大規模イベントでのよりよいボランティア運営へ、6つの提言
~東京2020オリンピック・パラリンピックのボランティア調査から~
一般財団法人日本財団ボランティアサポートセンター(以下、ボラサポ)では、東京2020大会の大会ボランティア、都市ボランティアの方々を対象に行ったアンケート調査結果をまとめ、それを元に、今後の大規模イベント実施の際のボランティア活動に対する6つの提言をまとめましたので、下記の通り発表いたします。
■提言
1 満足感が得られるボランティア活動内容の確立
2 ボランティアの一元化による一体的な運営
3 誰でも参加できるボランティア環境の創出(多様性と調和)
4 若者(学生を含む)へのサポート
5 ボランティア活動における感染症対策の徹底
6 ボランティア活動機会の創出(継続意欲の継承)
===以下、アンケート調査結果からみる上記提言の根拠===
(各画像内左下の番号が、分析の根拠となったアンケート調査結果)
1 満足感が得られるボランティア活動内容の確立
今回の調査結果から「移動サービス」(運転)における活動満足度が非常に低かった。また、事故発生時におけるボランティアの心的負担も非常に大きい。大規模イベントにおける「移動サポート」については、ボランティア活動の範疇を超えており、専門的な役割としてマネジメントされることが望ましい。
※2019年ラグビーW杯における「フリートサポート」についても満足度が低いことが報告されている
2 ボランティアの一元化による一体的な運営
これまでの大会は、伝統的に大会ボランティアと都市ボランティアを分けてそれぞれ別組織が運営してきた。しかし、今回のコロナ禍のような想定を超える状況での開催を含めて、統一したサポート体制がなければ高い満足度を維持することはできない。
特に、今回の都市ボラと大会ボラの満足度の差は、こうしたフォロー体制に問題があり、これは一つの大会として一つのボランティア組織によって運営していれば、代替活動の可能性の幅が広がったと考えられる。
これからは一つの大会を支える一つのボランティアモデルの構築が必要である。
3 誰でも参加できるボランティア環境の創出(多様性と調和)
今回、障害のある方のボランティア参加が一定数あった。しかし、視覚や聴覚に障害のあるボランティアからのヒアリング調査からは、対応における問題点やサポートの必要性が示された。今後も手話サポートや移動サポートを含めた、誰もが参加できるボランティア環境の創出が必要である。
《視覚に障害のある方へのヒアリング内容》
1、サポート内容について
・最寄り駅から集合場所までの移動介助は、必ずお願いしたい。また、解散時の最寄り駅までの移動介助が、受けられる体制をお願いしたい。これがあるだけで、視覚障害者は格段にボランティアに参加しやすくなる。
・事前にどのような活動が予定されているかを伝えていただき、できる活動とできない活動、より能力を発揮しやすい活動と難易度が高い活動等について、視覚障害当事者と打ち合わせをする機会を設けていただきたい。
・視覚障害の人と一緒にボランティア活動をすることになったボランティアの方を対象にしたガイドブックなどがネットで確認できるといいと思う。
・参加する最寄り駅から会場まで、ならびに会場内の案内でサポートがあれば動きに有為と思われる。
《聴覚に障害のある方へのヒアリング内容》
1、手話サポートについて
・すべての情報を筆談で行うことは困難で、情報が伝わってこない。手話サポートが付くと、情報が100%伝わるため、活動内容をしっかり把握できる。
・食事の時なども通訳をしてくれたので、活動外でもコミュニケーションがとれた。
・周りのメンバーは、耳が聞こえない方とはじめて会う人も多く、手話もほとんど知らない。そのため、どのようにコミュニケーションをとってよいか迷う。そのような時、手話サポーターがいると、お互いが理解できていくことができる。そして、私から手話なども教えたりして、周りのメンバーも覚えていってくれた。
2、ろう者がボランティア活動を楽しむために
・(手話が分かる方であれば)手話サポートは付けたほうが良い。
・聴覚障害者がボランティアをしていることはあまり聞いたことない。情報が届いていないのだと思う。
・障害のある方の中には、ボランティアできないかもと思っている方もいると思う。「聞こえなくてもできるという自覚を持つこと」が大切。
4 若者(学生を含む)へのサポート
今回の調査結果から、学生を含む若者がボランティア経験からさまざまな経験を得ていることが把握された。
