人と共存する次世代生産ロボットを実現する高速ビジョン安全領域センサの開発【産技助成Vol.49】

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
独立行政法人産業技術総合研究所


高速ビジョンセンサ(カメラ)を用い人の存在や位置を確実に検知しロボットを制御する
国際安全規格に準拠した日本初の安全センサシステム技術を開発
様々な産業の工場内での人とロボットの安全な共存作業を実現

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【新規発表事項】 
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)の産業技術研究助成事業(予算規模:約50億円)の一環として、独立行政法人産業技術総合研究所の研究員、中坊 嘉宏氏は、高速ビジョンセンサ(カメラ)を用い、人の存在や位置を確実に検知しロボットを制御する国際安全規格に準拠した日本初の安全センサシステム技術を開発しました。
 本技術は、欧州の鉄道安全関連伝送規格EN50159に基づく、人と共存して働くロボットの実現に不可欠な符号化パターンを用いた光マーカーによるセンシングシステムです(図1)。
従来、カメラシステムや画像処理では人を確実に捉えるということが困難であり、もしも人の検出に失敗すればロボットと作業員との衝突事故に直結するため、これまで産業用ロボットは柵囲による人との分離作業を原則としていましたが、本技術を用いると人がロボットに近付くとそれを検知してロボットを停止させることができ、衝突を避けることができます。
また、本技術は国際安全規格や国の安全性ガイドラインに適合し、世界に通用するシステムです。


1.研究成果概要
本研究でクリアしなければならなかった最大の課題は「絶対に間違えずに100%の確率で、確実に人の位置を検出する」ということです。本研究は人に発光マーカーを装着し、その光をカメラで受光して解析するシステムなので、人から発せられた光を100%確実にカメラが受光できれば、100%で人の位置を検出できるということになります。そこで、この「発光-受光」の関係を「通信システム」として読みかえ、発光については機械や外部などからの光と絶対に間違わないものに、受光については絶対に捉え損なわないものにすればよい、と課題を明確にしました。
発光については、点滅パターンをヨーロッパの国際安全規格である通信安全規格EN50159に沿って符号化することで、他の光と絶対に間違うことが無いようにしました。さらに、ロボットと人間ができるだけ近くで作業できるように、可能な限り速く点滅するようにしました。一方の受光については、速い点滅を確実にとらえるために、超高速カメラを用いて、1秒間に1000コマを取り込んで処理ができるシステムを採用しました。


2.競合技術への強み
1)ロボットと人手の良いところを活かす:人手のみのセル生産も、ロボットのみの完全自動化生産も、生産する商品の種類や生産性については一長一短がありますが、本システムは人とロボットが共存して作業をすることで、それぞれの良いところを活かし、生産の最適化が可能になります。
2)安全性の向上:人とロボットが共存できる安全性を確保するには、人がどこにいるのかをリアルタイムで確実に検出できるシステムでなければなりません。本システムでは、発光マーカーとビジョンセンサの組み合わせ利用によりそれを実現しました。


3.今後の展望
発光パターンは国際安全規格EN50159に基づいているので認証には問題はありませんが、点滅ランプの寿命など各デバイスの品質について認証をクリアするレベルにまで上げる必要があります。この点を踏まえ、今後実際にロボットを用いて摸擬生産環境をセットアップし、安全な共存作業の実験を行っていき、システムの実用化に向けて、安全性の保証を確立したいと思います。
 実用化が順調に進み、応用例が増えて技術が広がれば、これを日本発の安全技術として国際規格に採用されるまで進めていきたいと思います。また将来的には福祉分野での利用も可能ではないかと考えています。


4.参考
成果プレスダイジェスト:産業技術総合研究所 中坊 嘉宏氏

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ビジネスカテゴリ
素材・化学・エネルギー
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会社概要

URL
http://www.nedo.go.jp/
業種
製造業
本社所在地
神奈川県川崎市幸区大宮町1310番 ミューザ川崎セントラルタワー16~21階
電話番号
044-520-5100
代表者名
村田 成二
上場
未上場
資本金
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設立
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