【SolidWorks事例】工業高校専攻科に3次元設計のカリキュラムを積極的に導入 地元企業のニーズに応える、実践力ある人材の育成に大きな成果
岩手県内陸部に位置する工業都市・北上市の高台に、黒沢尻工業高校はある。3年制の「本科」は、機械科、電気科など6学科で構成され、670名余りの高校生が学んでいる。
同校に、「専攻科」が設置されたのは2007年のことだ。ものづくりの現場で役立つ実践力を持った人材、しかも、地元で活躍してくれる人材を育成するには、「工業高校卒業後プラス2年」の専門教育が必要であるという岩手県の判断により、設置された。
「県内には、自動車をはじめ、家電、精密機器などの工場・製造会社が数多くあります。これら地元企業を約50社を訪問してヒアリングしたところ、『3次元CADは必須』と指摘するところが多かった。『本社で設計・または設計中の3次元データが送られてくるので、どの部署に配置されても、技術者は3次元CADがわかっていないと動けない』と語る会社もありました」と細川先生。
実践力育成を目指す専攻科では、3次元CADを使った「設計の教育」が必須であると考え、細川先生らはSolidWorks教育版の導入に踏み切った。
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専攻科は、機械コースと電気コースの2コースで、合計18名が学んでいる。
1年次には、後期に45時間かけて、3次元設計を勉強する。
市販の教材を2種類ほど使い、基本操作、ソリッド部品作成、アセンブリを習得。さらに、高校本科時代にトレースを経験した歯車ポンプの図面をSolidWorksへ入力する。
「初めてSolidWorksに触れた学生は、その使いやすさ、速さ、便利さにびっくりします。手描きトレースで1年かかった図面が、わずか1カ月半で入力・立体化でき、干渉チェックまでできます。学生からは、『おもしろく勉強できました』という感想をもらっています」と細川先生。
2年次では、卒業制作で、SolidWorksを縦横に活用する。2年次の最後に、就職先企業の方などを招いて卒業制作の発表会をするが、そのためのプレゼンテーション資料作りも、SolidWorksを使って各自が工夫を凝らす。
卒業制作のテーマは、多くの場合、就職内定先で使用する装置をイメージした機械づくりだ。何を作るかを自分で考え、SolidWorksで構想スケッチする。詳細設計では、学校にある製造器具だけで作れるデザイン・構造にすることも考慮しなければならない。廃材探しを含めて自分で材料を調達し、土曜日曜も学校へ通って製作・試作して、作り直しを重ねる。
「学校でこそ失敗をたくさん経験しておくべき。くやしい失敗の積み重ねが、問題発見と解決能力を育てるのです」と細川先生は言う。
SolidWorks認定プログラムも活用している。
2011年からは、1年次の期末試験として、CSWA (Certified SolidWorks Associate)を採用。専攻科は、機械コースも電気コースも、卒業までに全員がCSWA取得を目標にしている。
「企業で技術者として生きていくには、考える力と、考えたことを具体化する力が大切。検定試験のために努力することは、この2つの力を伸ばすうえで役立ちます。また、1年次の最後に、CSWAという明確な評価基準に向けて力を集中することで、2年次の卒業制作に取り組む力もつきます」と細川先生。
2012年暮れ、細川先生は自身で、SolidWorks認定プログラムの最高位であるCSWE(Certified SolidWorks Expert)を取得した。CSWE取得者は日本全体でまだ20数名であり、教育界では細川先生が初めての快挙である。
「期末試験にCSWAを利用してみてはどうかと考えて、まずは自分で受験してみました。その後、学生の急激なレベルアップに対応するために、CSWP、次いでCSWEまで取得したのです。特にCSWEは、エラー対処や編集に必要とされる、高度なテクニックが試験問題の中に隠されています。CSWEの試験問題から、求められているものは何であるかを読み取っていく過程で、わたし自身の問題解決能力が大きく高まりました」と細川先生。
学生が卒業制作の設計中にエラーにぶつかって進退きわまったときも、「始めからやり直してみなさい」ではなく、問題点を見つけて、的確なアドバイスができるようになったという。
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専攻科の卒業生は地元企業からの引く手あまたで、就職率は100%だ。製品データを受け取って治具設計・製作を任されている卒業生もいれば、自動車関係の設計会社に就職内定した学生は、CATIAも追加で学んでいるという。
「地元企業の声に応えて、ものづくりの力の育成が着々と進んでいると感じます。就職先で、『この新人が欲しいと部門間で取り合いになりました』などと言われると、とてもうれしいですね」と、細川先生の顔がほころぶ。
解析については、2012年の夏休み、いわてデジタルエンジニア育成センターから講師を招いて、2日間の集中講義を実施。「応力が視覚的にわかっておもしろい」と学生の評判もよいことから、今後も続けていく方針である。
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