航空の脱炭素化を目指すSAF利用促進プロジェクト、実証第一弾を完了
~成田空港での「Scope3環境価値」取引の有効性を確認、今後の展開へ~
持続可能な航空燃料(SAF)の利用促進を目的として2024年8月から開始した、SAFのScope3環境価値を取引する新たなスキームを構築するプロジェクト*について、参加企業間でScope3環境価値の取引を行いスキームの有効性を検証する実証試験の第一弾が完了したことから、結果を公表します。
今回の実証試験においては、Scope3環境価値の取引に関する知見を得るとともに、課題を把握することができました。今後は実証試験の第二弾として、参加企業を拡大させ、Scope3環境価値の更なる認知度向上と取引の活性化に取り組みながら、本格的な社会実装に向けてスキームの在り方を検討してまいります。
*2024年8月2日付 プレスリリース「航空の脱炭素化を目指してSAF利用促進プロジェクトを開始」
https://www.eneos.co.jp/newsrelease/upload_pdf/20240802_01_01_0944355.pdf
< 「Scope3環境価値」取引 実証試験(第一弾)の結果[概要] >
■参加企業
伊藤忠商事株式会社、ENEOS株式会社、NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社、日本航空株式会社、株式会社みずほ銀行、みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社、成田国際空港株式会社
■実施期間
2024年8月~2025年3月(8カ月間)
■主な結果
•Scope3環境価値の販売者・購入者それぞれが売買情報をプラットフォームへ随時登録し、売買条件のマッチングと相対契約を経て取引が成立した
•Scope3環境価値の取引を希望する複数企業が集うプラットフォーム方式が成立することを確認した
•Scope3環境価値の売買情報の登録、マッチング、契約の一連のプロセスが適切に実施されるとともに、第三者機関(一般財団法人日本海事協会)の評価によって当該プロセスの透明性・適切性が確認された
詳細は別添 『SAF利用促進プロジェクト「Scope3環境価値」取引実証第一弾 報告書』をご覧ください。
■企業7社 各社の情報とコメント
伊藤忠商事株式会社
本社:東京都港区 代表取締役社長COO:石井 敬太(以下、伊藤忠商事)
伊藤忠商事はSAFの普及とScope3環境価値取引を推進し、持続可能な社会に貢献します。本実証試験を通じて有効性が確認できたことは大きな一歩と考えます。引き続き有力パートナーと共に循環型社会を構築していきます。
ENEOS株式会社
本社:東京都千代田区 代表取締役社長 社長執行役員:山口 敦治(以下、ENEOS)
ENEOSは、SAFの原料調達・自社製造・販売までの一貫体制の構築を進めています。本プロジェクトへの参画を通じScope3環境価値の実証取引を行い、その有効性を確認しました。
今後もSAFおよびScope3環境価値利用を促進することで、航空業界のGHG削減に貢献します。
NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社
本社:東京都千代田区 代表取締役社長:堀切 智(以下、NX)
各事業者の立場からプラットフォームの役割を検討し、有効性が確認されたことはSAFの普及のために意義ある成果だと捉えています。NXグループは、事業を通じて気候変動対策に取り組むことで、人々のより良い暮らしと持続可能な社会の発展に貢献してまいります。
日本航空株式会社
本社:東京都品川区 代表取締役社長執行役員:鳥取 三津子(以下、JAL)
7社での実証試験を通じて、環境価値取引が航空の脱炭素化に寄与する仕組みであることを改めて認識いたしました。JALグループは引き続き各社と協力して、環境価値取引に関する理解促進・社会への浸透に取り組んでまいります。
株式会社みずほ銀行
本社:東京都千代田区 頭取:加藤 勝彦(以下、みずほ銀行)
実証第一段ではみずほ銀行のSAFに関する知見を提供し、論点整理や運営サポートを担いました。第二弾でも次世代型の航空ネットワーク形成を見据えてScope3環境価値取引の活性化に取組み、航空・空港業界やその先の航空利用者の脱炭素化に貢献します。
みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
本社:東京都千代田区 代表取締役:吉原 昌利(以下、みずほリサーチ&テクノロジーズ)
実証第一段ではみずほリサーチ&テクノロジーズの環境価値に関する知見を提供し、取引体制構築やその確認サポートを担いました。第二弾でも次世代型の航空ネットワーク形成を見据えてScope3環境価値取引の活性化に取組み、航空・空港業界やその先の航空利用者の脱炭素化に貢献します。
成田国際空港株式会社
本社:千葉県成田市 代表取締役社長:藤井 直樹(以下、NAA)
Scope3環境価値の取引は、航空輸送のバリューチェーン全体で脱炭素化を推進する新たなアプローチです。NAAは、航空業界と成田空港の脱炭素化に向けて、引き続きSAFの普及促進に取り組んでまいります。
■第三者機関の情報とコメント
一般財団法人日本海事協会
本部:東京都千代田区 代表理事 会長 菅 勇人(以下、ClassNK)
SAF普及には、Scope3排出量の環境価値取引が極めて有効です。これにより、SAF導入のインセンティブが生まれ、市場活性化が期待されます。ClassNKは、この環境価値取引の信頼性確保のため、第三者検証を通じて皆様の取り組みを支援し、SAF普及と持続可能な社会実現に貢献します。
【ENEOS SAF環境価値販売の取り組み】
航空機利用企業向けSAFの環境価値販売について
~“Avelia”によるSAF市場開拓~
ENEOS株式会社(以下「ENEOS」)は、SAFの利用促進を目的として航空機を利用する乗客、貨物輸送に携わる法人のお客様向けにSAF Scope3の環境価値を提供しています。
ENEOSはSAF環境価値のBook and Claim方式*1のプラットフォームである「Avelia」*2を通じて、日本においてSAFのアクセス性を高めるとともに、航空業界のステークホルダーに対してSAFの利用を促進しています。
現在、コストやサプライチェーンの制約により、航空業界のステークホルダーにおけるSAFの利用推進には課題があります。そこでENEOSはAveliaを通じて、航空会社様と航空機利用企業様の双方がSAF環境価値にアクセスし、そのコストとメリットを共有できる新たなソリューションを提供し、航空業界のステークホルダーのSAF利用を促進します。
この取り組みを通して、ENEOSは航空業界のCO2排出量実質ゼロおよびお客様のサステナビリティ目標の実現に貢献いたします。
【Aveliaを活用した環境価値の取引】
<通常のSAF販売>

<SAFの環境価値販売> * Book and Claim方式を用いた取引

注釈:図はあくまでイメージであり、実際の混合比率を表すものではありません

*1 Book and Claim方式とは、サプライチェーン全体における製品の物理的な流れには必ずしも結びつかず、環境価値を登録簿上で管理・取引する方式です。
*2 Aveliaは、シェルが開発した世界初のBook and Claim方式のブロックチェーン技術を活用したソリューションです。
なお、本サービスについてすべての地域で利用できるわけではありません。地域や地方法に応じて、シェルは「環境価値」の販売を行う場合があります。この「環境価値」は、法律に従い買い手が自社の排出削減のために使用できる可能性があります。また、「属性情報」の提供もあり、これは買い手が持続可能な航空燃料(SAF)の使用を支援し、特定の空港で航空関連の排出を減らすために貢献するものですが、自社の排出削減として主張することはできません。このサービスにはそれぞれ異なる契約形態があるため、具体的な契約内容を必ず確認してください。
<お問い合わせ先>
ENEOS株式会社 広報部 メディアリレーショングループ
〒100-8162 東京都千代田区大手町一丁目1番2号 pr@eneos.com
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