古代エジプトの名品約200件が集結! 「クレオパトラとエジプトの王妃展」、7月11日から開催
9月23日まで東京・上野公園内の東京国立博物館で
パリ・ルーヴル美術館、ロンドン・大英博物館、トリノ・エジプト博物館、ブリュッセル・ベルギー王立美術歴史博物館など世界の名だたる美術館・博物館の所蔵品を中心に、約12カ国、40を超える所蔵先から貴重な名品の数々が一堂に会する、古代エジプトの粋を集めた展覧会です。
本展は、古代エジプトで、王であるファラオを支え、時に大きな政治的・宗教的な役割を果たした、王妃や女王たちに焦点を当てます。なかでも「絶世の美女」として語り継がれ、古代エジプト史上、最も著名な女王であるクレオパトラ(クレオパトラ7世)、大ピラミッドを建造したクフ王の母ヘテプヘレス、女王として君臨したハトシェプスト、少年王ツタンカーメンの祖母ティイ、アマルナ時代を代表するネフェルトイティ(ネフェルティティ)など、魅力にあふれる女性たちの実像に迫ります。
監修は、早稲田大学の近藤二郎教授とルーヴル美術館古代エジプト美術部門名誉部長のクリスティアーヌ・ジェグレール氏。本格的な古代エジプト展にふさわしい、日本とフランスを代表するエジプト学の権威です。東京国立博物館では、2000年に開催した「世界四大文明 エジプト文明展」以来、15年ぶりとなる古代エジプトの特別展です。ご期待ください。
★クレオパトラとエジプトの王妃展
会期:2015年7月11日(土)~9月23日(水・祝)
会場:東京国立博物館 平成館 (〒110-8712東京都台東区上野公園13-9)
http://www.tnm.jp/ *展覧会公式サイトは春頃オープン予定
開館時間:午前9時30分~午後5時
*金曜日は午後8時まで、土曜、日曜、祝・休日は午後6時まで開館 *入館は閉館の30分前まで
休館日 月曜日 *ただし、7月20日(月・祝)、8月10日(月)、9月21日(月・祝)は開館、7月21日(火)休館 *一部変更の可能性があります
主催:東京国立博物館、NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社
巡回予定:2015年10月10日(土)~12月27日(日) 大阪・国立国際美術館
お問合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
みどころ――――――――――――――――――――――――――
●王妃や女王にまつわる名品約200件が世界中から集結
王妃ティイは、アメンヘテプ3世の寵愛を受けた正妃で、アメンヘテプ4世(後に宗教革命をおこなったアクエンアテン)の母です。この肖像は、かつてエジプト南部のテーベ西岸、アル=コーカ地区にある王妃の家令を務めたウセルハトの墓の前室奥壁に施されていました。額には上下エジプト王冠を被った2匹のウラエウス(聖蛇)がついています。頭上には日輪をもつコブラが取り巻いた台座に二枚羽根飾りをもつ王冠を戴き、欠けた二枚羽根の部分は現在も墓の壁に残されています。
*2013年末、監修者の1人である近藤二郎教授が率いる早稲田大学エジプト学研究所が、このウセルハト墓の調査中に新たな岩窟墓を発見し、話題となりました。●悲劇の最期を遂げた最後の女王・クレオパトラ
手にコルヌ・コピア(豊穣の角)をもつ王妃の姿を表現した像で、衣服などの様式から前2世紀あるいは前1世紀頃のものとされています。腕にはクレオパトラと読めるカルトゥーシュ(王名を囲む楕円形の枠)があるものの、文字の方向が本来と異なるため、製作当時のものではなく、近代に付加されたものといわれています。しかし、最近の研究では、ヘアスタイルから、やはりクレオパトラだと考えられるようになりました。クレオパトラは、その美貌と知性でカエサルなどローマの英雄を虜にした女性で、波乱に満ちた生涯は、小説や絵画、彫刻など、さまざまに題材とされてきました。
●「美女、来たり。」ファラオを支え、国を支えた女性たち
写実的な表現をもつ王妃の頭部です。アメンヘテプ4世は、アクエンアテン(アテン神に有益なもの)と名前を変え、メンフィスとテーベの中央に位置するアマルナに遷都し、太陽神アテンを唯一神とする「アマルナ時代」を築きました。この時代に、伝統的な表現とは異なる、ありのままの姿を表す写実的な美術表現が誕生しました。この像には銘文がないものの、アクエンアテン王の妻、王妃ネフェルトイティのものと考えられています。
●来日する至宝の数々
ラメセス2世の治世前半の正妃イシスネフェルトの像です。彼女は、ネフェルトイリとともに「偉大なる王の妻」の称号をもつ王妃でした。口元に微笑みを浮かべている優しい表情をしており、額には二つのウラエウスがつけられています。メンフィスにゆかりのあるイシスネフェルトの未発見の墓は、サッカラのネクロポリス(墓を集めた一帯)に存在すると推定されています。
ミイラの頭部を覆っていたマスクで、布と石膏とを交互に重ねて固め、それに彩色を施して作られたものです。頭部などにリシ装飾がみられることから王妃のマスクと推定されています。リシとはアラビア語で羽根を意味する語で、第17・18王朝時代には王家の棺やマスクの装飾として使われました。頭部の模様はハゲワシの胸の羽根を表現しており、黄金に塗られた顔と対照的に青色に塗られています。
メンフィスにあったメルエンプタハ王の暮らした王宮の窓です。古代エジプトでは石造りの神殿などとは異なって、日乾煉瓦(にっかんれんが)造りの住宅や王宮などはほとんど残されていません。また住宅や王宮などが残っていたとしても、建物の基礎の部分が形を示すだけで、上部の構造がわかるものは稀です。石灰岩を彫って彩色されたこの明かり取りの窓は、スフィンクスやタカの装飾がなされるなど、当時の王宮の様子を知ることができる貴重なものです。
<監修者プロフィール>
■近藤二郎氏=早稲田大学文学学術院教授、同大学エジプト学研究所所長。2013年末、ルクソール西岸で約3200年前に生存したビール醸造長の墓を新発見し、世界的に注目を集めている。
■クリスティアーヌ・ジェグレール氏=キュレーター。歴史学者。ルーヴル美術館古代エジプト美術部門名誉部長。
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