新たな移動体験を提供するレンタカー旅行向けコンシェルジュサービス、実証実験で有用性を確認
本サービスは、車内に複数設置する専用タブレット端末上で、マスコットキャラクターが旅行案内人となりさまざまな観光スポットやルートなどを提案します。同乗者全員が同じ画面情報を見て話し合う時間を共有することで生み出される一体感など新たな移動体験を提供します。観光スポットは、レンタカーの位置情報と利用者の属性を組み合わせて、利用者の嗜好に合わせて提案します。タブレット上で作成したプランから自動連携してナビゲーションする機能なども搭載します。
今後はモビリティ事業者はじめ複数事業者と機能追加やビジネスモデルの検討を行い、2022年度中に観光地での提供開始を目指します。
※本ニュースリリースは株式会社NTTデータとオリックス自動車株式会社、株式会社JTBコミュニケーションデザインが共同で配信しています。重複して配信されることがありますが、ご了承願います。
- 【背景】
NTTデータは、自動運転車や車内メディアを搭載したコネクティッドカーが登場する未来における自動車業界などへのサービス提供を見据え、さまざまな事業者との連携により移動自体の意味を再定義することを目指す「モビリティコマースサービス」の構想(注1)を2020年6月に掲げました。モビリティコマースサービスが実現する移動体験は、個人の嗜好に合わせた周辺情報のガイドやエンタメなどをレコメンドし、目的地(商業施設・レジャー施設・駐車場など)の利用予約も行うなど、消費者にとってシームレス・フリクションレスであることをコンセプトとしています。
オリックス自動車は、観光時の移動手段として利用される、レンタカー・カーシェア体験そのものの価値向上、多様化・細分化が進む移動ニーズへの対応や消費者接点の新規事業への活用を検討していました。
JTBコミュニケーションデザインは、兼ねてより観光産業において自動運転・MaaSが旅行者の旅のスタイルを大きく変えると考えてきました。国内においてさまざまなMaaS事業が動いており、多岐に渡り参画をしていますが、観光事業者の見込み客に対するコミュニケーションの在り方にもパラダイムシフトが起きると捉え、自動車ユーザーへの最適でリアルタイムかつ、ワクワクする手法での観光コンテンツ提供の在り方を検討していました。
そこでNTTデータのモビリティコマースサービス構想に参画する形で、3社でレンタカー旅行者向けサービスのプロトタイプを開発(注2)し、実証実験を行いました。
- 【実証実験の概要】
時期 :2021年2月
参加者 :NTTデータ、オリックス自動車、JTBコミュニケーションデザインの各社員注3 約20名
検証方法 :都内近郊で本サービスのプロトタイプが設置されたレンタカーに乗車し検証
実証したサービス:
車内の助手席や後部座席に専用のタブレット端末を設置し、同じ画面情報を表示します。どのタブレット端末でも画面操作を行うことができるため、どの座席に座っても同じサービスが受けられます。
今回開発した主な機能は以下のとおりです。マスコットキャラクターが旅行案内人となり、各機能の説明や案内を行うことで、利用者に新しい発見、楽しさを提供します。
機能 | 内容 |
レコメンド | 観光情報データに基づき、車内タブレット端末の位置情報と、個人の年代・性別・居住地などの属性情報を組み合わせて、利用者の嗜好に合わせた周辺のおすすめスポットを提案 |
ガイドブック | 目的地の飲食店や商業施設の営業時間、おすすめ商品などの情報を提示 |
行きたい場所リスト保存・ルート作成 | 気になった場所や行きたい場所を保存しつつ、目的地の変更や目的地までのルートを自由に入れ替えることにより、ルートが自動的に変更 |
ナビゲーション自動連携 | 目的地を登録すると、目的地までのルートが車内タブレット端末とドライバーのスマートフォンに自動連携し、ナビゲーションを実施 |
検証項目: 本サービスの利用意向、課金意向、および実用化に向けた機能等の改善点抽出
検証結果: 以下の検証結果により、本サービスの有用性を確認しました。
◆利用意向
実証実験の参加者のうち、レンタカーのオプションとして本サービスがあった場合に59%が「利用したい」、35%が「やや利用したい」と回答しました。また、レンタカーを借りる際に、他の条件が同じと仮定した場合に本サービスのあるレンタカー事業者を優先的に選ぶと回答した割合は94%でした。
総じて、参加者の9割以上が本サービスの利用について前向きな結果となりました。
◆課金意向
レンタカーのオプション料金として本サービスを利用すると仮定した場合、参加者の94%が300円~1,500円の範囲内であれば利用したいという結果でした。
課金意向についてサービスの実用化に向けて十分に高い結果が得られました。
