フォーミュラE、シーズン12カレンダーと新レギュレーションを発表
FIA世界モータースポーツ評議会後に声明を発表

FIAおよびフォーミュラEは、スポーティング、テクニカル、コマーシャルの各ステークホルダーとの協議を経て、シーズン12(2025/26年)に向けた複数の主要アップデートを発表しました。
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中国・三亜(サンア)でのレース開催が決定
ABB FIAフォーミュラE世界選手権は、シーズン5(2018/19年)以来となる中国・三亜での開催を発表。これにより、史上最多となる全11都市・17レースで構成されるシーズン12カレンダーが確定。新レースとしてスペイン・マドリード、アメリカ・マイアミ(ハードロック・スタジアム内マイアミ・インターナショナル・オートドローム)も加わり、フォーミュラE史上最大かつ最も広範囲にわたるシーズンとなる -
予選フォーマットの短縮化
グループステージのセッション時間が10分間に短縮され、デュエルラウンド間のインターバルも短縮。これにより、よりスピーディで競争性の高い、観戦しやすい予選フォーマットが実現 -
アタックモードの新ルール
より競争力が高く予測不能な展開を維持するため、ピットブースト導入レースではアタックモードを1回のみ使用可能とし、非ピットブーストレースでは2回使用可能とする。さらに、アタックモードの所定の使用時間を完全に消化するという義務が撤廃された -
財務規定の改訂
チームの出産・育休手当に関する支払いがコストキャップ(支出上限)から除外される。フォーミュラEが掲げる女性活躍推進戦略および包括性への強いコミットメントを反映 -
ルーキーテストおよびルーキーフリープラクティスの開催地決定
シーズン12では、マイアミでルーキーフリープラクティスを開催、マドリードではルーキー・コレクティブ・テスト(合同テスト)を実施。次世代ドライバーたちにより多くの走行機会が提供される
フォーミュラEがシーズン5以来となる中国・三亜(サンア)へ復帰
シーズン12では中国で2戦を開催、シリーズ史上最大のカレンダーに
ABB FIAフォーミュラE世界選手権は、2026年6月に開催されるシーズン12の第12戦で、活気あふれる沿岸都市である中国・三亜(サンア)に戻ってきます。これはシーズン5(2018/19年)以来となる同市での開催となります。三亜は今回、上海とともにシーズン12のカレンダーに加わり、中国としては初めて1シーズンで2つのレースを開催します。これは、フォーミュラEにおける中国の戦略的重要性と、シリーズ創設期から続く長年の関係性を明確に反映しています。このことは中国がフォーミュラEに強い関心を寄せていることの証でもあり、三亜市政府および信頼できるパートナーである三亜連鑫(Sanya Lian Xin)の支援によって実現した、電動レースへの積極的な姿勢と主要市場としての地位を明確に示すものです。
中国・海南島に位置する三亜は、南国の美しい景観とテクニカルな市街地コースが融合した独自の魅力を持ち、ドライバーやチームに挑戦的かつ魅力的なレース体験を提供すると期待されています。また、世界有数のリゾート観光地として知られると同時に、中国唯一の自由貿易港である海南自由貿易港(Hainan Free Trade Port)に位置する三亜は、フォーミュラEという世界的な場に参加することによって、国際観光都市としての魅力や国際ビジネス拠点としての存在感を世界に発信します。
フォーミュラEにおいて中国は歴史的に重要な役割を果たしてきました。2014年の北京E-Prixでシリーズ初のレースを開催して以来、香港を含む4都市での開催を経て、現在は上海と三亜の2都市がカレンダーに名を連ねています。これまでに行われた中国での全11レースでは10人の異なる優勝者が誕生しており、フォーミュラEならではの競争性と予測不能な展開が生み出すレースの魅力を際立たせています。
今回の三亜追加により、ABBフォーミュラEは全11都市・17レースという、シリーズ史上最大規模となる記録的なシーズン12を迎えることとなります。
フォーミュラE、出産・育休手当の上限見直し
フォーミュラEとFIAは、ABB FIAフォーミュラE世界選手権の財務規定を改定し、女性活躍推進戦略およびより幅広い包括性への取り組みをさらに強化することを発表しました。
改定後の規定では、出産休暇および育児休暇に関する給与を支出上限の対象外とします。この改定は、ABB FIAフォーミュラE世界選手権が世界のモータースポーツにおける公平性と包括性の分野で先駆的な存在であることを示す重要なポイントです。これにより、チームは競技力や財務パフォーマンスを損なうことなく、スタッフのライフイベントを十分に支援できる環境を整えることが可能になります。
今回の改定は、フォーミュラEおよびFIAが継続的に掲げる「より公平で、多様性と包摂性のある環境づくり」への取り組みを改めて強化するものです。その象徴的な取り組みのひとつである「FIA Girls on Track」プログラムでは、レースウィークごとに約120名の若い女性を招き、STEM(科学・技術・工学・数学)分野の体験型ワークショップや、モータースポーツにおけるキャリアの可能性を学ぶセッションを実施しています。これらの活動は、フォーミュラEが次世代の女性人材を育成し続けるという揺るぎない姿勢を明確に示しています。
