「MONEX 個人投資家サーベイ 2013 年10 月調査」

消費増税後の安倍政権、個人投資家は好意的な評価

マネックス証券株式会社

 マネックス証券株式会社(以下「マネックス証券」)は、2009 年10 月より、マネックス証券に口座を保有する個人投資家を対象に、相場環境に対する意識調査を月次で実施しております。
 このたび、2013 年10 月11 日~15 日にインターネットを通じて実施したアンケート調査1,213 件の回答結果を報告書にまとめました。

【調査結果要約】
(1)個人投資家の見通しDI(※1)、日本株は2020 年夏季東京五輪開催決定を受け上昇
 【日本株DI】 (2013 年9 月) 41→ (2013 年10 月) 56 (前月比+15 ポイント)
 【米国株DI】 (2013 年9 月) 27→ (2013 年10 月) 25 (前月比-2 ポイント)
 【中国株DI】 (2013 年9 月) -46 → (2013 年10 月) -32 (前月比+14 ポイント)
 日本の個人投資家に今後3 ヶ月程度の各国(日本、米国、中国)の株式市場見通しについてたずねました。2020 年夏季五輪の東京開催決定などの影響を受け、日本株DI は上昇しました。中国国家統計局の発表した9 月の製造業PMI は51.1(8 月は51.0)と小幅な動きではありましたが、金融市場への不安が後退していることなども含められた結果、中国株DI は、3 か月連続で上昇しました。一方、米国国債の債務上限到達問題などの影響から米国株DI は小幅な動きにとどまりました。
 (※1)「上昇すると思う」と回答した割合(%)から「下落すると思う」と回答した割合(%)を引いたポイント

(2)業種別魅力度ランキング、「自動車」「医薬品」をおさえて「不動産」が首位に
 個人投資家が「魅力的であると思う業種」ランキングでは、前回調査まで9 ヶ月連続で「自動車」と「医薬品」が上位2 位を独占していましたが、2020 年夏季東京五輪開催が決定したことが影響し、調査開始(2009 年10 月)以来初めて「不動産」が首位となりました(3 位→1 位)。その他に順位を上げたのは「機械」(8 位→7 位)、「鉄鋼」(11 位→9 位)、逆に順位を下げたのは「自動車」(1 位→2 位)、「医薬品」(2 位→3 位)、「銀行」(7 位→8 位)、「小売」(9 位→10 位)、「海運」(10 位→11位)、「石油関連」(11 位→12 位)となりました。

(3)個人投資家は、米国の政治・外交および金融政策に着目
 国内のトピック(企業業績/金融政策/政治・外交/金利動向/為替動向/マクロ経済)への注目度は今月も依然として高水準ですが、中でも金利動向については前月比+4.1%増で着目を集めています。
そんななか米国国債の債務上限到達問題やオバマ大統領が次期FRB 議長にジャネット・イエレン氏を指名したことなどを受け、個人投資家の米国の政治・外交問題や今後の米国の金融政策に対する関心も高まっているようです。(前月比 米国の政治・外交問題:+4.7% 今後の米国の金融政策:+7.9%)。

(4)軽減税率適用終了に伴う投資行動について
 今回は、2013 年12 月31 日に終了する軽減税率(譲渡益および配当)の適用に伴う投資行動についての設問を追加しました。
回答者の約半数が「軽減税率が終了するという理由だけでは、保有株式の売却はしない」と考えている一方、約4 割が評価損益の状況次第で、軽減税率終了前に売却を検討していることがわかりました。また、残りの1 割強については軽減税率終了についての認識がなかったことがわかりました。
 (ご参考)
 マネックス証券ウェブサイトでは、軽減税率廃止についての注意点をご案内しています。
 詳細はマネックス証券ウェブサイトにてご確認ください。(http://www.monex.co.jp

(5)消費税増税に踏み切った安倍政権に個人投資家は好意的な評価
 消費税増税に踏み切った安倍政権の評価についてたずねたところ、「評価する」「どちらかといえば評価する」と好意的な回答が全体の6 割を超えました。特に50 代以降の個人投資家が消費税増税に対してより好意的な意見をもっていることがわかりました。
 好意的な回答の理由としては、「デフレ脱却が道半ばであり、日本経済には一時的にマイナスかもしれない」と前置きをおきつつも、長期的にみてこのタイミングで消費税増税を決断したことに対して、希望的観測も含めて評価する内容が目立ちました。
一方、「評価しない」「どちらかといえば評価しない」と回答した個人投資家は、消費税増税そのものに対して評価していないのではなく、消費税増税開始のタイミングについて異を唱える意見が多いこともうかがえました。

調査結果
1. 株式市場を取り巻く環境について (参照グラフ①&②&③)

2. 為替市場について (参照グラフ④)

3. お客さまの日本株取引について (参照グラフ⑤)

4. 注目するトピック (参照グラフ⑥)

5. 軽減税率(譲渡益及び配当)の適用終了に伴う投資行動について (参照グラフ⑦)

6. 消費税増税に踏み切った安倍政権の評価について (参照グラフ⑧)