その一方で、一日交通費1,000円程度の支給について、10代、20代をはじめとする学生からの不適切だとする指摘が高かった。活動場所によっては、大幅に不足する可能性が高く、支給額や配置を工夫することを通じて、若者が参加しやすいボランティア環境を構築することが必要である。
5 ボランティア活動における感染症対策の徹底
新型コロナウイルスに関わらず、さまざまな方が参加する大規模イベントにおいては、常にあらゆる観点から感染症対策の徹底が必要である。感染対策に関わる教材作成やeラーニングの構築など、東京2020大会のレガシーを継承することが必要である。
今後のボランティア活動継続意欲が非常に高かったことから、今後も活動できる機会の創出が求められる。
大規模イベントに関わらず、あらゆるボランティア機会の創出、並びにそのサポートが必要である。
■アンケート監修者
・二宮雅也(にのみや まさや)
文教大学人間科学部人間科学科准教授、日本財団ボランティアサポートセンター参与、
東京2020大会組織委員会ボランティア検討委員会委員
※本調査は、ボラサポからの研究委託に基づいて、文教大学と共同で調査・分析を実施しました。
■調査趣旨
ボラサポでは、東京2020大会の大会ボランティア、都市ボランティアに対し、下記概要の通り大会直前、大会直後でアンケート調査を行いました。
本調査では、ボランティアの応募から研修、そして活動当日に至るまでの満足度や、大会後のボランティア継続意向を明らかにすると共に、ボランティア活動を辞退した方の要因、大会時のワクチンの接種状況や感染症対策関連、ボランティア活動に対する待遇の満足度、等についても掘り下げた調査となっています。
今回の調査を踏まえ、今後の大規模イベント実施の際、安全安心かつ多様なボランティアが楽しく活動できるようどういった配慮をすべきか等いくつかの提言を行い、ボランティアレガシー創出に繋げたいと考えています。
■調査概要
1 東京2020大会「都市ボランティア」大会前調査
調査対象:東京2020大会の関係自治体(4自治体)の都市ボランティア
※対象自治体:札幌市、宮城県、茨城県、静岡県
調査時期:2021年7月7日から7月18日まで 調査手法:Webアンケート 回答数:704人
2 東京2020大会「大会ボランティア」大会前調査
調査対象:東京2020大会の大会ボランティア
調査時期:2021年7月7日から7月18日まで 調査手法:Webアンケート 回答数:4,136人
3 東京2020大会「都市ボランティア」大会後調査
調査対象:東京2020大会の関係自治体(10自治体)の都市ボランティア
※対象自治体:札幌市、宮城県、福島県、茨城県、埼玉県、千葉県、横浜市、藤沢市、山梨県、静岡県
調査時期:2021年8月16日から8月29日まで 調査手法:Webアンケート 回答数:3,697人
4 東京2020大会「大会ボランティア」オリンピック後調査
調査対象:東京2020大会の大会ボランティア
調査時期:2021年8月16日から8月29日まで 調査手法:Webアンケート 回答数:5,551人
5 東京2020大会「大会ボランティア」パラリンピック後調査
調査対象:東京2020大会の大会ボランティア
調査時期:2021年9月14日から9月26日まで 調査手法:Webアンケート 回答数:8,220人
6 視覚に障害のあるボランティアへのヒアリング調査
調査対象:東京2020大会の大会ボランティア(視覚に障害のある方)
調査時期:2021年9月30日から10月7日まで 調査手法:WEBアンケートまたはテキスト(Word) 回答数:5人
7 聴覚に障害のあるボランティアへのヒアリング調査
調査対象:東京2020大会の大会ボランティア(聴覚に障害のある方)
調査時期:2021年10月7日から10月25日まで 調査手法:インタビュー 回答数:5人
調査対象:東京2020大会の大会ボランティア(聴覚に障害のある方)
調査時期:2021年9月14日から9月26日まで 調査手法:WEBアンケート 回答数:15人(手話サポートについて)
調査対象:東京2020大会の大会ボランティア(聴覚に障害のある方)
調査時期:2021年10月1日から10月16日まで 調査手法:WEBアンケート 回答数:12人(東京2020大会の活動を通して)
■一般財団法人日本財団ボランティアサポートセンター(ボラサポ)について
□設立経緯
2017年6月に、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と日本財団が締結したボランティアの連携・協力に関する協定に基づき、当該協力に係る事業を実施する団体として2017年9月ボラサポ設立
■ボランティアの楽しさを発信するプラットフォームサイト「ぼ活!」サイトオープン!
