約9割の就活生が人気企業の選考を辞退。「人気企業=志望企業」ではない実態が明らかに。
No Company、ナビサイトなどの就職企業人気ランキングの影響度と入社前後のギャップについて調査 ー人気企業でも選ばれない時代、その理由とは ー

採用マーケティング支援を行う株式会社No Company(本社:東京都港区、代表取締役:秋山真)は、2023年4月~2026年4月に新卒入社した新卒・第二新卒社員を対象に、「ナビサイトなどの就職企業人気ランキングの影響度と入社前後のギャップ」をテーマとした最新の意識調査を実施いたしました。
タイムパフォーマンス(以下、タイパ)を重視し、AIレコメンドやSNS検索を活用して企業研究を行う現代の若者において、「知名度やランキングを上げれば優秀層を獲得できる」という従来の採用手法は見直しを迫られています。
本レポートでは、若者の意思決定が「企業の人気」から「自分との適合性」へと移行している実態を調査しました。企業が発信する情報と求職者が知りたい情報とのギャップ、そして採用活動において求められる新たなコミュニケーションのあり方について、調査結果をもとに考察します。
■ 調査結果サマリー:知名度ではなく「企業理解」が採用を左右する時代へ
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「人気企業」より「自分に合う企業」
就活生の企業選びは、人気ランキングや知名度を起点としたものから、「自分に合うかどうか」を重視するものへと変化しています。就職企業人気ランキングを「知らなかった」と回答した学生が最多となる一方、企業の採用サイトや大学のキャリアセンターなど、自分に合う企業を見極めるための情報源が重視されていました。 -
人気企業でも約9割が選考途中で志望度低下・辞退を経験
ランキング上位企業へエントリーした学生のうち、約9割が選考途中で「志望度低下」または「辞退」を経験していました。知名度や人気によって母集団形成はできても、それだけでは学生の意思決定を支えられなくなっています。 -
志望度低下の原因は「情報の解像度不足」
志望度が下がった理由として多く挙げられたのは、「説明が抽象的で働く姿が見えなかった」「自分とカルチャーが合わないと感じた」といった項目でした。また、約7割の学生が企業の採用情報に対して「良いことばかりで本音が見えない」と感じています。若者が求めているのは、制度や理念ではなく、現場のリアルや組織の日常が見える一次情報です。 -
採用の勝敗を分けるのは「企業の日常」が見える情報発信
入社後にギャップを感じる要因の上位は、「人間関係」「組織カルチャー」「暗黙ルール」でした。採用活動で十分に伝えられていない企業の日常や価値観が、早期離職の要因にもなっています。これからの採用に求められるのは、知名度向上ではなく、採用プロセス全体を通じて、企業のリアルを一貫して伝える情報設計です。
「一律のランキング」から「自分に合うかどうか」へ

今回の調査において、大手新卒ナビサイトの活用目的は「エントリー目的」が突出しており、就職活動の“インフラ”として依然として高い機能価値を持っていることが伺えます。

しかし一方で、その中で発表される「人気企業ランキング」が学生の行動に直結しているかというと、実態は大きく異なります。ランキングを活用したエントリー行動を調査したところ、驚くべきことに「就職企業人気ランキング自体を知らなかった」という回答が最多。それに続き「個別エントリー」「参考にする程度に留まった」となっており、ナビサイトのランキングから実際のエントリーに至った学生は約3割でした。従来の“ランキング上位に名前を載せることで一律に母集団を形成する”という手法の空洞化が浮き彫りになりました。

では、現代の就活生はどこを起点に企業へアプローチしているのでしょうか。「企業にエントリーするきっかけ(認知)として最も活用したもの」を尋ねたところ、最多は大手ナビサイトそのものの情報や人気ランキングを抑え、「企業の採用サイト」という結果になりました。さらに特筆すべきは、「大学のキャリアセンター」が上位に入っていることです。
もちろん、この結果だけで学生がキャリアセンターを再評価していると断定することはできません。しかし、情報過多の時代において、学生が企業発信の情報そのものではなく、「その情報を誰が、どの立場から伝えているのか」を重視している兆候と捉えることはできるでしょう。
近年は企業の採用サイトやSNSを通じて、仕事内容や制度、カルチャーに関する情報へ容易にアクセスできるようになりました。一方で、どの企業も似たような表現で魅力を発信する中、学生にとっては「本当に自分に合う環境なのか」を見極めることが難しくなっています。
そのような状況下でキャリアセンターは、自学の卒業生の進路や活躍実績を把握し、学生本人の価値観や志向性を踏まえて助言できる数少ない存在です。企業の採用広報でも、匿名の口コミでもない第三者の視点だからこそ、学生は自分と企業との相性を判断するための情報源として活用している可能性があります。
志望度急落のトリガーは、企業の「情報の鮮度と解像度」の低さ

ランキング上位企業へエントリーした学生のうち、選考途中で「志望度が下がった」「辞退した」経験が「よくあった」「たまにあった」と回答した学生は、なんと約9割に達していました。その要因として最も多かったのは、「他社での内定」、次いで「会社説明会や面接での話が抽象的で自分がそこで働く具体的なイメージが湧かなかった」、「自分とはカルチャー(価値観や行動様式)が合わない職場だと感じた」という結果になりました。