・「評価する」「どちらかといえば評価する」理由(アンケート結果より一部抜粋)
「社会保障等年金改革、公務員等諸経費削減、規制緩和、法人税減税等同時又は先行して実施すべき課題はあったが、国際公約の実現が出来た点は良かったと思う。」
「景気への悪影響は懸念され株式投資家としては短期的には株価への悪影響を覚悟せざるを得ないが、長期的観点に立てば誰かが消費税を上げざるを得ない訳で、今がそのタイミングと納得せざるを得ない環境にある。」
「デフレ脱却が未だの状況での増税には疑問が残るが、昨年の三党合意で決まったことでもあるし、市場も考慮に入れ、アベノミクスの成長戦略の成功と日銀の金融政策を信じて評価したい。」
「消費税は、増税とならざるを得ないと思っている。景気上昇に向けて使われる増税ならばOKではあるが、保護するための費用の捻出のためならば、数年で日本は潰れると思う。景気回復で、意欲のある世の中にするためならば、段階をふまずに、むしろ10%にしてしまった方が、経済にも良いと考える。」
「日本経済には一時的にマイナスかもしれないが、世界に対するパフォーマンスとしては必要だったと思う。」

・「評価しない」「どちらかといえば評価しない」理由(アンケート結果より一部抜粋)
「デフレ継続中にも関わらず増税を決定したから。これは公約違反です。また、財務省に大勢を握られている点も情けない。」
「年収が低下している中での増税は、ますます景気が鈍化してしまう。税収が伸びなければ元も子もない。相当な財政出動が必要になると思う。増税は相続税のみ必要。」
「給与等の増加が確認された後の8%実施が望ましかったが、国際的な信認もあったのでしょうがない面もあったかと思う。」
「個人所得が増えていないのだから、ここで消費税を上げると負担ばかりが多くなる。絶対に景気の腰を折ると思う。まずは歳出削減してからだと考えているから。」
「デフレ下で増税しても税収の増加につながらず、消費または投資の冷え込み、最終的にはGDPの低下につながる可能性が高いため。」
「デフレ脱却途中に、増税することはデフレ脱却を止めることに等しい。まさに財務省に乗せられた自己矛盾政策だから。」
「人々の生活が改善されてから、消費税を上げるべきで、一部大手企業の簿価や株価が上昇しているだけの状況では評価できない」
「景気回復の初期で増税を行うと、芽を潰す結果になりかねない為。金融緩和を中心に安倍政権自体は評価します。」
「デフレから脱却する事が困難になったから。ブレーキとアクセル両方踏む愚挙だから。完全にタイミングを間違えている。いろいろ問題もあるが増税は致し方ない側面もあると思います。ただ最低でも1 年延期するべきだった。税収が増えなければ、また増税になる。ただ、このタイミングで税率を上げても税収は上がらないのではないかと危惧しています。」

■総 括 (マネックス証券フィナンシャル・インテリジェンス部)
 今回の調査では、個人投資家の日本と中国に対する見通しDI は大きく改善しました。中国については発表されている各種経済指標を見ると景気悪化に歯止めがかかり、景気回復に向かう兆候が出てきていること、7 月以降株式市場が堅調に上昇していることが投資家の心理改善を促したと思われます。

 米国株DI は小幅に悪化しましたが、調査を実施した10/11~10/15 は米国の政府機関閉鎖が続き、債務不履行(デフォルト)が懸念されていた時期で、悪化もやむなしといったところでしょう。

 日本は2020 年の夏季五輪の東京開催決定が投資家心理を明るくさせた側面が大きいでしょう。業種別魅力度ランキングで不動産が首位に踊りでたことは、その象徴ではないでしょうか。また、消費税増税について増税自体への賛否両論はあるものの、未確定だったことが確定したという意味では安心感をもたらしたのかもしれません。

 消費税増税の実施を決めた安倍政権については6 割強の投資家が「評価する」「どちらかといえば評価する」と回答しています。アンケートから個別の意見をピックアップすると、評価している投資家もデフレ脱却半ばでの増税実施には疑問を持ちつつも、国際公約や財政問題の深刻化を前に「仕方がない」といったニュアンスが強いように思われます。一方、「評価しない」「どちらかといえば評価しない」といった回答をした投資家の意見を見てみると「増税はやむを得ないもののタイミングがよくない」「デフレ脱却を優先するべき」といった意見が目立ちました。

 前回の消費税増税時は増税が実施された1997 年4 月の約半年前に株価はピークアウトし、その後一旦はリバウンドしたもののアジア危機等の影響もあり、再び大きく下落しました。今回安倍晋三総理は5 兆円規模の景気対策を用意していますが、景気対策によって日本経済は景気後退を回避できるのか、株式市場はどのように動くのか、日銀の追加緩和は行われるのか、そして本当にデフレ脱却を果たせるのか。まさにこれから日本経済の正念場とも言えそうな局面を迎えそうです。

(ご参考)消費税増税、決定。どうなる日本株 増税時の値動きを徹底検証
今回も皆様方のご協力で、大変貴重なデータを作成・分析することができました。本当にありがとうございました。今回のサーベイが個人投資家の皆様方の投資判断の一助となれば幸いです。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部)

調査の概要と回答者の属性
調査方式: インターネット調査
調査対象: マネックス証券に口座を保有している個人投資家
回答数: 1,213 件
調査期間: 2013 年10 月11 日~10 月15 日

本情報は当社が実施したアンケートに基づいて作成したものです。

・ 本情報は売買のタイミング等を反映したものではなく、また示唆するものではありません。
・ 当社は記載した銘柄の取引を推奨し、勧誘するものではありません。
・ 当社は本情報の内容に依拠してお客さまが取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。
・ 銘柄選択や売買タイミングなどの投資にかかる最終決定は、お客さまご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


ビジネスカテゴリ
証券・FX・投資信託
ダウンロード
プレスリリース素材

このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます

会社概要

マネックス証券株式会社

62フォロワー

RSS
URL
https://www.monex.co.jp/
業種
金融・保険業
本社所在地
東京都港区赤坂1丁目12番32号 -
電話番号
-
代表者名
清明祐子
上場
未上場
資本金
122億円
設立
1995年05月