〈中小企業経営に関する実態調査 第1弾〉中小企業で最多の物価高騰対策は「価格転嫁」 約半数が円安・物価高のマイナスの影響へ対策を要する中、「価格交渉促進月間」について理解している経営者はわずか2.2%

価格交渉の推進に改善が求められる現状が明らかに

フォーバル GDXリサーチ研究所

 Green(グリーン)とDigital(デジタル)を活用した中小企業の変革を目指すフォーバル GDXリサーチ研究所(本社:東京都渋谷区、所長:平良学)は、中小企業の経営者851人に「中小企業経営に関する実態調査 」を実施しました。

 インフレや原材料・エネルギーコストの上昇に伴い、「価格交渉」が企業にとって重要な焦点となっています。しかし、企業の間で価格交渉の理解と実施にはまだ大きなギャップがあります。今回は、中小企業経営における物価高対策と価格交渉促進の実態について調査を実施しました。

【調査結果サマリー】

①物価高による影響、約7割の企業が「マイナス」と回答

  物価高と円安の影響により約5社に1社の中小企業で資金需要が増加

  プラスの影響を実感している企業は少数、経営環境の厳しさが浮き彫りになる結果に

②物価高対策を実施している企業は約3割

  そのうち約6割が「効果を感じている」と回答し多数派に

  約8割が物価高対策で「価格転嫁」を実施しており最多の結果に

③約4割の企業が価格転嫁に成功している一方、 

  約2割の企業は交渉すらできず、経営課題として浮き彫りに

  約6割の企業が価格交渉促進月間について「知らない」と回答

本リリースの調査結果をご利用いただく際は、必ず【フォーバル GDXリサーチ研究所調べ】とご明記ください。

【アンケート概要】

・調査主体         :フォーバル GDXリサーチ研究所

・調査期間         :2024年7月8日~2024年8月10日

・調査対象者  :全国の中小企業経営者

・調査方法         :ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析

・有効回答数      :851

①物価高による影響、約7割の企業が「マイナス」と回答

   物価高と円安の影響により約5社に1社の中小企業で資金需要が増加

   プラスの影響を実感している企業は少数、経営環境の厳しさが浮き彫りになる結果に

Q1.円安や物価高による貴社の影響をそれぞれ教えてください。

 円安の影響について、「マイナスの影響を受けている」(23.7%) 「ややマイナスの影響を受けている」(26.2%)と合わせて、49.9%がマイナスの影響を受けたという回答結果となり、「影響は受けていない」が44.7%、「ややプラスの影響をうけている」(3.6%) 「ややプラスの影響をうけている」(1.8%)が合わせて5.4%となりました。

 また、物価高の影響については、「マイナスの影響を受けている」(33.4%) 「ややマイナスの影響を受けている」(43.2%)と合わせて、76.6%がマイナスの影響を受けたという回答結果となり、「影響は受けていない」が17.9%、「ややプラスの影響をうけている」(3.6%) 「ややプラスの影響をうけている」(1.9%)と合わせて5.5%でプラスの影響を受けたと回答し、約7割の企業が物価高からマイナスの影響を受けていることが明らかになりました。

 これらの結果から、円安と物価高により多くの企業がマイナスの影響を受けていることがわかります。

Q2.貴社は物価高による影響で資金需要が発生しましたか。

 物価高の影響による資金需要については、資金需要が「発生した」と回答した企業が18.1%、「発生していない」と回答した企業はが81.9%となりました。約5社に1社の中小企業において、物価高の影響で資金需要が増加していることが明らかになしました。

②物価高対策を実施している企業は約3割

   そのうち約6割が「効果を感じている」と回答し多数派に

   約8割が物価高対策で「価格転嫁」を実施しており最多の結果に

Q3.貴社は物価高への対策を実施していますか。

 物価高への対策を実施しているかについての設問では、「実施している」と回答した企業が34.2%、続いて「実施していないが検討している」が32.0%、「実施しておらず検討もしていない」が33.8%となりました。

Q4.貴社での物価高に対する具体的な対策を教えてください。

 物価高に対する具体的な対策について、「価格転嫁」を行っている企業が86.3%と最も多く、続いて「固定費の見直し」が38.8%、「生産性の向上」が26.8%となりました。物価高の対策を実施している中手企業の8割以上が「価格転嫁」を行っていることが分かります。

Q5.物価高への対策による貴社での効果を教えてください。

 物価高対策による効果について、「十分に効果を感じている」(7.9%)「やや効果を感じている」(53.6%)と合わせて61.5%が効果を感じているという結果となりました。また、「あまり効果を感じていない」(33.0%)「全く効果を感じていない」(5.5%)という結果で、合わせて38.5%が効果を感じていないことが分かりました。

 これらの結果から、物価高への対策を実施している企業は34.2%で、そのうち61.5%が効果を実感していることが明らかになり、中小企業への物価高対策実施の促進と、より効果を実感できる対策が必要であると推測されます。