□「ぼ活!(https://vokatsu.jp/)」
1 満足感が得られるボランティア活動内容の確立
2 ボランティアの一元化による一体的な運営
3 誰でも参加できるボランティア環境の創出(多様性と調和)
4 若者(学生を含む)へのサポート
5 ボランティア活動における感染症対策の徹底
6 ボランティア活動機会の創出(継続意欲の継承)
===以下、アンケート調査結果からみる上記提言の根拠===
(各画像内左下の番号が、分析の根拠となったアンケート調査結果)
1 満足感が得られるボランティア活動内容の確立
今回の調査結果から「移動サービス」(運転)における活動満足度が非常に低かった。また、事故発生時におけるボランティアの心的負担も非常に大きい。大規模イベントにおける「移動サポート」については、ボランティア活動の範疇を超えており、専門的な役割としてマネジメントされることが望ましい。
※2019年ラグビーW杯における「フリートサポート」についても満足度が低いことが報告されている
2 ボランティアの一元化による一体的な運営
これまでの大会は、伝統的に大会ボランティアと都市ボランティアを分けてそれぞれ別組織が運営してきた。しかし、今回のコロナ禍のような想定を超える状況での開催を含めて、統一したサポート体制がなければ高い満足度を維持することはできない。
特に、今回の都市ボラと大会ボラの満足度の差は、こうしたフォロー体制に問題があり、これは一つの大会として一つのボランティア組織によって運営していれば、代替活動の可能性の幅が広がったと考えられる。
これからは一つの大会を支える一つのボランティアモデルの構築が必要である。
3 誰でも参加できるボランティア環境の創出(多様性と調和)
今回、障害のある方のボランティア参加が一定数あった。しかし、視覚や聴覚に障害のあるボランティアからのヒアリング調査からは、対応における問題点やサポートの必要性が示された。今後も手話サポートや移動サポートを含めた、誰もが参加できるボランティア環境の創出が必要である。
《視覚に障害のある方へのヒアリング内容》
1、サポート内容について
・最寄り駅から集合場所までの移動介助は、必ずお願いしたい。また、解散時の最寄り駅までの移動介助が、受けられる体制をお願いしたい。これがあるだけで、視覚障害者は格段にボランティアに参加しやすくなる。
・事前にどのような活動が予定されているかを伝えていただき、できる活動とできない活動、より能力を発揮しやすい活動と難易度が高い活動等について、視覚障害当事者と打ち合わせをする機会を設けていただきたい。
・視覚障害の人と一緒にボランティア活動をすることになったボランティアの方を対象にしたガイドブックなどがネットで確認できるといいと思う。
・参加する最寄り駅から会場まで、ならびに会場内の案内でサポートがあれば動きに有為と思われる。
《聴覚に障害のある方へのヒアリング内容》
1、手話サポートについて
・すべての情報を筆談で行うことは困難で、情報が伝わってこない。手話サポートが付くと、情報が100%伝わるため、活動内容をしっかり把握できる。
・食事の時なども通訳をしてくれたので、活動外でもコミュニケーションがとれた。
・周りのメンバーは、耳が聞こえない方とはじめて会う人も多く、手話もほとんど知らない。そのため、どのようにコミュニケーションをとってよいか迷う。そのような時、手話サポーターがいると、お互いが理解できていくことができる。そして、私から手話なども教えたりして、周りのメンバーも覚えていってくれた。
2、ろう者がボランティア活動を楽しむために
・(手話が分かる方であれば)手話サポートは付けたほうが良い。
・聴覚障害者がボランティアをしていることはあまり聞いたことない。情報が届いていないのだと思う。
・障害のある方の中には、ボランティアできないかもと思っている方もいると思う。「聞こえなくてもできるという自覚を持つこと」が大切。
4 若者(学生を含む)へのサポート
今回の調査結果から、学生を含む若者がボランティア経験からさまざまな経験を得ていることが把握された。
その一方で、一日交通費1,000円程度の支給について、10代、20代をはじめとする学生からの不適切だとする指摘が高かった。活動場所によっては、大幅に不足する可能性が高く、支給額や配置を工夫することを通じて、若者が参加しやすいボランティア環境を構築することが必要である。
5 ボランティア活動における感染症対策の徹底
新型コロナウイルスに関わらず、さまざまな方が参加する大規模イベントにおいては、常にあらゆる観点から感染症対策の徹底が必要である。感染対策に関わる教材作成やeラーニングの構築など、東京2020大会のレガシーを継承することが必要である。
