環境移送ベンチャー イノカ、海洋資源保全活動の東南アジア展開を開始 第一弾としてマレーシアにイノカアジアを設立 マレーシアサインズ大学との共同研究で藻場再生の研究開発を強化
海洋生物多様性のホットスポットであるコーラルトライアングルをはじめとする、東南アジアの豊かな海洋生態系を保全し、海洋生物資源の持続可能な活用とその可能性の拡大を目指す。
株式会社イノカ(本社:東京都文京区、代表取締役CEO:高倉葉太、以下「イノカ」)は、地球上で最も豊かな海洋生物多様性のホットスポットである東南アジアの海洋資源の保全、ならびに更なる価値向上を目指し、初の海外子会社 Innoqua Asia Sdn. Bhd.(以下「イノカアジア」)をマレーシアのサイバージャヤに、2024年10月設立いたしました。
また本設立に伴い、2024年10月15日、マレーシアサインズ大学(以下「USM」)との間で藻類や海草の保全・再生に関する研究開発を強化するための基本合意書(MOU)を締結しました。
なお、弊社は、株式会社リバネスが運営する、日アセアン経済産業協力委員会(AMEICC)委託事業「日本のスタートアップによるASEAN企業との協業を通じた海外展開促進事業」にて選抜され、現在マレーシアを中心とした東南アジア展開を促進しております。
背景
東南アジアは、世界のサンゴ礁のほぼ30%を擁し、3000種以上の魚類が生息する「コーラルトライアングル」をはじめ、藻場やマングローブなど、豊かな海洋資源を保有しています。そのため、沿岸地域に住む約1億3000万人は、サンゴ礁生態系に依存した食糧生産を行い、生計を立てています。一方で、近年の水産生物の乱獲、沿岸開発に伴う流域の汚染は、サンゴ礁の減少に大きく影響しており、およそ85%ものサンゴ礁が絶滅の危機に瀕しています。
イノカはこれまで「環境移送技術®」を用いてサンゴや藻場を保全・活用するためのプロジェクトを日本国内で展開してきました。しかし、日本国内を中心とした活動は、イノカがミッションとして掲げる「人類の選択肢を増やし、人も自然も栄える世界をつくる。」を実現するためには、まだまだ仲間が足りません。そこでイノカは、自社が保有する環境移送技術®︎を東南アジアの舞台にも普及し、国際的にも海洋生態系の研究と価値の普及啓蒙を進めていくことを決断しました。
イノカのコアテクノロジー 環境移送技術®︎
「環境移送技術®︎」とは、海をはじめとした水域の自然環境を、水槽を用いて陸地で再現する独自の技術です。自社開発したAI / IoTデバイスを用いて、水質・水温・水流・照明環境・微生物を含む生物同士の関係性など、自然環境を構成する要素を可視化し、実際の環境に近い状況を作り出します。これにより、実際の自然環境で行うよりも実験や解析に適した「標準的」かつ「安定・均一」な環境を、立地を選ばず構築することが可能となりました。2022年2月には、時期をコントロールした閉鎖系でのサンゴの人工産卵に成功しています。
マレーシアサインズ大学(USM)とMOUを締結
マレーシアで行われるプロジェクトの第一弾として、マレーシアサインズ大学(USM)と、藻類や海草の保全・再生に関する研究開発を強化するための基本合意書(MOU)を締結しました。本締結内容では、藻類や海藻などの海洋資源の保護と地域の持続可能な経済発展の両立を目指しています。東南アジアの海洋生態系は世界でも類を見ないほどの生物多様性を誇り、その保全は地球全体の環境バランスにおいても極めて重要です。USMとの提携を通じ、「環境移送技術®︎」及び本技術がもたらす研究環境を東南アジアで応用することで、より一層の環境保全と研究の推進を目指します。
MOU調印式
調印式は、株式会社リバネス(本社:東京都新宿区、代表:丸幸弘)が主催する「Sustainable Aquaculture Summit」の一環として行われました。式典には、USMの Centre for Marine and Coastal Studies (CEMACS) のディレクターである Prof. Dato’ Dr. Aileen Tan Shau Hwai 氏、Leave a Nest Malaysia Sdn. Bhd. のマネージングディレクター Abdul Hakim Sahidi 氏の立ち会いのもと、USM副学長 Professor Dato’ Ir. Dr. Abdul Rahman bin Mohamed, FASc 氏とイノカアジアCEO 高倉葉太 氏が署名しました。
本MOUに基づき、以下の内容で包括連携を進めます:
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学生および/または職員の交換
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共同学術プログラム
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共同研究開発プログラム
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共同ワークショップ及び研修プログラム
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出版物の交換
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その他、両締約国が相互に確認し、合意する学術的な連携及び協力
今後の展望
イノカアジア設立により、今後は現地の研究機関と連携しながら、グローバルな海洋生態系の再生に向けた持続可能な技術開発を加速させます。また、共同研究や教育プログラムを通じて、次世代の海洋研究者を育成することで長期的な海洋資源の保全を東南アジア全体で目指します。
「人類の選択肢を増やし、人も自然も栄える世界をつくる。」イノカが創り出す東南アジア全体を巻き込んだ次なる挑戦にご期待下さい。
【USMについて】
USM(マレーシアサインズ大学)は、1969年に設立されたマレーシアで2番目に歴史のある国立大学です。2024年度の The Times Higher Education Asia University Rankings において世界99位にランクされ、特に Centre for Marine and Coastal Studies (CEMACS) は海洋科学や沿岸生態系の研究を先導しています。
【イノカについて】
イノカは「自分たちが好きな自然をみつづける」をフィロソフィーに掲げ、国内有数のサンゴ飼育技術を持つアクアリスト(水生生物の飼育者)と、東京大学でAI研究を行っていたエンジニアがタッグを組み、2019年に創業したベンチャー企業です。
「人類の選択肢を増やし、人も自然も栄える世界をつくる」をミッションに掲げ、自然を愛し、好奇心に基づいて飼育研究を行う人々の力と、IoT・AI技術を組み合わせることで、任意の生態系を水槽内に再現する『環境移送技術®』の研究開発を推進しています。2022年2月には世界初となるサンゴの人工産卵実験に成功しました。
当社は、遺伝資源(※)を含む海洋生物多様性の価値を持続可能にすることを目的として、「自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:以下「TNFD」)」の「TNFDデータカタリスト」にも参画しています。
※ 遺伝資源:生物多様性条約においては「遺伝の機能的な単位を有する植物、動物、微生物、その他に由来する素材のうち、現実の、又は潜在的な価値を持つもの」と定義される。全ての生物は遺伝子を持っており、医薬品開発やバイオテクノロジーの素材として役に立つ可能性がある。
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