【小児科医が行うアドボカシー活動を支援】 子どもの健康課題解決を目的とした新助成事業6/2~開始

小児医学・医療・保健の発展のため、小児医学研究者への研究助成や小児医学を志す医学生への奨学金給付などを行う公益財団法人川野小児医学奨学財団(所在地:埼玉県川越市、理事長:川野幸夫/株式会社ヤオコー代表取締役会長)は、新たな助成事業「医師・地域連携 子ども支援助成 -子どものこえからはじまるアドボカシー※活動-」を6月2日より開始します。

※アドボカシーとは

アドボカシー(advocacy)とは、「弁護」や「擁護」などを意味する英語で、社会的に弱い立場にある人の代わりに声をあげ、その人たちの権利や立場を守る活動のことをいいます。たとえば、自分で意見を伝えにくい人に代わって、その人の困りごとを社会に伝えたり、必要な支援につなげたりすることも、アドボカシーにあたります。

医療におけるアドボカシーとは、患者さんのために声をあげることです。患者さんの声(こえ)を聴き、問題の解決を目指して、変化をもたらすために社会に働きかけ、さまざまな資源を動かすことを意味します。国に制度の改善を求めたり、地域で支援の仕組みを作ったりと、その規模や段階はさまざまです。

(参考:実用日本語表現辞典、アドボカシーガイド~効果的なアドボケイトにつなげるために~<翻訳版>)

概要

当財団では、子どもたちが心身ともに健やかに成長していくことを願い、小児医療におけるアドボカシー活動を支援する「医師・地域連携 子ども支援助成 -子どものこえからはじまるアドボカシー活動-」を新たな事業として立ち上げます。

本事業では、小児科医を中心とする医師が「子どものこえ」に耳を傾け認識した問題について地域と連携して解決にあたる取り組みに対して、1件70万円を上限として助成金を交付します。

■ 本事業をスタートした背景

財団設立以来、私たちは「子どもたちが心身ともに健康に育つ」というビジョンの実現を目指して、研究者や医学生、小児医療の現場など、医学・医療の専門家への支援を続けてきました。

しかし近年、子どもを取り巻く問題はますます複雑で多様化しています。そのような中で、医療関係者に限らず、子どもに関わるさまざまな立場の人々と連携し、より包括的な支援を行う必要性を強く感じるようになりました。

健康とは、単に身体的な側面だけでなく、心理的・社会的な面も含めて充実している状態(Well-being)を指します。しかし日本では、子どもの健康に関して、心理的・社会的な課題が多く残されています。

ユニセフ・イノチェンティ研究所が2020年に発表した子どもの身体・心理・社会的健康状況に関する国際比較調査によると、日本の身体的Well-beingはOECD加盟38か国中1位でした。一方で、心理的Well-beingは37位、社会的Well-beingは27位という結果でした。実際に、不登校、自殺、虐待件数の増加など、深刻な問題も報告されています。

こうした問題に向き合い、子どもたちの健康をこれまで以上に支えていくためには、職種や立場を問わず、子どもに関わるすべての人が「子どものこえ」に耳を傾け、連携して取り組むことがますます重要になっています。

つまり、医療が社会に働きかけて変化を促す「アドボカシー」というアプローチが求められているのです。

小児科医や子どもに関わる医師は、日々の診療の中で「子どものこえ」に接し、子どもたちが抱えるさまざまな問題に直面しています。だからこそ、彼らが「子どもの代弁者」として、他の専門職や地域と連携しながら問題の解決に取り組むことは、大きな意義があります。

しかし、日本では小児科医によるアドボカシー活動への理解や認知はまだ十分とは言えず、活動の開始や継続に必要な資金的な支援もほとんどありません。

そこで私たちは、小児科医が地域と連携して行うアドボカシー活動を支援する新たな事業を開始することにしました。

■ 2025年度 募集概要

・対象活動

次の要件をいずれも満たす活動

(1) 小児科医および子どもにかかわる医師が、その専門職の活動の中で得た「子どものこえ」を通じて明確化した、子どもの身体的、心理的、社会的な問題の解決を目的とする活動であること

