BI 201335 NA、治療困難な遺伝子型ウイルスを持つC型慢性肝炎患者において、治療期間を短縮させるとともに、ウイルス学的著効(SVR)達成率を向上させることを示唆

‐米国肝臓病学会(AASLD)で、SILEN-C1(サイレンス ワン)およびSILEN-C3(サイレンス スリー)試験結果が発表

2011年11月8日、米国/サンフランシスコ、ドイツ/インゲルハイム

ベーリンガーインゲルハイムはこのほど、ジェノタイプ1型という治療困難な遺伝子型のC型肝炎ウイルス(hepatitis C virus: HCV)に感染しており、初めて治療を受ける(未治療の)患者を対象に、同社が開発中の次世代プロテアーゼ阻害剤BI 201335 NAを、ペグインターフェロン/リバビリンに上乗せして投与した際の有用性を検討する2つのフェーズ2b試験結果を公表しました。これらの試験結果は、米国サンフランシスコで開催された2011年米国肝臓病学会(AASLD)総会のオーラルセッションで発表されたものです。

SILEN-C3(サイレンス スリー)試験結果は、ペグインターフェロン/リバビリンのみを併用した48週間の治療に対し、BI 201335 NAを上乗せ投与することで治療期間は24週間(BI 201335 NAの投与期間は12週間)に短縮した上で、持続的ウイルス学的著効(SVR:sustained viral response:ウイルス学的に、治癒したかどうかをみる指標)達成率の向上を示唆するものでした。また、SILEN-C1(サイレンス ワン)試験結果は、BI 201335 NAを用いることで、治療効果を得にくい遺伝子型のウイルスを持つ患者集団でのSVRを向上させることを示唆するものでした。

ベーリンガーインゲルハイム 医薬開発担当上級副社長のProf.クラウス・デュギは次のように述べました。「C型慢性肝炎患者における治療期間を短縮することは、本疾患の優れた治療法の提供を目指す我々ベーリンガーインゲルハイムの重要な目標の1つです。SILEN-C3試験が示唆するものは、初めて治療を受けるC型慢性肝炎患者の多くが、BI 201335 NAの投与期間を12週間としながら治療奏効が得られるとの有望な結果です。治療効果が得にくいことから治療困難な遺伝子型ウイルスを有するC型慢性肝炎患者さんを対象としたSILEN-C1試験結果もまた期待が持てるもので、2013年に見込まれるBI 201335 NAのフェーズ3試験の結果が大いに待ち望まれます。」

SILEN-C3試験結果から、eRVR(extended rapid viral response:この試験では、ウイルス量が投与4週時点で25 IU/mL未満、かつ投与8~12週時点で定量限界値未満と定義)を達成した患者では、BI 201335 NAによる治療が、SVRを達成するのに12週間で十分であったことも示されました。すなわち12週目より前に血中HCV-RNA量が検出限界値未満となった患者では、BI 201335 NAによる治療期間(12週間または24週間)にかかわらず、SVR達成率は同様でした(82%<12週間>、81%<24週間>)。

またSILEN-C1試験解析から、ペグインターフェロン/リバビリンのみを併用した群では56.3%がSVRを達成したのに対し、BI 201335 NA 240 mg 1日1回を上乗せ投与した群でのSVRは83.1%であることが示されました(p<0.0001)。ジェノタイプ1a型といった遺伝子系型のHCVに感染した患者、または患者自身のIL-28Bをコードする遺伝子の遺伝子多型(rs12979860)がnon-CC(TT+CT)アリル(マイナーアリル)を有するなど、いわゆる治療効果が得られにくい患者の多くについてもSVRを達成することが出来ました。

•具体的には、ペグインターフェロン/リバビリンにBI 201335 NA 240 mg 1日1回を加えた併用療法では、ジェノタイプ1a型遺伝子型ウイルスを持つC型慢性肝炎患者(n=32)の82%、ジェノタイプ1b型遺伝子型ウイルスを持つC型慢性肝炎患者(n=38)の84%が、SVRを達成しました。なおジェノタイプ1型の中でもジェノタイプ1a型は、ジェノタイプ1b型よりも治療抵抗性となりやすい遺伝子型ウイルスです。
•また、ペグインターフェロン/リバビリンにBI 201335 NA 240 mg 1日1回を加えた併用療法では、IL-28B遺伝子がnon-CCアリルを有する患者(n=29)の71%、CCアリル(メジャーアリル)を有する患者(n=11)の100%、IL-28Bの遺伝子多型が確認できなかった患者(n=31)の86%でSVRを達成しました。一方、ペグインターフェロン/リバビリンのみでは、non-CCアリルを有する患者がSVRを達成できる可能性は高くありませんでした。

なお、ジェノタイプ1型という遺伝子型のウイルスを有するC型慢性肝炎患者は、最も治療の効果が得られにくいことが知られています。またIL-28B遺伝子多型がnon-CCアリルの患者は、CCアリルを有する患者よりもSVRを達成しにくく、治療奏効率には約7倍の差があることを示す試験結果もあります。

試験詳細:
SILEN-C3:未治療のジェノタイプ1型C型慢性肝炎患者を対象に、ペグインターフェロン アルファ-2a/リバビリンにBI 201335 NAを併用した12週間または24週間の治療成績(Oral presentation at AASLD: November 6)
この非盲検フェーズ2試験では、未治療のジェノタイプ1型C型慢性肝炎患者159人を対象に、12週間または24週間の投与期間に分けて、BI 201335 NA 120 mg 1日1回投与群とプラセボ投与群にそれぞれランダムに割り付けしました。いずれの群においても、ペグインターフェロン/リバビリン併用投与による3日間の導入期を設け、またペグインターフェロン/リバビリンによる治療は、全投与群とも24週間継続されました。eRVR(この試験では、ウイルス量が投与4週時点で25 IU/mL未満、かつ投与8~12週時点で定量限界値未満と定義)を達成しなかった患者には、ペグインターフェロン/リバビリンによる治療が48週目まで継続されました1。

