生成AIのパイオニア企業データグリッド、図面解析AIソリューションで矢作建設工業の検図業務の工数を削減

物流施設の検図業務を62％削減し、現場の生産性向上を実現

株式会社データグリッド

2025年12月17日 10時00分

矢作建設工業株式会社（本社：名古屋市／代表取締役社長髙柳充広）は、株式会社データグリッド（本社：京都市／代表取締役CEO 岡田侑貴、以下「当社」）の支援のもと、生成AIを活用した検図業務の効率化・平準化に向けた検証を開始しました。

矢作建設工業が施工した物流施設の図面の一部（サンプル数240）に対して、当社の図面解析AIソリューションを用いた検証を実施したところ、当該図面の検図作業を62%削減する結果となりました。専門性の高い現場の施工管理職員に依存していた検図業務の工数が削減されることにより、現場の生産性向上が期待できます。両社は今後、更なる精度の向上と、適用対象とする建物用途の拡大、照合項目の拡大に取り組んでまいります。

【取り組みの背景】

矢作建設工業は、現中期経営計画期間（2021〜2025年度）を「加速度的に成長するための基盤構築期間」と位置づけ、生成AIなどの技術を取り入れながら、生産性を向上させる建設生産プロセスの改革を進めてきました。建設現場では、高度な専門スキルを持つ施工管理職員が付加価値の高い業務にどれだけ注力できるかが重要であり、定型業務の効率化と品質を両立させる技術の活用が必要不可欠です。

一方、当社は、2017年の創業以来、生成AIのパイオニア企業として研究開発を継続してきました。特に、今回活用した VLM（Vision-Language Model）技術は黎明期から先行して研究を進めており、図面の構造理解や照合を高精度で実現する独自の技術基盤を有しています。本検証は、当社が培ってきたVLM技術とノウハウを建設領域へ応用し、検図業務を生成AIが代替することを目指す取り組みです。

【取り組みの概要及び検証結果】

①概要

対象ユースケース：施工図と構造図の整合性の確認

※施工管理職員は、協力会社が構造図（設計図）を元に作成した施工図（実際の工事現場で必要となる、詳細な寸法・部材・設備の仕様などを具体的に示した図面）が、元の構造図と整合しているかをチェックする必要があります。
対象図面：物流施設の基礎伏図・杭伏図と対象となる構造体のリスト図面。全18種、合計33ページ
対象構造体：基礎、杭、柱、梁
照合（検図）項目：通り芯の番号・寸法の合致、各構造体の符号・寸法の合致を含む10数項目（合計240サンプル）

②検証結果

施工図と構造図の整合性に関して、生成AIが高い確信度（※）をもって整合・不整合を判定した領域が62%ありました。当該領域については、施工管理職員による整合・不整合の確認が不要となります。

※確信度とは、AIが行った整合・不整合の判断について、その正しさにどの程度自信を持っているかを数値や指標で表したものです。

【今後の展望】

今後は、図面解析AIソリューションの更なる精度向上や、適用対象とする建物用途の拡大、照合項目拡大のための検証を実施するとともに、実用化に向けた開発を推進してまいります。

矢作建設工業株式会社執行役員黒田健一様コメント

今回の検証は、建物の品質を担保しながら現場の生産性を高めるために、AIを実務に適用する重要な一歩です。データグリッド様のVLM技術を活用し、検図業務の負荷軽減を目指します。

当社代表取締役CEO 岡田侑貴コメント

この度の矢作建設工業様との検証により、建設業における生成AIを活用したオペレーション改革に確かな可能性を示せたことを嬉しく思います。今後は、本ソリューションの実用化範囲の拡大に向けた技術開発を加速させるとともに、より幅広い図面業務やユースケースへと対応領域を広げてまいります。AIの力で、深刻な人手不足という課題を抱える建設業界の生産性向上に貢献していく所存です。