バイオエコノミーの共通インフラを目指し、AIデータ駆動型バイオ生産システムを共創・実装する「メトリクスMATSURI」
― 計測・制御・エンジニアリング企業等8社で始動 ―
ちとせグループ(以下、ちとせ)が運営する、バイオエコノミーを推進する共創イニシアチブ「MATSURI」は、藻類産業の構築に続き、発酵・藻類・培養細胞・農業などバイオ生産全体の最適化・高度化を目指す新プロジェクト「メトリクスMATSURI」を発足しました。

本プロジェクトは、計測・制御・エンジニアリングなど各分野に強みを持つ企業が産業を横断して連携し、ちとせが開発してきたAI自律培養制御技術(※)を基盤技術の1つに据え、データ駆動型のバイオ生産設備を共創・実装する取り組みです。この連携を通じて、バイオエコノミーを支える共通インフラの構築を目指します。
※ちとせが開発したAI自律培養制御技術: 糸状菌のタンパク質生産を2倍に高めた実績を持つ、NEDO事業等を通じて開発した技術。詳細はこちら(過去のプレスリリース) https://chitose-bio.com/jp/news/9166/
現在、アズビル株式会社、株式会社三ツワフロンテック、株式会社堀場製作所、三菱ケミカルエンジニアリング株式会社、湯本電機株式会社、浜松ホトニクス株式会社、株式会社バイオット/株式会社エイブル、三菱化工機株式会社(参画順)の計9社が参画しており、今後も共に未来をつくるパートナーの参画を広く呼びかけてまいります。
バイオ生産は、食品・医薬品・化成品など多様な産業を支える重要なプロセスであり、バイオエコノミーの拡大により今後さらなる発展が見込まれています。しかし現場では依然として、熟練者の経験や勘に頼った制御が主流であり、再現性や生産性の向上には限界がありました。こうした属人的な制御から脱却し、AIを活用して自律培養を実現する“データ駆動型のバイオ生産システム”の社会実装によりバイオ生産全体の最適化・高度化を図ることを目指すのが「メトリクスMATSURI」です。
AIを活用した自律培養の核となるのが、本プロジェクト名の由来でもある、ちとせが独自に定義した「メトリクス(Metrics)」の考え方です。これは、生物の状態を新たな視点からセンシングし、得られたデータを高精度に解析・制御へ反映するAIアルゴリズムを組み合わせることで、リアルタイムな生産状態の把握と自律最適化を実現するというものです。酵母や糸状菌、細菌などの微生物や培養細胞、藻類などあらゆるバイオ生産系に適用でき、人の経験に頼らず高効率かつ安定的な生産を可能にします。
これまでちとせは、個別企業との共同研究を通じてAI自律培養制御技術の開発と実装を進めてきましたが、各社ごとに技術を導入する形では対応範囲やスピードに限界があり、プラント設計や装置開発など周辺領域の専門知識を十分にカバーすることも困難でした。こうした課題を踏まえ、ちとせが運営する産業横断型の共創イニシアチブ「MATSURI」の枠組みを活用し、計測・制御・エンジニアリングなど各分野の企業との連携を強化するとともに、オープンな開発領域を設定することで多様な企業の参画を促すプラットフォームとして「メトリクスMATSURI」を発足しました。
メトリクスMATSURIでは、参加する各企業の持つ技術や知見を結集し、技術開発・仕様策定・実装を横断的に推進することで、バイオ生産におけるAIデータ駆動型システムの社会実装を国内外で加速させていきます。そして、バイオエコノミーを支える共通インフラとして、バイオ生産における生産技術のデファクトスタンダードの確立を目指します。
<参画企業コメント>
◯アズビル株式会社
自然資本を維持・活用するバイオエコノミーは、これからの未来を切り拓く産業として、社会に定着させていく必要があると考えます。アズビルは計測・制御技術をコアに、生産現場における最適化・高度化・自律化の実現に向けたソリューションを開発・実装してきました。これまでの知見を活かし、バイオものづくりの発展に向けて、AIデータ駆動型バイオ生産システムの構築に貢献してまいります。
