スペースデータ、英連邦および国連宇宙部と連携し、デジタルツインを活用した災害対策支援を開始
衛星データとAIを活用したデジタルツインおよび浸水シミュレーションを提供

株式会社スペースデータ(本社:東京都港区、代表取締役:佐藤航陽、以下 スペースデータ)は、国連宇宙部(United Nations Office for Outer Space Affairs:UNOOSA)が推進する「CommonSpace Initiative」の一環として、英連邦加盟国を対象とした災害対策強化プロジェクトに参画しました。今回の実施対象はガーナ共和国およびトリニダード・トバゴ共和国となっております。
英連邦(Commonwealth of Nations)は、歴史的にイギリスと結びつきのある56か国からなる政府間組織であり、特に島嶼国や開発途上国が多く加盟しているのが特徴です。これらの国々では、気候変動の影響による災害リスクの高まりが課題となっています。本プロジェクトでは、AIを活用したデジタルツイン技術および洪水シミュレーションの開発を通じて、英連邦加盟国における自然災害への備えと、持続可能な都市開発支援の実現を目指しています。
背景と目的
近年、英連邦加盟国を含む多くの開発途上国では、気候変動の影響による洪水や高潮、海面上昇といった災害の頻発化・深刻化が社会問題となっています。特に都市化が進む地域においては、脆弱なインフラが被害を拡大させ、地域住民の生活や経済活動に重大な影響を及ぼしています。
この課題に対し、本プロジェクトでは以下の3つの目的を掲げています。
-
災害リスク評価に資する空間情報基盤およびデータ分析支援の整備
-
洪水被害の可視化と迅速な対応計画の支援
-
都市インフラ計画および防災計画への活用を見据えたデジタルツイン基盤の整備
事業概要
本プロジェクトにおける今回の対象国ガーナ、トリニダード・トバゴ向けに2025年1月から3月にかけて、気候変動の影響により頻発する洪水や高潮といった水害に対し、早期警戒・リスク可視化・都市計画支援を可能とする以下の技術的成果が開発されました。これにより正確なリスク評価と洪水など災害事象への早期対応が可能になりました。
-
高精細衛星画像を活用した都市部のデジタルツインモデルの構築
→ 実際の建物形状や地形情報を反映し、災害リスクに資する評価基盤を構築 -
洪水シミュレーションによる被害想定の可視化
→ 被害想定の具体化により、住民や行政の意識向上を図る
→ あわせて、構築したデジタルツインモデルおよび分析結果は、行政機関による洪水リスク評価の補助や都市インフラ整備・防災計画の立案支援に活用されることを想定し、各関係機関への展開が進められています。
本プロジェクトの成果の一部は、下記の動画でご覧いただけます。
ガーナにおけるデジタルツインおよび洪水シミュレーションの動画
トリニダード・トバゴにおけるデジタルツインおよび洪水シミュレーションの動画
また、本3Dデジタルツインモデルは、Web上で高精度な地理空間データを3D表示できるプラットフォーム「Cesium ion」を活用して3Dタイル形式に変換されています。下記リンクより、ブラウザ上で3Dモデルを自由に動かしてご体感いただけます。
-
3Dデジタルツイン体験版(ガーナ)
https://ion.cesium.com/stories/viewer/?id=b354cdfd-d00f-4ec2-9a08-548f4b28f869 -
3Dデジタルツイン体験版(トリニダード・トバゴ)
https://ion.cesium.com/stories/viewer/?id=e995969b-8576-4393-b62a-1ada81d5d05b






参画機関および役割
-
株式会社スペースデータ:衛星画像とAIを活用し、デジタルツインおよび災害シミュレーションの設計・開発を担当
-
英連邦:英連邦(Commonwealth of Nations)は、歴史的にイギリスと結びつきのある56か国からなる政府間組織であり、特に島嶼国や開発途上国が多く加盟しているのが特徴。これらの国々では、気候変動の影響による災害リスクの高まりが課題。
-
国連宇宙部(UNOOSA):宇宙空間の平和的利用と、全ての国々への宇宙技術の恩恵の普及を推進する国連の専門機関。特に開発途上国への宇宙技術の応用に注力しており、災害対策、持続可能な開発、教育支援など幅広い分野で活動を展開。
本プロジェクトにおける総括機関として、全体の計画策定、関係国・機関との調整、高解像度衛星画像の調達、成果の国際発信を担当。プロジェクト成果の他国展開や国連プログラム(EW4All等)との連携促進も担う。
