日本に暮らす子どもたちが感じる「メディア」とは。メディアと子どものウェルビーイングの関連を探るインタビュー調査を実施。
近年、デジタル環境を中心としたメディア環境の子どもへの影響が示唆されています。子どもたちがどのようなメディアから、どういった影響を受けているのか、子どもの声から実態を調査しました。
子どもの孤立の解消に取り組むNPO法人PIECESは、一般社団法人Everybeingとともに「子どもの権利に根ざした情報発信ガイドラインに向けた調査」プロジェクトを実施しています。インタビューを通じてメディアに関する子どもの声を聴き、メディアのあり方を子どもの権利とウェルビーイングの観点から捉え直し、これからのメディアのあり方を見つめ直すことを目的としたプロジェクトです。
この度、日本に暮らす子どもたちがメディアについてどのように感じているのか調査し、子どもたちの声をまとめたレポートを発行しました。
URL:https://www.pieces.tokyo/s/web_media-interview24.pdf

インタビュー調査の実施背景と目的
子どものメンタルヘルスとウェルビーイングには、子どもの暮らしに関わる様々な環境が影響しています。SNSや、広告、テレビや雑誌など暮らしの中に広がる多様なメディア環境も、その一つです。
近年、特にデジタル環境を中心としたメディア環境の子どもへの影響が示唆され、OECDでは2021年5月に「デジタル環境における子どもに関する理事会勧告」が採択され、各国においてもデジタル環境の見直しが行われています。
子どもたちにとって、デジタル環境は日常の一部でもあり、アクセスの多様化の保証の一端を担う可能性がある一方で、子どものウェルビーイングを阻害する可能性もあります。
こういった背景から、子どもたちにとってどのようなメディアのあり方がウェルビーイングに寄与するのか、子どもの権利に根差しているのかを考え、社会へ実装していくことが急務であると考えています。
子どもへのインタビュー概要
プロジェクトの最初の段階として18歳までの子どもたちへインタビューを実施。子どもたちがどのようなメディア(媒体)から、どういった影響を受けているか、子どもの声から実態を調査。
時期:2024年10月~2025年2月
方法:対面またはオンライン
対象:小学校2年生~高校3年生 65人
質問内容:
・何をメデイアと捉えているか
・メディアをどのように使っているか
・メディアを使う理由
・メディアからどのような影響を受けているか
・メディアに望むことは何か
インタビューから見えてきたこと
・子どものたちは主にデジタル環境にアクセスしている
・アクセスするときの選択の基準は、媒体ではなくコンテンツが基準になることが多い
・メディアにおける誹謗中傷やコンフリクト、見たくない内容が報道されることなどに気分が影響されることがある
・自分の「推し」から様々な影響を受けている。明言はされていないが「推しの推し(化粧品やボディイメージなど)」から本人が気づかないうちに影響を受けている可能性もが示唆された
・自分から積極的にデジタル環境にアクセスしているだけでなく、「やることがないから」「気が付いたら見ている」「どんどんリコメンドされるから」といった状況も多く見られた
・情報の偏りやファクトではないことの報道や広告、誹謗中傷、出演者の固定化への疑問、それらを変えていくことへの願いも聴こえてきた


今後の取り組み
今回できるだけ様々な地域、環境に暮らす子どもたちを対象にインタビューを実施しましたが、乳幼児などを含め、まだまだ聴けていない声もたくさんあります。特に低年齢の子どもは、現実とメディアの情報が混沌と入り混ざることもあり、気づかぬ影響を受けやすくもあります。
今回の調査をもとに、2025年度はより多くの子どもたちの声を聴く大規模調査、子どもの権利に根差したメディアの事例づくりや勉強会などを実施していく予定です。最終的には、子どもの権利に根ざした情報発信ガイドラインの作成を行い、子どもの権利の普及及び子どもの権利に資する報道や情報発信を促すことを目指しています。
実施団体について
一般社団法人Everybeing
すべての存在の尊厳が尊厳のままに「相互に響き合い」「相互に経緯を交わし合い」ながら、おのずと「相互存在しあう社会」をさまざまな存在とともに育むことをめざして活動している。主要な取り組みとして、子どものパートナーとして、子どもとともに、子どもの権利とウェルビーイングに根差した社会のプロセスを育む活動に取り組んでいます。
ウェブサイト:https://everybeing.or.jp/
NPO法人PIECES
子どもの周りに信頼できる他者を増やすことで、子どもが孤立しない地域をつくることを目指しています。子どもの孤立が深まる前に、地域の中で子どもを見守り、子どもに寄り添う市民を増やすための市民性醸成プログラムや啓発活動を実施。一人ひとりが自分らしい市民性を醸成し、行動できるようになることで、子どもと自分、地域のウェルビーイングをつくることができると考えています。
ウェブサイト:https://www.pieces.tokyo
設立 : 2016年6月22日
代表 : 代表理事 斎 典道
所在地 : 東京都文京区本郷3-30-10 本郷K&Kビル5F 小野田総合法律事務所内 social hive HONGO
※本事業は日本財団より助成協力いただき、実施しています。
すべての画像