【イベントレポート】バーチャルスポーツフォーラム2025開催
~オリンピックEスポーツゲームズから生まれる機会の探求~
独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC:Japan Sport Council)が管理・運営するハイパフォーマンススポーツセンター(HPSC)は、2025年3月26日に「バーチャルスポーツフォーラム2025」を開催しました。


世界におけるeスポーツ・バーチャルスポーツ分野は急速に変化しており、2024年7月のIOC(国際オリンピック委員会)総会で「オリンピックEスポーツゲームズ」の創設が承認され、2027年にサウジアラビアで初開催されます。この大会は、フィジカルスポーツゲーム、シミュレーションスポーツゲーム、従来のeスポーツゲームの3カテゴリーで構成され、競技フォーマットや選手の出場資格などの計画が進んでいます。
これらの潮流を踏まえ、今年度のフォーラムは、新たにJSCの国際共同研究のパートナーであるワールドローイングとの共催で実施されました。IOCやIF(国際競技連盟)、eスポーツ関係者等、当該分野に関わる国内外の関係者が一堂に会し、世界におけるeスポーツ・バーチャルスポーツに関する最新の情報を共有するとともに、国際的な潮流・方向性に関する理解促進を図ることを目的としました。出席者は、競技団体、国内スポーツ関係団体、大規模スポーツイベント主催者、eスポーツ関連団体、民間企業等の関係者を含め、30団体110名以上に上がりました。また、IOC委員でオリンピックEスポーツゲームズ・ステアリングコミッティ・チェアのセルミャン・ウン氏や、駐日サウジアラビア王国大使のガーズィー・ファイサル・サイード・ビンザグル閣下もフォーラムに参列しました。
本フォーラムは、令和6年度スポーツ委託事業「先端技術を活用したHPSC基盤強化事業」の一環となります。


冒頭、室伏広治スポーツ庁長官の開会挨拶では、「バーチャルスポーツ、eスポーツは年齢や体力、障害の有無に関わらずスポーツに参加できるバーチャル環境で、人と人との新たな『つながり』を作り出す可能性」について強調しました。また、スポーツ庁は、2026年の愛知・名古屋アジア競技大会や2027年のオリンピックEスポーツゲームズに向けて、eスポーツ選手の国際競技力向上に資する医・科学支援手法の開発を、ハイパフォーマンススポーツセンターと協力して進めていくことを言及しました。
JSCの国際共同研究のパートナーであり、本フォーラムの共催であるワールドローイングのジャン=クリストフ・ロラン会長は、主催者挨拶として参加者を歓迎しました。「東京2020大会の閉幕から4年後に東京で集まることができるのは、東京2020大会のレガシーの証であり、日本の関係者、IOC、IFの友人や同僚が再会し、これらの洞察を共有できることを大変嬉しく思います」と述べ、このフォーラムで得られた知見が、国際競技力向上をさらに発展させるだけでなく、社会全体のライフパフォーマンスへ寄与することへの期待を示しました。
ご来賓からは、日本スポーツ協会会長で衆議院議員の遠藤利明氏、及びJOC(日本オリンピック委員会)理事であり、IOCEスポーツ委員会メンバーである八木由里氏からの祝辞がありました。
第1部
JSC研究調査報告

