令和7年(2025年) 参議院議員選挙 選挙公報の音声読み上げソフト対応版PDF・音声ファイル調査結果を公開
読み上げ順や画像の代替テキスト指定など対応が不十分なファイルが90%以上あることが明らかに
アルファサード株式会社(代表取締役社長:森崎賢太郎)では令和7年(2025年) 参議院議員選挙 選挙公報の音声読み上げソフト対応版PDFを各都道府県選挙管理委員会のウェブサイトからダウンロードして、音声読み上げソフトへの対応状況を調査しました。
また、選挙公報を読み上げた音声ファイル(MP3など)の有無や、候補者・政党のホームページの有無(記載の有無)についても調査しました。
以下のページにてPDFファイルと読み上げ音声ファイル(いずれも掲示のあった候補者のみ)の一覧をまとめています。
取締役技術担当の野田がNHKニュースウォッチ9の取材を受けました
本件について、取締役技術担当の野田がNHKニュースウォッチ9の取材を受けました。以下から番組の概要をご覧いただけます。
また、アルファサードでは、オンラインでPDFファイルのアクセシビリティをチェックする「伝えるPDF」を無償公開しています。PDFファイルの音声読み上げ順指定を代行するサービスも行っています(有償)。
読み上げ順の指定などに配慮されたPDFは候補者全体のわずか4%
音声読み上げソフト対応版として掲載されている PDFファイルにタグ付け、読み上げ順指定、画像の代替テキストが設定されているかどうかを調べました。適切に設定されているものはわすかに14ファイルで対全候補者に対して4%、提出済みPDFに対しても 5.4%と低い数値となりました。
選挙区候補者の音声読み上げソフト対応版PDFの掲出がなかったのは群馬県と鹿児島県でした(いずれも比例のPDFの掲載はあり、鹿児島県は音声ファイルの掲出あり)。


立候補者数 |
提出あり |
読み上げ順指定あり |
読み上げ順指定なし |
提出なし |
350 |
259 |
14 |
245 |
91 |
尚、選挙区350名の候補者の中で、構造化タグ付け音声読み上げ順指定のあった選挙公報PDF提出の14名のうち、10名が当選しました(自民5、立憲民主2、国民民主1、維新1、共産1)。
比例代表16政党の音声読み上げソフト対応版PDFの読み上げ対応状況では 2政党分が対応
比例代表の音声読み上げソフト対応版PDFの読み上げ対応状況は、16政党の中で2つの政党(自由民主党と国民民主党)の選挙公報が適切に音声読み上げ対応されていました。

PDF文書のタイトルで候補者名を識別可能なものは199ファイル
掲出された259ファイル中、PDF文書に「タイトル」の指定があったものは 245ファイル、そのうち 199ファイルが文書のタイトルから候補者名が識別可能でした。残りのものはタイトルから候補者名が識別できませんでした(例 : 「選挙公報掲用文原稿用紙2025」など)。

PDF作成元ソフトの殆どが Adobe Illustrator
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Adobe Illustrator : 232名
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Aspose Pty Ltd : 17名
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Adobe InDesign : 3名
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Canva : 2名
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PScript5.dll : 2名
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Adobe Graphics Manager : 1名
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Microsoft® Word : 1名
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不明 : 9名

音声読み上げファイル(MP3ファイル等)を掲載しているのは 7の選挙区
全国45の選挙区のうち、岩手県、東京都、神奈川県、静岡県、三重県、長崎県、鹿児島県で読み上げられた選挙公報が録音された音声ファイルが掲載されていました。音声ファイルはPDFを音声読み上げソフトで読み上げたものではなく、別に録音されたものです。
掲載のあった7都県のうち、東京の2名(32候補者中)、長崎の1名(6候補者中)が未掲出でした。

ウェブサイトのアドレスは 310候補者が記載あり
「候補者の氏名及び党派別の一覧」などの資料に「候補者のウェブサイト等のアドレス」欄があり、そこに URLの記載があったのは350候補者に対して310名でした。ただ、「候補者の氏名及び党派別の一覧」そのものが画像化された PDFファイルで掲載されている選挙区もあり、アクセスしづらい問題もありました。
また、候補者が独自にウェブサイトを開設していない場合、所属政党のウェブサイトや 候補者のSNSアカウントの URLを記載しているケースもありました。
SNSやプラットフォームのURL記載の内訳は以下の通りです。
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X (旧Twitter) : 35名
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選挙ドットコム : 13名
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Facebook : 7名
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Instagram : 4名
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YouTube : 3名
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LINE : 2名

総括
各ウェブサイトに掲載されている「音声読み上げソフト対応PDF」はスクリーンリーダーで読み上げても内容が理解できないものが数多くあることがわかります。PDFは構造化・タグ付け・代替テキストの指定などを適切に行い、音声読み上げに適したファイルにしていくことが重要です。
音声読み上げオーディオファイルを掲載している選挙区が 6区ありますが、マシンリーダブルなテキストデータがなければ、点字ディスプレイなどの支援技術を使うことができません。
テキストデータ(プレーンなテキストファイルやHTMLなど)を公開している選挙区はありませんでした。テキストファイルには以下のような利点があります。
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翻訳ソフトを利用できるふりがなをつけることができる
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行間やフォント、文字サイズを変更して読むことができる
視覚に障害のある人だけでなく、ディスレクシアの人、弱視の人、また、外国にルーツのある選挙権のある在留日本人などにはPDFファイルよりもテキストデータの方がカスタマイズが容易でアクセスしやすいケースが多いと思われます。また、PDFへの読み上げ順指定と比較して、データの準備も簡単で特別なソフトも必要ありません。PDFや音声データと合わせて、プレーンなテキストデータの掲載を掲載することがより多くの人に届く情報提供のあり方であると考えます。
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