③約4割の企業が価格転嫁に成功している一方、 

   約2割の企業は交渉すらできず、経営課題として浮き彫りに

   約6割の企業が価格交渉促進月間について「知らない」と回答

Q6.貴社での価格転嫁に対する状況を教えてください。

 価格転嫁に対する状況について、「取引先(発注側事業者)に協議を申し入れることができていない

」と回答した企業が17.0%、「取引先(発注側事業者)に協議を申し入れたが、協議に応じてもらえなかった」が5.6%、「取引先(発注側事業者)に協議を申し入れ、協議に応じてもらった・もらっている」が45.7%、そして「取引先(発注側事業者)に協議を申し入れる必要はないその他無回答」が31.7%となりました。

Q7.今後貴社では商品やサービスの値上げをする予定はありますか。

 今後の商品やサービスの値上げをする予定に、「ある」と回答した企業が46.7%、続いて「ない」が31.7%、「既に直近で値上げを行った」が21.6%という結果となりました。

Q8. 「価格交渉促進月間」について知っていますか。

 「価格交渉促進月間」についての認知度については、「知っており、他の人に説明できる」と回答した企業が2.2%、「知っているが、説明できるほどではない」が9.5%、「聞いたことはあるが、よく知らない」が22.6%、そして「知らない」が65.7%となっています。政府が定めている「価格交渉促進月間」について認知度が低く、わずか2.2%の中小企業でしか理解が進んでいない現状が浮き彫りとなる結果となりました。

Q9.政府の物価高に対する対応について、どの程度満足していますか。

 政府の物価高に対する対応についての満足度についての調査結果では、「十分に満足している」と回答した企業が0.5%、続いて「やや満足している」が5.2%、「あまり満足していない」が42.2%、そして「全く満足していない」が52.2%となりました。

 円安や物価高からマイナスの影響を受けている中小企業が多い中、Q3では物価高対策を実施している企業が少ないことが分かりました。一方でQ4の結果では、実施している企業の中では「価格転嫁」を実施している企業が多いこともあきらかになりました。この結果から、価格転嫁を実施したいができていない、または、価格交渉がしきれてないという中小企業の現状を推測されます。

 また、Q8,Q9の結果では「価格交渉促進月間」についての認知度が低く、中小企業への価格交渉の促進に課題があるということができます。

【有識者のコメント】中小企業の物価高への対応、賃上げの現状について

フォーバル GDXリサーチ研究所所長

平良 学(たいら・まなぶ)

 

■経歴

1992年、株式会社フォーバルに入社。九州支店での赤字経営の立て直し、コンサルティング事業の新規立ち上げ、

全体統括を経て、2022年に新たに発足した中立の独立機関「フォーバル GDXリサーチ研究所」の初代所長に就任。

中小企業経営の実態をまとめた白書「ブルーレポート」の発刊、全国の自治体と連携し、地域の中小企業経営者に向けたDX、GXの講演、中小企業経営者向けのイベントの企画などを通じて、中小企業のGDXを世に発信している。

■コメント

 今年、政府から発信された経済財政運営と改革の基本方針、骨太の方針でも大きく取り上げられている物価高への対応、賃上げの中小企業における現状について調査を実施しました。

 物価高は全体の76.6%の中小企業がマイナスの影響を受けており、直近の経営課題のひとつと言えるでしょう。それに 対し、価格転嫁や固定費の見直しといった対策を中心に講じており、対策にもよりますが6割~7割の企業が効果を実感しています。物価高の影響を受けているがまだ対策できていない企業はぜひ参考にしていただければと思います。

 また、賃上げについては半数を超える企業が実施をしている状況でした。世の中の動きを踏まえ、中小企業の賃上げも確実に進み始めています。物価高への対応や賃上げを実施する中小企業をサポートする政府の制度や施策が、さらに充実し、中小企業の活動を後押しすることを祈念いたします。

■フォーバル GDXリサーチ研究所とは

 日本に存在する法人の99%以上を占める中小企業。この中小企業1社1社が成長することこそが日本の活力につながります。中小企業が成長するための原動力の1つにGreen(グリーン)とDigital(デジタル)を活用し企業そのものを変革するGDX(Green Digital transformation)があります。

 フォーバル GDXリサーチ研究所は、中小企業のGDXに関する実態を調査し、各種レポートや論文、報告書などをまとめ、世に発信するための研究機関です。「中小企業のGDXにおける現状や実態を調査し、世に発信する」をミッションに「中小企業のGDXにおいてなくてはならない存在」を目指し活動していきます。

HP:https://gdx-research.com/

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会社概要

株式会社フォーバル

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業種
情報通信
本社所在地
東京都渋谷区神宮前 五丁目52番地2号 青山オーバルビル14階
電話番号
03-3498-1541
代表者名
中島 將典
上場
東証スタンダード
資本金
41億円
設立
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