フォーラムの最初の登壇者は、JSC HPSC 国際情報戦略部の坂田博史副主任研究員でした。坂田氏は、世界におけるバーチャルスポーツの最新動向に関する研究調査や、日本eスポーツ連合(JeSU)との連携、そしてワールドローイングとの国際共同研究に関する最新の取り組みについて発表しました。
IOC基調講演 「オリンピックEスポーツゲームズから生まれる機会の探求」
IOCからは、まずスポーツディレクターのキット・マッコーネル氏がオリンピックハウス(スイス・ローザンヌ)からオンラインで挨拶を行いました。東京2020大会を契機とした知見や情報共有、そしてオールジャパンでのアプローチを非常にユニークなレガシーモデルとして賞賛しました。また、eスポーツやバーチャルスポーツの推進が、ハイパフォーマンスの知見をどのようにライフパフォーマンスへと利益をもたらすかをIOCとして注目していることを強調しました。「IOCが推進するユースエンゲージメントに加え、ライフパフォーマンスの要素を組み合わせることで、スポーツの未来に革命をもたらす可能性があると確信しています。この革新的なアプローチは、若者の関心を引きつけるだけでなく、社会全体にポジティブな影響を与える力を持っています。私たちは、この新しい取り組みが、スポーツの世界に新たな風を吹き込み、次世代のアスリートやファンにとってのゲームチェンジャーとなることを期待しています」と述べました。
その後、オリンピックEスポーツゲームズの開催・運営を担当するIOCデジタルエンゲージメントおよびマーケティング部門のディレクターであるレアンドロ・ラルサ氏、そしてEスポーツアソシエイトディレクターであるゼイネップ・ジェンカガ・デチェロッテ氏による基調講演が行われました。ラルサ氏は、「オリンピックEスポーツゲームズは、新たな観客とエンゲージメントを図れるプラットフォームとして重要視している。IOCはスポーツとeスポーツの架け橋となる」と述べ、スポーツとeスポーツの連携の重要性を強調しました。「その点で、日本のeスポーツに対する取り組みをここで称賛したい。JSC、JOCやJeSUをはじめ、オリンピックEスポーツゲームズに向けての取り組みは非常に進んでいる。今後他の国々も、日本を参考に続いてほしい」と、本フォーラムや今後の日本への期待を述べました。


日本eスポーツ連合発表 「日本eスポーツ連合の取組」

国内のeスポーツの取り組みについては、日本eスポーツ連合(JeSU)の早川英樹会長が発表を行いました。
早川会長は、JeSUが管轄するeスポーツ大会や国内外への選手派遣の紹介に加え、児童、高齢者、障害者等多岐にわたるコミュニティを対象としたeスポーツの取り組み事例についても発表しました。
第2部
第2部では、オリンピックEスポーツゲームズの3つのカテゴリー(フィジカルスポーツゲーム、シミュレーションスポーツゲーム、従来のeスポーツゲーム)を基に、現在の先進事例が紹介されました。
フィジカルスポーツゲーム(バーチャルスポーツ)取り組み事例
ワールドローイング発表:ローイング競技のつながる未来
フィジカルスポーツゲームとは、従来のスポーツ競技の動き等を取り入れた身体活動が伴うスポーツを題材としたゲームのカテゴリーです。ワールドローイングが取り組んでいる、ローイングマシーンを活用し、オンラインで様々な人と一緒にローイングを楽しめる「バーチャル(コネクティッド)ローイング」は先進事例の一つです。
フォーラムでは、ワールドローイング理事およびインドアローイング委員会チェアのフィリップ・リュビチッチ氏が、バーチャルローイングに至るまでの今までの道のりや今後の未来について発表しました。
その後に、リオ2016大会でローイング競技銀メダリストのジェシカ・エディ氏が、最新のバーチャルローイングをステージ上で実演しました。エディ氏は、実際のインドアやバーチャルローイングでの体験談も共有し、スポーツの新たな可能性を提示しました。


シミュレーションスポーツゲーム取り組み事例
世界野球ソフトボール連盟発表:WBSCのeスポーツの軌跡:革新と成長

シミュレーションスポーツゲームとは、スポーツ競技をコンソールやパソコン等の媒体を使用しプレーするカテゴリーです。世界野球ソフトボール連盟(WBSC)は、ゲームパブリッシャーのコナミデジタルエンタテインメント社と連携し、野球ゲーム「eBASEBALL™ パワフルプロ野球」の世界大会を毎年開催しています。
WBSCのヘッド・オブ・イノベーションであるバレリオ・チャンフォーニ氏は、WBSCのeスポーツ戦略や大会シーン、そしてゲームパブリッシャーとの連携事業について発表しました。
従来のeスポーツゲーム取り組み事例
株式会社カプコン発表:カプコンeスポーツ「ストリートファイター6」グローバルでの大会シーン

