が課題となっている様子が伺えます。
  


 3.【昇進・昇格への意欲】どの国も昇進・昇格したい理由の上位は「給与増」「スキルアップ」だが、昇進・昇格したくない理由に日本と海外で差。
 
 3-1:昇進意欲が最も高いのはアメリカ。日本は男女とも昇進意欲が低い。その理由に男性1位「仕事よりプライベートを充実させたいから」、女性1位「仕事で大きな責任を負いたくないから」。
 「現在所属している企業・組織での昇進・昇格意欲の有無」について尋ねたところ、昇進希望者(「昇進したい」「どちらかと言えば昇進したい」の合計)は、アメリカが最も多く、男性で90.0%、女性で83.3%にのぼりました。次いで、フィンランドは男性70.6%、女性59.3%、日本は男性59.3%、女性53.3%の結果となり、日本は男女ともに3カ国の中で最も昇進意欲が低いことがわかりました。中でも、日本人女性の昇進意欲が最も低く、「昇進したくない」「どちらかと言えば昇進したくない」を合わせると46.7%と半数近くにのぼります。


 昇進意欲の低い日本の男女に、その理由について尋ねると、男性(n=61)の55.7%が「仕事よりもプライベートを充実させたいから」を1位、45.9%が「仕事で大きな責任を負いたくないから」を2位の理由に選んでおり、女性(n=70)も57.1%が「仕事で大きな責任を負いたくないから」を1位に、42.9%が「仕事よりもプライベートを充実させたいから」を2位の理由に挙げた結果となりました。この結果から、仕事に対して後ろ向きな理由が上位となっており、仕事自体への意欲が低くなっている状況が窺えます。

   

  • 調査概要

 調査主体:Indeed Japan株式会社
 調査対象:日本、フィンランド、アメリカで現在就業中の20~40代の男女900人
 割付方法:各国均等割付(300名ずつ)の上、性別・15歳以下の子供の有無で均等割付(150名ずつ)して実施
 調査方法:インターネット調査
 調査期間:2021年9月13日~9月21日
 
  Indeed について
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 *出典:Comscore 2021年3月総訪問数
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大八木 紘之
上場
未上場
資本金
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設立
2013年10月