HCVプロテアーゼ阻害剤BI 201335 NAによる治療で持続的かつ高いSVR率を達成-様々なベースライン因子を有する未治療患者を対象としたSILEN-C1試験の結果(Oral presentation at AASLD: November 8)
SILEN-C1はプラセボ対象二重盲検ランダム化比較試験であり、未治療のジェノタイプ1型C型慢性肝炎患者429人が、以下の4群に1:1:2:2の割合で割り付けられました。各投与群でBI 201335 NAは24週間投与され、ペグインターフェロン/リバビリンは24週間または48週間投与されました。
・プラセボ群(3日間のペグインターフェロン/リバビリン併用投与導入期あり)
・BI 201335 NA 120 mg 1日1回投与群(3日間のペグインターフェロン/リバビリン併用投与導入期あり)
・BI 201335 NA 240 mg 1日1回投与群(3日間のペグインターフェロン/リバビリン併用投与導入期あり)
・BI 201335 NA 240 mg 1日1回投与群(3日間のペグインターフェロン/リバビリン併用投与導入期なし)
今回発表されたSILEN-C1の解析では、様々なベースライン因子でのSVRが評価されました。SILEN-C1試験での全投与群のSVR結果は、2011年4月に開催された第46回欧州肝臓病学会議年次総会(EASL)ですでに発表されています。

C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus: HCV)について
HCVは肝臓の感染性疾患であり、慢性肝疾患および肝移植の主因となっています。HCVによる慢性感染患者数は世界全体で1億7,500万人と推定されており、年間300~400万人が新たに感染しています。急性期でウイルス除去できる患者はわずか20~45%ほどです。その他の慢性感染患者のうち、20%が平均20年以内に肝硬変を発症します。肝硬変発症後の死亡率は年間2~5%です。HCV感染による末期の肝疾患は現在、欧米諸国における肝移植の主因となっています。

ベーリンガーインゲルハイムとウイルス性疾患領域について
ベーリンガーインゲルハイムは、ウイルス性疾患をはじめとする6つの疾患領域を対象に、7,500人以上の研究者がグローバルR&Dネットワークで学術研究に取り組んでいます。HCVに関する現在進行中の研究プログラム以外にも、ベーリンガーインゲルハイムは抗ウイルス薬の研究開発に長年携わってきており、HIV治療用の化合物(非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤として世界で初めて承認されたビラミューン®)などが開発されました。カナダのラヴァル研究所では1990年代初頭からウイルス性疾患の研究を行っており、アンメットニーズの高い新しい治療薬の開発に力を注ぎ、成果を上げています。

ベーリンガーインゲルハイムとC型肝炎について
ベーリンガーインゲルハイムはHCVersoという、現行のHCV治療の常識を乗り越えることを目指した、この領域に特化した治療薬開発プログラムを進行させています。同プログラムは、現行の治療レジメンの壁を超え、患者のためになる革新的なHCV治療の提供を目標としています。
BI 201335 NAは、現在開発中の経口C型肝炎ウイルス(HCV) NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤であり、フェーズ2b(SILEN-C)試験まで臨床試験を完了しています。いままでのフェーズ2試験結果により、フェーズ3試験でBI 201335 NAを検討することが支持されました。ベーリンガーインゲルハイムは更に、海外において HCV NS5B RNA依存ポリメラーゼ阻害剤であるBI 207127 NAを現在開発中であり、こちらはフェーズ1試験を完了しています。インターフェロンなしの経口療法(リバビリン併用/非併用下)でBI 201335 NAとBI 207127 NAの併用療法を検討するフェーズ2試験が現在進行中です。

ベーリンガーインゲルハイムについて
ドイツのインゲルハイムを本拠とし、世界50ヵ国に145の関連会社を持つベーリンガーインゲルハイムグループは、世界で42,000人の社員を有するトップ20の製薬企業のひとつです。1885年の設立以来、125年を超えてもなお、株式公開をしない企業形態の特色を生かしながら、人々の健康および保健医療の向上に寄与すべく、ヒト用医薬品およびアニマルヘルス(動物薬)を中心にビジネスを展開しています。2009年度は127億ユーロの売上を示しました。革新的な医薬品を世に送り出すべく、医療用医薬品事業の売上の約5分の1相当額を研究開発に投資しました。
日本では、ベーリンガーインゲルハイムは半世紀にわたり企業活動を展開しています。ベーリンガーインゲルハイム ジャパン株式会社が、持ち株会社として、その傘下に、完全子会社である日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(医療用医薬品)、エスエス製薬株式会社(一般用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム ベトメディカ ジャパン株式会社(動物用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム製薬株式会社(医薬品製造)の4つの事業会社を統括しています。日本のグループ全体で約3,000人の社員が、革新的な医薬品の研究、開発、製造、販売に従事しています。
日本ベーリンガーインゲルハイムは、呼吸器、循環器、中枢神経などの疾患領域で革新的な医療用医薬品を提供しています。また、グローバルな研究・開発の一翼を担う医薬研究所を神戸に擁しています。

詳細は下記をご参照ください。
www.boehringer-ingelheim.co.jp
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