トークセッション「コロナ禍における文化芸術活動」開催 ~ 京都市文化芸術活動緊急奨励金の活用者に伺う ~ 

ダンサー、音楽家、ギャラリー運営者、アートコーディネーター、美術ライター コロナ禍においても精力的に活動された文化芸術関係者のリアルな声が満載 

京都市

URL:https://youtu.be/rICs65rSDus(ダイジェスト版)
京都市では、コロナ禍において全国でいち早く文化芸術関係者の活動支援を行ってきました。
この度、コロナ禍においても精力的に活動された文化芸術関係者5名(ダンサー、音楽家、ギャラリー運営者、アートコーディネーター、美術ライター)にご参加いただき、「コロナ禍における文化芸術活動」をテーマとしたオンライントークセッションを2021年2月24日(木)に開催しました。

【京都市の文化芸術活動支援】
コロナ禍において、文化芸術が不要不急のように考えられる時期もありました。しかし、人が心豊かに生きるために文化芸術は必要不可欠なものであり、とりわけコロナ禍においてその役割は極めて重要なものとなります。
京都市では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴う文化芸術活動への支援策として、 2020年4月24日、全国でいち早く、発表・制作等の機会を失っている文化芸術関係者の活動支援を「京都市文化芸術活動緊急奨励金」として開始しました。この施策を皮切りに、「文化芸術活動再開への挑戦サポート交付金」や「文化芸術活動再開への発表・鑑賞拠点継続支援金」「感染拡大防止と文化芸術活動の両立支援補助金」など、総額10億円規模の切れ目のない支援を展開してきました。
“心を潤す” 伝統文化や芸術を担う方々のご活動へのサポートに対し、文化芸術の担い手はもとより、市民の皆様からも喜びの声をいただきました。

【オンライントークセッション トピックス】
参加者の皆様には、以下のような話題をはじめ、様々なご発言をいただけました。
・コロナ禍、逆風に心が折れかかった中、京都市からの活動支援がモチベーションに。
・気づかされた文化芸術における「実体験」の大切さ。
・オンラインによる文化芸術活動がもつ可能性とは。
・コロナ禍、様々な分野で影響があったが、「文化芸術の本質は今後も変わらない」。


「京都市文化芸術活動緊急奨励金」とは
2020年4月、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、展覧会・公演等の文化芸術事業が中止・延期を余儀なくされ、文化芸術を支える関係者の活動に大きな影響が及んでいることを受け、文化芸術の担い手の活動を支援するべく創設。
コロナ禍において実施できる文化芸術活動の(企画・制作・実施・リサーチ等)に対し、奨励金(上限額30万円)を交付しました。
当初の事業費は5,000万円でしたが、想定を超える申請をうけ、予算規模を3億円に増額。約1,000件の申請に対し交付を決定しました。
 
  • トークセッションの様子
当日のトークセッションの様子は下記URLから公開しております。
URL:https://youtu.be/rICs65rSDus(ダイジェスト版)
URL:https://youtu.be/Lj_AYa92aUY(フル版)

 

 

  • 事後レポート(ダイジェスト版から抜粋)
◆2020年4月「京都市文化芸術活動緊急奨励金」が創設されたことを受けて
児玉 北斗さん(ダンサー/振付家)

「2020年12月に、振付家としての新作の発表を予定しており、5年近く入念に企画していたものの、創作プロセスの根本的な見直しを迫られました。コロナ禍では何か新しいことをやろうというよりも、守りに入る雰囲気がありました。さらに、不要不急の自粛ムードの中、舞台芸術、特に身体的コミュニケーションをベースにしたダンスは、有害なものであるような雰囲気があり、逆風にさらされ精神的なダメージが大きかったです。そのような中で、早い段階に奨励金の発表があり、金額的にも新しいことをやるのにちょうど良かったので、折れかかった
創作意欲が繋がったような気がしました。」(ダイジェスト版 00:05~01:15)


◆コロナ禍における活動を経て感じたこと
中川 裕貴さん(チェロ演奏家)