◆実用化に向けた機能等の改善点
参加者には車内での新しい移動体験やサービスとして受け入れられ、例えば車内のタブレットから周辺の観光情報などが自動的に提供されることで受動的に情報を受け取れ、同乗者が同じ内容や体験を共有できると評価されました。一方で、レコメンド機能やコンテンツの充実、デザインにさらに工夫が課題であることが分かり、改善の方向性を検証できました。
なお、参加者の感想(抜粋)としては下記のとおりです。
自動車内でのカーナビの使いにくさを補ってくれる部分に価値を感じた。 |
行先などを考えるのが面倒なときにキャラクターからおすすめされると、ついそこへ行ってみたくなった。 |
キャラクターの案内がテーマパークのアトラクションのようでワクワクした。 |
はじめはスマホで十分ではないかと感じていたが、実際に使うとクルマの中ならではの価値があり、車内の一体感を感じることができた。 |
行先の混雑状況や見どころスポットや名産品などを知りたい。行先の予約やクーポンなども提供してくれると嬉しい。 |
- 【消費者調査】
実証実験と同時期に、全国20~40歳代から年1回以上の頻度で旅行へ行く方(約1,250名)を対象に、サービスの利用意向やその理由などのアンケートと、一部の方にインタビューを実施しました。総じてサービスコンセプトの受容性が高く、特にアンケートでは約7割の回答者がサービス利用のためにレンタカーのオプション料金を支払っても利用したい、という結果でした。特に、レコメンド機能やナビゲーション自動連携機能などへのニーズが大きく、さらにさまざまな周辺サービスとの連携を求める声が多くありました。
アンケート対象者のうち、さらに10名に対して、実際の自動車に本サービスを取り付けた状態で体験してもらい、利用意向を確認しました。10名全員が、アンケート時点で利用意向のなかった人も含めて、レンタカーで本サービスがあった場合には利用したいと回答しています。実際にサービスを体験してもらうと利用意向が高まるという傾向を確認できました。
- 【各社の役割】
NTTデータ :ビジネス・サービス企画、プロトタイプのシステム開発、自動車位置情報の取得、実証実験の実施や結果分析
オリックス自動車 :レンタカー事業における本サービス活用の検討・検証、車両の提供
JTBコミュニケーションデザイン:旅行者の行動傾向や観光地の人流情報などノウハウの提供と事業プロデュース、自動車(移動)空間における観光コンテンツなどのコミュニケーション手法の提案
- 【今後について】
今後、3社をはじめ各事業者と機能追加やビジネスモデルの検討を行い、2022年度中に観光地でのサービス提供開始を目指します。
将来的には移動中のサービス消費市場が数兆円規模になると考えています。モビリティ事業者に向けてはすでにレンタカー・カーシェアに加えて完成車メーカー・部品メーカーへの導入も検討し、またサービス事業者については、観光をはじめ商業施設などの小売り、エンターテインメント、金融などの事業者と連携を始めているなど、モビリティ分野での新規事業を検討する企業や自治体などと幅広く連携していきたいと考えています。
私達は、未来の移動体験を描き続け、イノベーションを推進し、新たな移動文化・ライフスタイルの創出を目指します。
(注1)2020年6月18日ニュースリリース :NTTデータとunerry、「新たな移動体験」の提供に向け資本業務提携
https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2020/061801/
また、モビリティコマースサービスの実現に向けた実証実験を行っています。
2021年6月8日ニュースリリース :デンソーとNTTデータ、車流×人流データを活用した移動体験変革の実証を完了
https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2021/060801/
(注2)プロトタイプ開発にあたっては、株式会社セガ エックスディー(UI/UXデザイン)、Star Global Consulting inc.(アプリ開発)、HERE Technologies(地図制作)、株式会社JTBパブリッシング(観光情報提供/るるぶDATA)の各社と協力しています。
(注3)一般の旅行者を対象に実施予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、関係各社の社員で実施しました。
*商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
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