(2) 小児科医および子どもにかかわる医師が、地域と協働して取り組む活動であること

※上記の医師は日本国内の医療機関に所属しているものとします

※活動は、日本国内で行われる、非営利かつ公益性の高い、具体的なものを対象とします

※団体や個人そのものに対する賛助金、協賛金、年会費等は対象になりません

※地域とは、学校、行政、自治会、NPOなどとします

・助成金額

1件70万円を上限

・助成期間

2025年10月~2027年3月

 

・応募方法

当財団ウェブサイト「医師・地域連携 子ども支援助成」ページを確認の上、

申請フォームより必要事項を入力・指定の書類をアップロード

 https://kawanozaidan.or.jp/advocacy_support/

・応募受付期間

2025年6月2日~7月15日

※応募受付締め切り後、多職種から構成される4名の専門家(選考委員)による選考を実施いたします

<参考:小児科医によるアドボカシー活動実践事例>

日本で実際に行われたアドボカシー活動の一例をご紹介します。

ある小児科医のもとを、複数の女子中学生が「生理が止まってしまった」と訴えて受診しました。医師が詳しく話を聞いたところ、彼女たちはいずれも同じ地域の中学校に通い、運動部に所属していました。さらに調べていくと、指導教員から厳しい体重制限を求められていたことが分かり、その影響で栄養不足となり、月経が止まっていたことが明らかになりました。状況を把握した小児科医は、地域の栄養士と連携し、「栄養管理の重要性」についての講義を同エリアの学校で実施しました。

このように、医師が医療の枠を超えて地域と協力し、子どもたちの健康を守るために行動したことは、まさにアドボカシー活動の好例と言えます。

■ 事業開始にあたり関係者からのメッセージ

<本事業選考委員>        国立成育医療研究センター     総合診療部 緩和ケア科      診療部長 余谷 暢之

こどもの健康問題の中には、医療だけでは解決できないことがあります。他の専門家や地域と協力して、こどもの課題を社会の問題として考え、行動することが大切です。

この助成金が、こどもたちのために声を上げるアドボカシー活動の始まりになれば嬉しいです。

公益財団法人川野小児医学奨学財団 事務局長 川野 紘子

少子化の進行により小児科の脆弱化が懸念される中、小児科医が地域と協働し子どもの課題に取り組むことは、子どもの健康を守ると同時に、社会に開かれた医療の実現にもつながります。

こうした活動の積み重ねが、小児科医の社会的プレゼンスを高め、将来的な小児科の持続可能性を支える力になることも期待をしています。

■ 財団概要

財団名:公益財団法人川野小児医学奨学財団(〒350-1124 埼玉県川越市新宿町1-10-1)

理事長:川野 幸夫(株式会社ヤオコー 代表取締役会長)

設立:1989年12月25日(行政庁 内閣府)

URL:https://kawanozaidan.or.jp/

TEL:049-247-1717

Mail:info@kawanozaidan.or.jp

事業内容:研究助成/奨学金給付/小児医学川野賞/医学会助成/小児医療施設支援/ドクターによる出前セミナー/医師・地域連携 子ども支援助成

<創業ストーリー>

財団の創業ストーリーや事業のエピソードをPR TIMES STORYで紹介しております。

どうぞご覧ください。


失われた息子の命をきっかけに設立した「川野小児医学奨学財団」ー小児医療をめぐる課題に取り組む中で感じた、子どもたちの心と体を守るために必要なこと
https://prtimes.jp/story/detail/rX5NvZs7GXb

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会社概要

URL
https://kawanozaidan.or.jp/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
埼玉県川越市新宿町 1-10-1
電話番号
049-247-1717
代表者名
川野幸夫
上場
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資本金
-
設立
1989年12月