「生で演奏することの重要性に直面しました。これまでと違い、空間を使わず配信という方法をとることは自分自身をつくり替えなければいけないと感じました。マイクを使えば音を集めることができ配信も可能ですが、身体で実際に音を受けることと、ヘッドフォンで音を聴くことは違う体験だと思いました。また、マスクをすることで、耳にかけたり、口を覆うことで、体験は微妙に変わってきていると感じます。」
(ダイジェスト版 02:23~04:20)

松尾 惠さん(アートギャラリー運営者)

「美術はモノだけが流通するのではなく、また図像だけを見て鑑賞するのではなく、実物と対面することにより、対話して全体が批評空間にならなければならないものの、今後、従来の鑑賞が違うスタイルになっていくのではないかと危機感を覚えました。また、コロナ禍において、人と対話しなくなっても美術は成立、拡散するのかという大きな問題に直面したことで、今後この状況がより制約される災害等も起こりうるのではないかと危惧しています。」(ダイジェスト版 04:20~06:00)

川那辺 香乃さん(アートコーディネーター)

「ダンサーの方や俳優の方から、ワークショップは対面が良いという声が多かったものの、一方で、オンラインを活用し工夫しながら活動している方や、ソーシャルディスタンスを保ちながら対面でどう授業できるか試行錯誤している方もいらっしゃいました。オンラインでやれることと対面でやれることは対義ではなく、別々の価値観があり、今後オンラインの可能性を追求していくことも重要だと思います。」
(ダイジェスト版 06:00~06:50)


◆今後の文化芸術の在り方について
島貫 泰介さん(美術ライター)

「変わるところと変わらないところがあると考えています。本質的な役割やあり方は変わらないと思いますが、それがどのような形でアウトプットされるか、形そのものは変わっていくと思います。ただ、コロナの影響が出始めてからまだ2年も経っていないので、大きなスパンでの変化がまだ分からないというのが正直なところです。また、コロナ禍以降、文化芸術関係者の間では、作品そのもので実現される事柄よりも、観客にとってどのような体験になるかに関心を向ける動向があり、今後、観客・客席等での体験のありかたを改めて考え直すことも重要だと思います。」
(ダイジェスト版 07:23~09:07)

※このほか、フルバージョンの動画では、各参加者様の活動事例などもお話いただきました。
 
  • 参加者プロフィール
児玉 北斗(こだま ほくと) ダンサー/振付家

日本でバレエ一家に生まれ、北米やヨーロッパでダンサーとして活動してきた自身の経歴をバックグラウンドに、近代的主体・身体の政治性と、知と権力のシステムとしてのコレオグラフィーの連関について当事者的な問題意識を持ち続けている。2017年3月、トーキョーワンダーサイト本郷にて初の単独公演としてソロ作品「Trace(s)」、同年7月には、大植真太郎(C/Ompany)と共作で「inspiration/delusion of SWAN LAKE」を発表した。ストックホルム芸術大学コレオグラフィー修士課程(DOCH)修了制作として2018年5月に3作目のソロ作品「Untitled (I speak、 I lie、 I admit)」を発表し、MFA in Choreography取得。現在は立命館大学大学院 先端総合学術研究科博士課程に在籍し、研究と舞踊活動を並行して行っている。


「文化芸術活動緊急奨励金」による活動
ウェブサイト「ダンスをめぐる12の文章」の公開。自身の創作プロセスの一環として、またインターネット上に無料でアクセスできるダンスの入門的なテクストが非常に少ないという問題意識から、ダンスをめぐる諸問題に関連した文章を12人のダンサー、振付家、研究者などに依頼し、ウェブサイトを制作した。
https://writings.hokutokodama.com


中川 裕貴(なかがわ ゆうき) チェロ演奏家

1986年三重県松阪市生まれ。同志社大学工学部卒業。京都市立芸術大学音楽研究科修了(音楽学)。チェロを使用した作曲、演奏、演出活動を行う。自身が演奏という行為をすることによって生まれる音や音楽、またその過程の外部にあるテキスト(音やその環境についての説明など)や時間/空間との対話を通じて、「自身が演奏をしながら、そこ/ここでどのように存在するか」を問うことをテーマとしている。ソロでの演奏と並行してバンド活動や、演劇やダンス公演の舞台音楽、その他アーティストのサポートも行う。
 

