【大阪文化服装学院】伝統技術の継承にデジタルを活用!産地の職人技による希少な「匠の素材」を3Dモデリングでロスなくクリエイティブ商品に昇華(成果報告)
日本製にこだわるブランド「慈雨(じう)」における企画プロセスでの3Dモデリングの活用とその有効性を検証する実証プロジェクト
デザイナーおよびファッション人材を育成する大阪文化服装学院(以降OIF、学校法人ミクニ学園 理事長 豊田 晃敏 所在地:大阪市淀川区三国本町)のファッション・クリエイター学科 3Dモデリストコースは、アパレルメーカーのマツオインターナショナル株式会社(以降マツオインターナショナル、代表取締役社長:松尾 憲久 所在地:大阪市中央区備後町)と協業し新たな視点でのデジタルの活用法を検証するプロジェクトに取り組みました。日本製に拘る同社のブランド「慈雨(じう)」の希少なオリジナル素材をクリエイティブな商品に仕上げるべく、学生が3Dモデリング技術を活用して商品企画を行いました。
OIFは、2021年に日本初となる3Dモデリストコースを設立して以来、様々な企業との協業や学会等での研究発表を通じて、ファッションスクールにおけるデジタル教育の在り方や3D人材がアパレル業界にもたらすメリットについて検証して参りました。今回のマツオインターナショナルとのプロジェクトでは、3D モデリストコース3年生8名が、3Dモデリングを活用しPC上で何度もシミュレーションを繰り返すことで、産地の職人技による希少価値の高い「匠の素材」を無駄にすることなく、クリエイティブに徹底的に拘るものづくりに挑みました。伝統技術を後世に残すという観点でのデジタル技術の活用とその有効性を検証しました。
■本プロジェクト実施の背景について
日本のファッション業界は、コロナ禍の売り上げの落ち込みを受け、感染症法上の位置づけが5類に移行後、従来の見込み生産・大量生産・大量廃棄の方式に一時的に回帰しました。これにより、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが停滞しましたが、OIFでは未来のファッション産業を支えるDX人材の育成が引き続き重要と考え、変わらず推進して参りました。
今回のプロジェクトでは、国内の産地で生産された生地と、OIFの3Dモデリングコースの技術を組み合わせたものづくりに挑戦。国産の生地は、高度な熟練技術により、海外製品にはない特有の風合いと品質の高さを保持していますが、安価な海外製品との価格競争や後継者不足などにより、昨今は消滅の危機に瀕しています。今回使用した国内産の大柄ジャカード生地も、高価で希少な素材のためサンプルを何度も作ることができないという課題があり、デジタル上で表現できる3Dモデリングの特性を大いに発揮した取り組みとなりました。
これまでも、OIF×TFL×株式会社アーバンリサーチ×株式会社ヤギとの"産産学学"商品化プロジェクト(参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000081590.html ) など、様々な協業を実施してきましたが、今回の企画では、学生の3Dモデリング技術の精度がさらに上がり、よりリアルで質の高い3DCG制作が実現しています。
■プロジェクトの流れ~商品化まで
6月 キックオフ講義
マツオインターナショナルの執行役員 小林様、マーチャンダイザー(MD) 佐野様が来校。学生に向けて、企画の内容やブランド「慈雨」についての紹介が行われました。
本企画で使用する「匠の素材」の背景や希少性、国内産地の現状についての解説があり、学生たちは本プロジェクトの意義を理解しつつ、実際に生地に触れながら、クリエイションアイデアを膨らませました。
10月 企業プレゼンテーション
ブランド「慈雨」についてのリサーチを行い、それぞれの企画のペルソナ、ターゲット、コンセプトを設定。素材の特性を入念に研究し、3Dモデリングにより何度もシミュレーションを重ね、デザインを検討。
プレゼンテーションでも制作した3Dモデリングを示しながら企画説明。
学生8名のプレゼンテーションを精査し、最終選考に進む企画が選定されました。
11月 サンプル完成
最終選考に進出した3名の企画が決定。学生が制作した3Dモデリングをもとに、慈雨の生産チームがサンプルを製作。
12月 商品化決定
サンプル化された3名の企画について、オリジナリティや商品としての完成度など、様々な観点で検討され、その結果「影~SHADOW」をコンセプトとした大前尚輝さんの企画が選ばれ、商品化されることが決定。
「影~SHADOW」の企画コンセプト
影は光によって、目に見えている物質を変化させる。三次元をあらゆる角度から二次元へと融解させ、おもいがけないシルエットを生み出す。 暑い日差しが差す中、ふと足元を見た時、その衣服の本質を見ることが出来る。