-
ボン大学(ZFL:Center for Remote Sensing of Land Surfaces):ドイツ・ボン大学に設置されたリモートセンシングの研究機関で、地球観測分野におけるドイツ屈指の研究機関であり、気候変動や災害リスク、土地利用変化の解析において世界的な知見を有している。災害、農業、気候変動分野における地球観測データの解析において国際的評価の高い研究拠点。本プロジェクトにおいては高潮・洪水の解析を実施。
-
渡邉 英徳 教授(東京大学):1974年生。東京大学大学院情報学環教授。博士(工学)。情報デザインとデジタルアーカイブを研究。ハーバード大学エドウィン・O・ライシャワー日本研究所客員研究員,京都大学地域研究統合情報センター客員准教授などを歴任。「ナガサキ・アーカイブ」「ヒロシマ・アーカイブ」「忘れない:震災犠牲者の行動記録」「ウクライナ衛星画像マップ」「能登半島地震フォトグラメトリ・マップ」などを制作。『データを紡いで社会につなぐ』『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』(共著)『戦中写真が伝える 動物たちのみた戦争』(共編著)などを執筆。本プロジェクトにおいては3D地図タイルおよびストーリーマップ開発を実施。
-
Maxar Technologies:アメリカを拠点とする商用地球観測衛星業界における最大手企業の一つであり、世界最高水準の解像度を誇る光学衛星を運用しています。政府機関、研究機関、民間企業に向けた空間データ提供。本プロジェクトでは高解像度衛星画像提供。
波及効果と今後の展開
本プロジェクトは、国連がCOP27で提唱した「Early Warning for All(すべての人に早期警報を)」という目標の実現に貢献するものです。気候変動による災害が世界各地で深刻化する中、とくに英連邦に加盟する開発途上国では、洪水や高潮などへの備えが急務となっています。
また、英連邦災害レジリエンスセンター(Commonwealth Disaster Resilience Centre:CDRC)の推進する、分野を横断した取り組みとも連携し、対象国における医療やインフラ、地域の暮らしを守る力を高めることが期待されています。
今後は、本プロジェクトで得られた知見や成果をもとに、現地政府からのフィードバックをもとにした避難ルートの最適化などを考慮したデータドリブンによる防災計画の策定、各国政府や国際機関との協力のもと、国際会議・技術ワークショップを通じて他国展開を推進します。とくに対象国からの要請に応じて、同様のプログラムを他の英連邦加盟国や気候脆弱地域に拡大する計画が進められています。なお、本プロジェクトの取り組みは、国連宇宙部(UNOOSA)公式サイトでも紹介されています。
UNOOSA公式プレスリリース(英語)
https://unis.unvienna.org/unis/en/pressrels/2025/unisos604.html
本リリースに先立ち、本プロジェクトに関連する英連邦との連携について、2025年6月に下記ニュースリリースも発出しております。あわせてご参照ください。
「国連宇宙部と英連邦による共同署名式」参加に関するご報告
https://spacedata.jp/news/202506_Marlborough
スペースデータについて
スペースデータは、宇宙を「民主化」し、誰もが使えるインフラとして身近にすることを目指しています。具体的には、地球および宇宙環境を再現するデジタルツイン技術や、宇宙ロボット及び宇宙ステーションのオペレーティングシステム開発等に注力しています。「宇宙」と「デジタル」の技術を融合することで、宇宙産業に新たな変革を促し、持続可能な宇宙社会の実現に向けて取り組んでいます。
法人概要
社名 :株式会社スペースデータ
代表 :佐藤 航陽
所在地:東京都港区虎ノ門 1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー 15階
資本金:15億1300万円
目的 :宇宙開発に関わる投資と研究
URL :https://spacedata.jp
本件に関するお問い合わせ
下記のお問い合わせフォームからご連絡ください。
すべての画像
- 種類
- 商品サービス
- ビジネスカテゴリ
- システム・Webサイト・アプリ開発アプリケーション・セキュリティ
- 関連リンク
- https://spacedata.jp
- ダウンロード