6 ボランティア活動機会の創出(継続意欲の継承)
今後のボランティア活動継続意欲が非常に高かったことから、今後も活動できる機会の創出が求められる。
大規模イベントに関わらず、あらゆるボランティア機会の創出、並びにそのサポートが必要である。
6つの提言を含めた「東京2020大会 大会ボランティア、都市ボランティアに関するアンケート調査結果(大会直前、大会直後)」は、下記URLよりダウンロードできます。
■アンケート監修者
・二宮雅也(にのみや まさや)
文教大学人間科学部人間科学科准教授、日本財団ボランティアサポートセンター参与、
東京2020大会組織委員会ボランティア検討委員会委員
※本調査は、ボラサポからの研究委託に基づいて、文教大学と共同で調査・分析を実施しました。
■調査趣旨
ボラサポでは、東京2020大会の大会ボランティア、都市ボランティアに対し、下記概要の通り大会直前、大会直後でアンケート調査を行いました。
本調査では、ボランティアの応募から研修、そして活動当日に至るまでの満足度や、大会後のボランティア継続意向を明らかにすると共に、ボランティア活動を辞退した方の要因、大会時のワクチンの接種状況や感染症対策関連、ボランティア活動に対する待遇の満足度、等についても掘り下げた調査となっています。
今回の調査を踏まえ、今後の大規模イベント実施の際、安全安心かつ多様なボランティアが楽しく活動できるようどういった配慮をすべきか等いくつかの提言を行い、ボランティアレガシー創出に繋げたいと考えています。
■調査概要
1 東京2020大会「都市ボランティア」大会前調査
調査対象:東京2020大会の関係自治体(4自治体)の都市ボランティア
※対象自治体:札幌市、宮城県、茨城県、静岡県
調査時期:2021年7月7日から7月18日まで 調査手法:Webアンケート 回答数:704人
2 東京2020大会「大会ボランティア」大会前調査
調査対象:東京2020大会の大会ボランティア
調査時期:2021年7月7日から7月18日まで 調査手法:Webアンケート 回答数:4,136人
3 東京2020大会「都市ボランティア」大会後調査
調査対象:東京2020大会の関係自治体(10自治体)の都市ボランティア
※対象自治体:札幌市、宮城県、福島県、茨城県、埼玉県、千葉県、横浜市、藤沢市、山梨県、静岡県
調査時期:2021年8月16日から8月29日まで 調査手法:Webアンケート 回答数:3,697人
4 東京2020大会「大会ボランティア」オリンピック後調査
調査対象:東京2020大会の大会ボランティア
調査時期:2021年8月16日から8月29日まで 調査手法:Webアンケート 回答数:5,551人
5 東京2020大会「大会ボランティア」パラリンピック後調査
調査対象:東京2020大会の大会ボランティア
調査時期:2021年9月14日から9月26日まで 調査手法:Webアンケート 回答数:8,220人
6 視覚に障害のあるボランティアへのヒアリング調査
調査対象:東京2020大会の大会ボランティア(視覚に障害のある方)
調査時期:2021年9月30日から10月7日まで 調査手法:WEBアンケートまたはテキスト(Word) 回答数:5人
7 聴覚に障害のあるボランティアへのヒアリング調査
調査対象:東京2020大会の大会ボランティア(聴覚に障害のある方)
調査時期:2021年10月7日から10月25日まで 調査手法:インタビュー 回答数:5人
調査対象:東京2020大会の大会ボランティア(聴覚に障害のある方)
調査時期:2021年9月14日から9月26日まで 調査手法:WEBアンケート 回答数:15人(手話サポートについて)
調査対象:東京2020大会の大会ボランティア(聴覚に障害のある方)
調査時期:2021年10月1日から10月16日まで 調査手法:WEBアンケート 回答数:12人(東京2020大会の活動を通して)
■一般財団法人日本財団ボランティアサポートセンター(ボラサポ)について
□設立経緯
2017年6月に、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と日本財団が締結したボランティアの連携・協力に関する協定に基づき、当該協力に係る事業を実施する団体として2017年9月ボラサポ設立
■ボランティアの楽しさを発信するプラットフォームサイト「ぼ活!」サイトオープン!
□「ぼ活!(https://vokatsu.jp/)」
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