さらに、10月31日にスペイン・バレンシアで実施される「オールウーマンテスト(All-Women Collective Test)」も、フォーミュラEおよびFIAが長期的に掲げるモータースポーツにおける多様性と平等の推進戦略の中核をなす取り組みで、女性ドライバーの参画を妨げる構造的な問題の特定と解消に引き続き注力しています。
スポーティング・レギュレーションの改定
予選フォーマットとアタックモードのルールをアップデート
今回承認された改定により、よりスピーディで競争性が高く、観戦しやすい予選セッションを実現するための新しいタイミングフォーマットが導入されました。
予選のグループステージは10分間に短縮され、従来義務づけられていた最初の6分以内にタイムを記録するルールは撤廃されます。また、デュエル(1対1対戦)の実施タイミングも見直され、セッション全体の所要時間がより合理的に約1時間程度に収まるよう調整されました。これらの変更は、チームとファンの双方にとって流れの良い予選セッションを実現しつつ、従来のグループ+デュエル形式という基本構造を維持することを目的としています。
さらに、アタックモードのルールも改定され、レースの競争性と予測不能性をより高める内容となりました。ピットブーストが導入されるレースでは、アタックモードの使用は1回のみとし、ピットブーストが導入されないレースでは、従来どおり2回の使用が認められます。ドライバーは定められた回数のアタックモードを発動する義務を引き続き負いますが、使用時間を完全に消化できなかった場合のペナルティは撤廃されました。これらの改定により、レースはよりダイナミックで予測不能な展開を維持できるよう設計されています。
コメント
アルベルト・ロンゴ(Alberto Longo, フォーミュラE共同創設者/チーフ・チャンピオンシップ・オフィサー)
「シーズン12は、ABB FIAフォーミュラE世界選手権がさらなる発展を遂げる重要なシーズンとなります。中国での活動を強化する三亜でのレース復活、そして競技性と公平性の両立を目指す新たなレギュレーションの導入は、その象徴的な取り組みです。特に、出産・育休手当をコストキャップから除外するという改定は、フォーミュラEにとって画期的な取り組みであり、チームが大切なライフイベントを迎えるメンバーを、妥協なく支援できるようになるという点で画期的です。同時に、競技フォーマットの改善やカレンダーの拡大は、フォーミュラEがこれまで以上にエキサイティングで先進的なシーズンを届けるというミッションを体現しています」
パブロ・マルティノ(Pablo Martino, FIA フォーミュラE責任者)
「2025/26年のABB FIAフォーミュラE世界選手権カレンダーが正式に承認されたことを嬉しく思います。史上最多となる17戦のスケジュールは、フォーミュラEを象徴する伝統的な開催地と、新たに加わる世界各地の都市が見事に融合した構成となっています。なかでも中国で2戦を開催することは、シリーズのマニュファクチャラーにとって重要な市場であることに加え、2014年に北京で始まったフォーミュラEの歴史的原点を思い起こさせます。また、今回の改定では、フォーミュラEをさらにエキサイティングかつインクルーシブな競技へと進化させるために、スポーティングおよびファイナンシャル・レギュレーションに細部の調整を加えました。まもなく開幕する公式プレシーズンテストでは、1日を女性ドライバー専用テストに充てるプログラムも予定されており、今後10か月にわたって続くシーズン12の展開に大きな期待を寄せています」
2025/26 ABB FIAフォーミュラE世界選手権 カレンダー

フォーミュラEとABB FIAフォーミュラE世界選手権について
ABB FIAフォーミュラE世界選手権は、世界初の電気自動車によるFIA世界選手権で、「ネットゼロ・パスウェイ」認証を取得した唯一のスポーツです。世界有数の都市の中心部でドラマチックなレースを展開し、世界をリードする自動車メーカーに電気自動車のイノベーションを加速させるためのモータースポーツプラットフォームを提供しています。フォーミュラEのチーム、メーカー、パートナー、放送局、開催都市は、このスポーツに対する情熱と、持続可能な人類の進歩を加速させ、人々と地球により良い未来をもたらす可能性を信じるという信念によって結ばれています。
トップページ https://www.fiaformulae.com
Tokyo E-Prix https://www.fiaformulae.com/ja/calendar/tokyo
ABBについて
ABBは、エレクトリフィケーションとオートメーションのグローバルテクノロジーリーダーであり、より持続可能で資源効率の高い未来の実現を目指しています。エンジニアリングとデジタル化の専門知識を結び付けることで、産業のパフォーマンスを高め、効率性、生産性、持続可能性を向上させ、優れた成果を生み出せるよう支援します。私たちは、これを「Engineered to Outrun」と呼びます。140年以上の歴史を有し、世界中に110,000人以上の従業員を擁するABBは、スイス証券取引所 (ABBN) および ナスダック・ストックホルム (ABB) に上場しています。
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