従来のeスポーツゲームとは、リアルスポーツとは関係なく、eスポーツの競技シーンならではのコンテンツを指すカテゴリーです。
そのカテゴリーを代表する、日本発祥で世界的な人気を誇るeスポーツコンテンツである「ストリートファイター6」について、株式会社カプコンのEキャラクターライセンス事業統括 副統括・グローバルeSports事業部部長である田渕哲也氏が、長年にわたる国際的な大会シーンと今後の展望について発表しました。
フォーラム会場のホワイエには、バーチャル(コネクティッド)ローイングや、eBASEBALL™実況パワフルプロ野球の展示台が設置され、参加者はeスポーツやバーチャルスポーツを体験できる貴重な機会を得ました。また、JSCの研究発表ポスター展示も行われ、最新の情報を深く学ぶ場となりました。


本フォーラムは専門家による知見共有やネットワーキングの場として高く評価されました。特に、eスポーツとバーチャルスポーツが持つ可能性について具体的な事例が提示され、日本国内外でのさらなる発展への期待感が高まりました。
主催者からのコメント:
(独) 日本スポーツ振興センター理事長 芦立訓
JSCとワールドローイングの国際共同研究の一環として、ワールドローイングと共に「バーチャルスポーツフォーラム2025」を共催・共創できたことは非常に光栄でした。今年は、ワールドローイングのローラン会長の卓越したサポートにより、IOCの専門家をお迎えし、オリンピックEスポーツゲームズの最新情報と将来の展望についてご紹介いただく特別な機会を得ました。さらに、ワールドローイング、世界野球ソフトボール連盟、株式会社カプコンが、それぞれのeスポーツ分類に基づく貴重な事例研究を発表していただきました。
JSCとして、私たちはこの分野の国際的な動向を注視し続けることに変わりはありません。2026年の愛知・名古屋アジア競技大会および2027年のオリンピックEスポーツゲームズを見据え、研究に基づくアプローチを通じてアスリート支援に貢献することを目指しています。これらのeスポーツから得られた知見を従来のスポーツや社会全体に応用することを目指し、関連するステークホルダーと協力してこのビジョンを実現し、ハイパフォーマンスからライフパフォーマンスへ還元されることを楽しみにしています。
ワールドローイング会長 ジャン=クリストフ・ロラン
バーチャルスポーツフォーラム2025のオープニングを飾ることができ、大変光栄に思います。東京2020大会後に再び東京に集まることは、大会のレガシーを強調するものです。「オリンピックEスポーツゲームズから生まれる機会の探求」というテーマは、eスポーツの急速な成長を示しています。ワールドローイングは2021年からオリンピックのEスポーツの一部となっており、この取り組みを支援しています。バーチャルスポーツの進化は、ローイングにとって新たな観客を惹きつける大きな機会をもたらしています。今後も日本スポーツ振興センターと緊密に連携し、最先端の研究成果を活用することで、ローイングがデジタル時代のイノベーションの最前線に立ち続けることを確実にします。
バーチャルスポーツフォーラム 概要
1 主催 独立行政法人日本スポーツ振興センター
2 共催 ワールドローイング
3 後援 公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)
公益財団法人日本パラスポーツ協会(JPSA)日本パラリンピック委員会(JPC)
一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)
一般財団法人日本スポーツ政策推進機構(NSPC)
TMI総合法律事務所
4 協力 公益社団法人日本ローイング協会(JARA)
5 日時 令和7年3月26日(水)14:00~17:00(受付開始:13:30)
6 場所 esports銀座studio(コナミクリエイティブセンター)



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