「文化芸術活動緊急奨励金」による活動
コロナ禍において音が鳴り響くこと、また人が集まることがなくなった「場所」を別の手法で聴き手に届けることに取り組んだ。テーマとして、集まることの難しくなった「私たち」に対し、音という現象を通じた場所/距離/空間のこれまでとは異なる“ききかた”(聴きかた/訊きかた/効きかた)”を提示。
具体的には、いくつかの会場において、無観客で演奏(チェロ演奏)を行い、その模様を撮影、録音、映像作品として創作を行った。また同時に、この試みで得られた素材を使い、実際に観客有の状態での公演も実施し、集まらないこと/集まること、
「距離」や「音楽」の捉え方そのものを考える取り組みを行った。


松尾 惠(まつお めぐみ) アートギャラリー運営者


「ヴォイスギャラリー」代表。京都市立芸術大学卒業後、創作活動を経て、ヴォイスギャラリーを開設。並行して、1990年代より京都市の芸術振興・普及等の各種委員会で委員を務める。現在も芸術家育成・環境整備等の活動のほか、(公財)京都市芸術文化協会理事や大学非常勤講師なども務めている。



 

 

【撮影:牧野和馬】【撮影:牧野和馬】


「文化芸術活動緊急奨励金」による活動
「art in transit“The Final”」と題して、廃業するホテルからアート作品を搬出するプロジェクトを実施。新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け廃業したホテルに展示されていたアート作品を引き取り、展覧会で展示後、各アーティストに返還した。
http://voicegallery.org/exhibition2020.php


川那辺 香乃(かわなべ かの) アートコーディネーター

アートコーディネーター。同志社大学大学院総合政策科学研究科 SIコース博士前期課程修了。子どもや障害者、高齢者へのアウトリーチを中心に活動している。企業、文化人類学など地域研究者との協働や、エシカル消費、海外にルーツをもつ子どもたちといった社会課題にアプローチしたアートワークショップなど担当する。また、アートプロジェクトやプロジェクト型作品のディレクションも手がけている。NPO法人子どもとアーティストの出会いプログラムディレクター。一般社団法人ダンストーク理事。Dance Fanfare Kyoto運営メンバー。大阪音楽大学 非常勤講師

「文化芸術活動緊急奨励金」による活動
教育現場における未来の身体表現のワークショップづくりのためのリサーチを実施した。
2000年代に入り、アートを通して学ぶ試みが教育現場において注目を集め、学校現場にアーティストを派遣し出張授業(ワークショップ)を行う取り組みが増えている。しかし、コロナ禍により、ダンスや演劇など身体表現のワークショップは、「三密」条件が揃いやすく実施が困難になると予想される。
そこで、今回の取組では「今後の教育現場で求められる身体表現のワークショップのありかた」と新型コロナウイルスの感染防止対策を行ったうえで現在の状況でも可能な身体表現のワークショップの手法を調査。グーグルフォームを利用したアンケート調査とzoomを使用したオンラインでのヒアリング調査を行い、調査結果をもとに公開研究会を行った。
https://bridge-kanokm.tumblr.com/post/631587594446225408


島貫 泰介(しまぬき たいすけ) 美術ライター


美術ライター/編集者。1980年神奈川生まれ。4年前に京都に生活拠点を移し、関東と往復しながら取材や編集を行う。主に現代美術、舞台芸術、ポップカルチャーに関する記事を製作しており、『CINRA.NET』『美術手帖』などで企画・執筆・編集に携わる。
また近年は、捩子ぴじん(ダンサー)、三枝愛(美術家)と、リサーチを主目的としたコレクティブグループを結成して活動するなど、執筆・編集の実験的拡張を試みている。
 


「文化芸術活動緊急奨励金」による活動
コロナ禍以降に京都市内を中心に行われるアート系の催しや、文化復興に関わる取り組みをジャンルを問わず取材し、レポート記事・インタビューなどを掲載する新たなWebメディア『ソーシャルディスタンスアートマガジン「かもべり」』を立ち上げ。(http://kamoberi.com/
 

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松井孝治
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未上場
資本金
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設立
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