日本政府、レバノンの人道状況の悪化に対応するため、UNICEFに100万米ドルの緊急無償資金協力を実施
2024年10月31日 東京発
日本政府は、レバノンにおいて急速に悪化する人道状況の影響を受ける人々に水と衛生分野の支援を提供するため、国連児童基金(UNICEF)に対し100万米ドルの緊急無償資金協力を実施することを発表しました。
レバノンでは近年、長引く経済・政治危機やベイルート港での大規模爆発、新型コロナウイルス感染症の影響などの度重なる危機が、多くの人々の生活に深刻な打撃を与えてきました。さらに、2024年10月に紛争が激化したことで多くの避難民が発生し、120万人が自宅からの避難を余儀なくされています。国の電力供給網に大きく依存していた水と衛生システムも大きな影響を受けており、公共の給水サービスを必要に応じて適切に利用できる人は人口の半数にも満たず、適切な廃水サービスを利用できる人は25パーセント未満です。さらに、多くの避難所には定員をはるかに超えた人々が身を寄せており、基本的な衛生用品も不足しているため、過密な環境下で生活する子どもたちやその家族の衛生環境の悪化や女性や子どもに対する暴力の増加が懸念されています。
UNICEFは、紛争の影響を受ける人々の緊急の水と衛生のニーズに対応するため、給水施設への燃料の供給を確保することで、最もぜい弱な子どもたちとその家族が安定した清潔な水を利用できるように支援します。そして、特に避難所において、人々が適切な衛生環境を保ち、感染症の発生を防ぐため、石けんやシャンプー、トイレットペーパー、歯磨き粉、生理用品などが入った衛生キットを提供します。これらの支援により、7万8,000人の子どもを含む20万人以上が恩恵を受けることができます。
さらに、避難所の水と衛生委員会に対する研修を行うことで、彼らがコミュニティを基盤とした保護メカニズムとして主体的に女性や子どもへの暴力の予防と対応を行い、安全な生活環境を築けるようにします。この取り組みにより、3万4,000人の子どもを含む7万5,000人が、ジェンダーに基づく暴力や子どもの保護に関する支援を受けます。
日本政府の寛大な資金協力のもと、UNICEFは困難な状況に置かれている子どもたちとその家族が尊厳の守られた環境で生活し、希望のある未来を描けるようにするため、最も必要とされている支援を迅速に提供します。そして、レバノン政府やパートナーと連携し、人々の生活と健康の基盤となる水と衛生に関する緊急のニーズに対応するとともに、紛争や避難などの影響を受けるコミュニティの能力強化を行うことで、すべての人々の人間の安全保障や尊厳の実現に貢献していきます。
■ UNICEFについて
国連児童基金(UNICEF)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190以上の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。
※UNICEF国内委員会が活動する33の国と地域を含みます
※UNICEFの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■ UNICEF東京事務所
UNICEF東京事務所は、ニューヨーク本部直轄の国連機関事務所として、日本政府からの政府開発援助(ODA)による資金協力や、国会議員、国際協力機構(JICA)、非政府組織(NGO)等との連携を促進しています。
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