フクビ化学工業と早稲田大学 佐野友紀研究室が共同研究を継続
産学連携による公共空間に関する研究を推進
フクビ化学⼯業株式会社のまちづくり事業推進室(以下、フクビ化学⼯業)は、早稲⽥⼤学 ⼈間科学部の佐野友紀研究室(以下、早稲⽥⼤学)と2023年度から居⼼地の良いベンチを明らかにするための共同研究を継続しております。
本研究は、⼈々が快適に滞在し交流できる公共空間づくりを⽬的として、ベンチ配置や周辺環境が利⽤者⾏動・⼼理に与える影響を科学的に検証するものです。
近年、都市部における駅前広場やオフィス周辺空間では、多様な働き⽅やライフスタイルへの対応が求められており、快適で魅⼒的な公共空間の需要が⾼まっています。当社は本研究を通じて、⼈々が⾃然と集い、滞在したくなる空間づくりに関する知⾒を蓄積し、まちづくり事業および関連製品・サービスの価値向上につなげてまいります
2025年度は、これまでの研究で明らかになった課題を踏まえ、ベンチ周辺へのプランター設置が利⽤者の⼼理や⾏動に与える影響について調査を実施しました。研究成果は⽇本建築学会⼤会において発表しております。
調査の結果、
・プランター設置により利⽤者の「座りやすさ」や「周囲の視線の気になりにくさ」が向上
・ベンチ利⽤者数の増加が確認
・⼀⽅で、利⽤形態は⻑時間滞在から短時間利⽤へ変化する傾向を確認
などの知⾒が得られました。これらの結果から、公共空間の利⽤⽬的や⽴地条件に応じた適切な設計が重要であることが⽰されました。

【2025年度研究結果について】
2025年度はベンチの配置に加え、プランターの有無と⾼さが与える影響を調査しました。2024年度と同様に⽥町駅前のペデストリアンデッキにて、2025年7⽉7⽇にアンケート調査、10⽉8⽇〜20⽇(平⽇7⽇間)に⾏動観察を⾏いました。



表1:アンケート調査の実験条件
アンケート調査では、被験者23 名を対象に「座りやすさ」に関する項⽬について5段階評価しました。(表1が実験条件です。「プランターあり/490mm ※植栽なし」では空のプランターを使⽤。)結果、プランターの設置により「⼈の視線の気になりにくさ」及び「座りやすさ」の評価は向上しました。⼀⽅、回転配置(垂直、⼋の字)について座席位置ごとに分析した結果、垂直では歩道側の座席の評価はほぼ変わりませんでした。今回プランターはベンチ中央に設置しており、歩⾏者動線との間ではなかったことから、設置位置への配慮が重要であると⽰唆されました。

表2:行動観察の実験条件
⾏動観察では、「プランターあり/490mm ※植栽なし」以外の条件を実施し、延べ2,498⼈を観察しました。(※「プランター無し」は2024年度のデータと統合。)その結果、プランターの設置により滞在者数は増加する⼀⽅、平均滞在時間は減少する傾向が⾒られました。特に回転配置ではベンチに⽴ち寄る利⽤者が増加し、荷物整理や⾝だしなみの確認などの短時間⾏動が多く確認されました。以上より、プランター設置は利⽤者数を増加させる⼀⽅で滞在⾏動を短時間化させ、滞在の量だけでなく質を変化させる要素であることが⽰唆されました。



2025年度の研究からプランターの設置は利用のしやすさを向上させる一方、滞在行動を長時間の着座利用から短時間の一時利用へと変化させる要素であり、利用形態に応じた高さおよび設置位置の設計が重要であることが分かりました。
【今後の展開について】
2026年度は、これまでの研究成果を基に、実際の公共空間においてベンチを⻑期間設置し、⼀般利⽤者を対象とした調査を実施しています。短期間の実験では把握しきれない利⽤者⾏動の変化や季節・時間帯による影響を検証し、ベンチ配置や周辺環境の設計条件が利⽤者の快適性や滞在⾏動に与える影響をより詳細に分析します。
今後は、2023年度から継続してきた研究成果を体系化し、「⼈が⾃然と集い、滞在したくなる公共空間」の設計指針としてまとめることを⽬指します。また、ベンチの配置、植栽やプランターの設置、⾼さや向きなどの空間要素を組み合わせた実践的なガイドラインの構築を進め、駅前広場やオフィス周辺空間、商業施設など多様な場⾯で活⽤可能な知⾒として社会実装につなげていきます。
さらに、研究成果を当社のまちづくり提案や関連製品の開発に反映し、⾃治体や⺠間事業者との連携を通じて実証フィールドを拡⼤することで、エビデンスに基づく公共空間づくりを推進します。最終的には、居⼼地の良さや滞在価値を定量的に評価できる仕組みの構築を⽬指し、持続可能で魅⼒あるまちづくりへの貢献を図ってまいります。
参考文献
・中村友紀, 宮嶋伯周, 佐野友紀.歩行者専用道路における壁に接したベンチの配置とプランターの組合わせが利用者行動・心理に与える影響 その1:現地におけるベンチ利用心理評価実験, 日本建築学会大会学術講演梗概集(中国). 2026. p.765-766
・宮嶋伯周, 中村友紀, 佐野友紀.歩行者専用道路における壁に接したベンチの配置とプランターの組合わせが利用者行動・心理に与える影響 その2:ベンチ利用者の行動観察調査, 日本建築学会大会学術講演梗概集(中国). 2026. p.767-768
■Fukuvi commons(フクビコモンズ)とは
「フクビコモンズ」は、まちと人をつなぐ「プラットフォーム型事業ブランド」です。「つくる」「つながる」「そだてる」という3つの視点からフクビ化学工業 まちづくり事業推進室が手掛けるパブリック製品や地域・大学との共創プロジェクトを発信しています。



商品情報や他の取り組み、過去の研究については、Fukuvi commons のWebサイトをご覧ください。
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