◯株式会社三ツワフロンテック
新しい計測技術と多種多様なデータを基にAI技術により生み出される、従来の当たり前では見えなかった新たな培養プロセスの発見に期待し、ユーザーフレンドリーな自動最適化制御を可能にする事業価値創造型新世代培養装置の実現を目指しています。
◯株式会社堀場製作所
HORIBAは社会課題解決のため「エネルギー・環境」「バイオ・ヘルスケア」「先端材料・半導体」の3分野を重点領域と定めて、様々な分析・計測技術を提供しています。メトリクスMATSURIが描く、AIによるバイオ生産最適化を実現するためには、状態のセンシングが不可欠と考えています。弊社のモニタリング・迅速分析技術が活かせる可能性の追求と、「はかる」ソリューションによるバイオ生産への貢献を目指します。
◯三菱ケミカルエンジニアリング株式会社
AI自律培養制御技術の商業化に向けて、培養設備のスケールアップや全体構築等、プラントエンジニアリング会社の強みを活かし、当該技術の実装化を支援したいと考えています。
◯湯本電機株式会社
メトリクスMATSURIへの参入は、湯本電機にとって新たな一歩となります。創業から80年以上にわたり培ってきた加工技術と創造力を活かし、MATSURIに関わる皆さまと共に、環境と産業の調和を実現し、グローバルな視点で次世代のバイオ生産に、ものづくりの力で貢献してまいります。
◯浜松ホトニクス株式会社
浜松ホトニクスのさまざまな光技術はバイオ生産の状態をリアルタイムに把握する基盤技術のため必須なものとなります。メトリクスMATSURIに参画することで、市場の生の声を製品にフィードバックし、多様なデータと連携することで、定量性と安定性に優れた光計測ソリューションの実装を推進します。
◯株式会社バイオット/株式会社エイブル
培養装置メーカーとして、参画されている企業様の発想・技術・ニーズを形にすることで当社の技術が貢献できると考えており、また更に新しい価値を生み出していくことができると考えております。
◯三菱化工機株式会社
バイオエコノミーの形成にAIの活用は鍵になると捉えています。三菱化工機はバイオガス製造設備やガラス管型の微細藻類培養設備、微生物培養システムなどを製造・販売しています。これまでに培ってきた装置開発のノウハウとメトリクスMATSURIのAI技術を融合させて、バイオエコノミーの拡大に貢献していきます。
<MATSURIとは>
https://matsuri-partners.chitose-bio.com
MATSURIは、2021年に藻類産業の構築を目指してスタートした、ちとせグループ主導の産官学連携の取り組みです。2025年、MATSURIは藻類の枠を超え、“バイオエコノミーを推進する産業横断型の共創イニシアチブ” へと進化しました。バイオを基点とする社会の実現に向け、AIを活用したバイオものづくり、資源循環、持続可能な農業など、私たちの挑戦はますます広がっています。その名の通り、人類史に残るお祭りとして、共に未来をつくる仲間を募集中です。業種・規模を問わず、ぜひご参加ください。お問い合わせはこちらから。
<ちとせグループについて>
ちとせグループは、世界のバイオエコノミーをリードするバイオ企業群です。千年先まで人類が豊かに暮らせる環境を残すべく、国や多くの企業と協力し、経済合理性を成立させながら技術を社会に展開しています。
◯ちとせグループ全体を統括する「CHITOSE BIO EVOLUTION PTE. LTD.」の概要
・設立:2011年10月
・本社:シンガポール
・代表者:CEO 藤田朋宏 Ph.D.
◯ちとせグループの中核法人として、技術開発・事業開発を行う「株式会社ちとせ研究所」の概要
・設立:2002年11月
・本社:神奈川県川崎市
・代表者:代表取締役 CEO 藤田朋宏 Ph.D./代表取締役 COO 釘宮理恵
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