商品化された大前さんのデザインは、衣裳に光が当たった時に浮かび上がる影が女性の顔を描くというギミックを生む繊細なシルエットが特徴的な企画です。3Dモデリングでのシミュレーションを何度も繰り返すことで、産地の職人技による希少価値の高い「匠の素材」を無駄にすることなく、クリエイティブに徹底的に拘ることができた成果と言えます。伝統技術を後世に残すという観点でのデジタル技術の活用は極めて有意義であり、その有効性が実証されました。
期間限定展示・販売会の様子(すでに終了しています)
展示販売期間: 2024/2/16(金)~3/3(日)
開催場所: about her. 2F about her. space
住 所: 大阪府箕面市船場東 2-6-55
■慈雨(jiu)について
マツオインターナショナル株式会社のファッションブランド。
CONCEPT=Modern elegance=
一枚の布を創造 自然な着心地を追求し、考え抜かれたシルエットとオリジナル素材の融合が生む、完成度の高いコーディネートを表現。「和」のような伝統美を意識したオリジナル素材を中心に、生地にあまりカットを入れずに素材感を活かす事を意識したこだわりをもった物作りをしています。「Cloth of Fabric 織地の布」に興味を持ち、身体とともに付かず離れずの距離を持ちながら、風に揺らいでいる一枚の布をイメージしてシルエット作りをしています。一片の布は存在のかけらであり、一本の糸、一つのアイディア、そして一つの夢からできている。 時代を超越して変わらない普遍的な魅力、人と人の心が重なり、物自体の後側にあるストーリー。自分の個性、こだわり、内面の美しさを活かす為の服をその時代にあったテイストの幅広いコーディネート群で「楽しさ」「遊び」を表現した服を作り続けていきたいと思っています。
■マツオインターナショナル株式会社
・唯一無二のものづくり
マツオインターナショナルのものづくりとは、「この世にないものを作り出すこと」。当社は、目まぐるしく変わるこの時代に、ものづくりへのまっすぐな信念とその想いを貫き続けてきました。 当社の商品企画は、新潟にある自社織物工場「匠の夢」をはじめ、国内の素材産地と連携をしながら、デザイナーが糸1本から丁寧に、独自のオリジナル素材の開発や異素材によるマルチコーディネイト等、唯一無二の商品開発を行っています。
・生活を豊かにデザイン
テキスタイルの卸売会社として創業し、「テキスタイル」「アパレル」の2つの事業を展開しています。1980年代にはリテーラー(小売業者)の存在感が増すなかで、当社は早くからお客さまの声を重視し、現在は「大人の女性のライフスタイル全体を提案するブランド」としてオリジナルブランドを展開し進化を遂げています。現在は服だけではなく、国内外のクリエイターとのコラボレーションをしながらギャラリー運営をしたり、または植栽事業も展開しています。固定概念に捉われず多角度からお客様の生活を豊かにしていく事を目指します。
所在地:大阪市中央区備後町3-4-9 輸出繊維会館3F
代表取締役社長:松尾 憲久
TEL:06-4706-2248 / FAX:06-4706-2241
■ファッション・クリエイター学科3Dモデリストコースについて
3DCGを駆使し、業界のDXを推進する次代のクリエイター「3Dモデリスト」を育成するコース。2DのCADで作図されたパターンをPC内で立体(3D)の形状に仕上げる技術を習得します。高精度な3DCGは、ウェブショップの商品写真やファッションショーにまで活用でき、生産におけるロスを削減するため、経費や時間の効率化を実現します。また、メタバース空間やNFTマーケットプレイスにおける販売等、デジタルファッションの成長は目覚ましく、業界から最注目の分野です。
OIFは、2021年、日本のファッション専門学校として全国で初めて「3Dモデリストコース」を新設している。
■大阪文化服装学院(OIF)
創立77年の歴史を持つ、西日本最大級のファッション専門学校。「ファッションで社会に貢献する」という経営方針のもと、近年は海外のファッションスクールとの連携を高め、国際的に活躍できる人材の育成に注力。また、世界的にDXへのニーズが高まるなか、デジタルコンテンツへの投資も積極的に行い、「国際感覚」と「デジタルスキル」を融合し、新たな価値を生み出す創造力を養成している。「日本で最も高い成果をあげ、アジアを牽引する発信力を持ち、世界から信頼されるファッション教育機関であり続ける」ことをビジョンに掲げている。
2024年に発表された、繊研新聞主催「第1回ファッションスクールアワード」では「準大賞」に選出。全国2位(西日本1位)にランキングされている。
学校法人ミクニ学園 大阪文化服装学院
所在地:大阪市淀川区三国本町3丁目35-8
理事長:豊田 晃敏
TEL:06-6392-4371 / FAX:06-6391-5600
■この件での取材・お問合せは以下まで
大阪文化服装学院
経営企画本部:加藤 圭太、IR・広報課:齋藤 佳孝
TEL:06-6392-4371 / FAX:06-6391-5600
e-mail: ir_oif@osaka-bunka.com
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