2023年度朝日がん大賞は秋山正子氏、日本対がん協会賞は4個人と1団体
「がん征圧月間」の9月、がん征圧全国大会(山口市)で表彰
秋山氏は聖路加看護大学衛生看護学部(当時)を卒業後、京都の病院の産科病棟に勤務していましたが、1990年、まだ制度の無い時代に、姉のがん末期での在宅療養の試みを通し、訪問看護の重要性に気づきました。病院ではなく生活の場で療養できるよう看護を届ける仕事がしたいと考え、1992年に東京都新宿区で訪問看護を開始。2008年11月に参加した国際がん看護セミナーで、がん経験者や家族がくつろぎ、悩みを相談できる英国発祥のマギーズキャンサーケアリングセンターを知り、2011年に同センターを参考に、誰もが気軽に相談できる「暮らしの保健室」を高齢化が進む新宿区戸山の大規模団地の中に開きました。その後、同様の施設は北海道から九州まで広がっています。2016年10月、暮らしの保健室を発展させる形で、東京都江東区に日本初の正式なマギーズキャンサーケアリングセンターである「マギーズ東京」が開設されました。マギーズ東京の運営費は寄付金で賄い、患者らは無料で相談できます。家でも病院でもない「第三の場所」として、原則予約なしで看護師ら専門職がじっくり話を聞き、利用者は自分で考える力を取り戻せると評価されています。
日本対がん協会賞の個人の部は、山口県周南市の徳山中央病院緩和ケア内科主任部長、伊東武久氏(78)▽さいたま市の東大宮クリニック院長、高橋道子氏(80)▽福井県がん検診精度管理委員会幹事、広瀬真紀氏(73)▽山口県予防保健協会副理事長、松本常男氏(71)の4氏に贈られます。いずれも地域でのがん予防やがん検診の推進、がん治療、患者支援などの業績が評価されました。
団体の部は、地方独立行政法人 東京都立病院機構 東京都立駒込病院(戸井雅和院長)が選ばれました。コロナ禍の中、積極的に感染者を受け入れる一方、がん患者に対し造血幹細胞移植を続けました。新型コロナ対応で全科から動員され、スタッフが少ない中、2020年は142件、2021年148件と移植数は全国トップです。また、がん教育にも力を注ぎ、地元の学校へ医師らを派遣し知識の普及にも努めています。
日本対がん協会賞は、協会設立10周年の1968年、がん征圧運動の一層の高揚を図る目的で創設された。対がん活動に顕著な功績のあった個人と団体、長年にわたり地道な努力を重ねてきた個人と団体などに贈られる。また、朝日がん大賞は、日本対がん協会賞の特別賞として2001年に朝日新聞社の協力で創設。がん予防を対象に、将来性のある研究も発掘、医療機器類の研究・開発、患者支援などで優れた実績をあげて社会に貢献し、かつ、第一線で活躍する個人・団体などに贈られる。
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2023年度の選考委員会は次の通りです。
委員長 垣添忠生・日本対がん協会会長▽副委員長 大内憲明・東北大学大学院医学系研究科特任教授・東北大学名誉教授▽委員(50音順) 梅田正行・日本対がん協会理事長、佐野武・がん研究会有明病院院長、津金昌一郎・国際医療福祉大学大学院医学研究科公衆衛生学専攻教授、野瀬輝彦・朝日新聞東京本社くらし報道部長、松本吉郎・日本医師会会長
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