いくら莫大な予算を投じてランキング上位に名を連ね、母集団を形成できたとしても、その後の受け皿となる採用プロセスで十分な企業理解を促せなければ、瞬く間に学生が離脱していく過酷な現状が浮き彫りになりました。
入社後の後悔を防ぐのは、華やかなイベントではなく「一次情報のオープン化」

企業の採用情報に対し、学生が「不信感」や「中身の薄さ」を感じる瞬間を調査したところ、最も高かったのは「良いことばかりが強調され、企業側の“本音”が見えなかった」でした。次いで「実際の業務や現場の雰囲気がイメージできなかった」、「抽象表現(「アットホーム」「成長できる」など)」と続き、企業の耳障りの良い建前や具体性のない表現が、就活リテラシーの高い学生にとって強烈なノイズ(不信感)となっている実態が浮き彫りになりました。さらに、「SNSや動画など“作り込みすぎて”いて、実態が見えにくかった」という理由も一定数挙げられており、過度なクリエイティブや一方的なブランディングは、かえって若者の警戒心を強めるリスクすら孕んでいます。

事実、「志望度低下のきっかけとなった接点」の上位には、インターンや会社説明会などのイベント施策を抑え、「一次面接の面接官」や「人事担当とのやり取り」といった“人”を通じた生身の接点が並んでいます。イベントの華やかさや綺麗に整えられたコンテンツの裏側にある「実際の人の向き合い方」が透けて見えた瞬間に、学生は「期待外れ」を感じ、選考から離脱してしまうのです。

一方で、学生が企業の信頼度が「高い」と判断し、魅力を感じる開示情報としては、「残業・有休など数字で開示」が最多となりました。それに続き「上司・先輩社員の価値観や、現場の人間関係・雰囲気が伝わる」、さらには企業側が隠したくなるような「良い面だけでなく課題などの開示」、「社員が自分の言葉で話しており、現場のリアルな声が伝わってきた」、「実際の業務内容や、仕事の難しさまでリアルに説明されている」、「失敗談。困った時などの乗り越え方の体験談」が上位に並びました。
この結果から見えてくるのは、若者が求めているのは美化された企業イメージではなく、数字に裏付けられた実態や、現場の苦労も含めて率直に伝えられる一次情報だということです。企業がネガティブと捉えて隠しがちな「課題」や「業務の難しさ」、「失敗やトラブルの経験」までをあえて言語化し、選考過程で伝えることが、かえって信頼につながります。タイパを重視しながらも、リアルな情報を求める若者にとっては、企業が発信する理想像よりも、ありのままの実態こそが意思決定の材料になるのでしょう。
入社1ヶ月目の「言語化されていないカルチャー」の壁

「入社前後でイメージとギャップを感じた点」を調査したところ、「評価制度・給与・働き方」といった制度や福利厚生を大きく上回り、「上司・同僚との人間関係やコミュニケーション」、「実際の仕事内容・業務負荷」、「組織カルチャー・暗黙ルール」が上位を独占しました。

このギャップが生まれた背景には、企業側が選考中に「情報量が不足していた」ことや、「現場社員のリアルが見えにくかった」、「良い面の情報に偏っていた」という情報開示の姿勢があります。結果として、多くの新卒社員が「入社後に初めて知る暗黙ルール」の存在に戸惑い、入社前後のギャップに直面している構造が浮き彫りになりました。

驚くべきことに、これらの「言語化されていないカルチャーや実態」の壁に直面した新卒社員のうち、すでにかなりの割合が「退職検討経験あり」「具体的に転活中」「退職済み」といった、早期の離職危機・エンゲージメント低下に陥っています。採用サイトの綺麗事や建前を真に受けて入社した優秀な人材ほど、現場の手触り感のない暗黙知に裏切られ、早期に組織を見限る「離職」が常態化しているのです。

この入社後の後悔やミスマッチを防ぐために、新卒社員が選考中に欲しかったと挙げたコンテンツの筆頭は、「実際の業務・1日の流れコンテンツ」でした。次いで「残業・給与等数字で分かるコンテンツ」と並び、「社内雰囲気・人間関係のコンテンツ」、「上司・先輩の価値観コンテンツ」が求められています。
調査結果のまとめ:人気なだけでは選ばれない。データが示す若者の本音と、企業に求められる3つの変革
本調査から、現代の若者たちが、企業の「ブランド(他者評価)」を鵜呑みにせず、「この会社は自分に本当に合うのか」へと意思決定の軸を完全にシフトさせている実態が明らかになりました。ナビサイトのランキング維持や、見栄えの良さだけに予算を投じる従来の「母集団形成」は完全に限界を迎えています。
他社と比較しやすい「制度や待遇」といった表面的な情報だけを並べた発信は、約7割の若者から「本音が見えない」と受け取られています。その結果、選考過程で企業の実態が十分に伝わらず、約9割の学生が志望度の低下や辞退を経験するなど、大きな機会損失を招いています。
さらに、そうした情報不足のまま入社に至った場合でも、現場に存在する「言語化されていない職場の暗黙ルール」や組織カルチャーとのギャップに直面し、早い段階で転職を検討するケースも少なくありません。採用時の期待と現実のズレが、早期離職の一因となっているのです。
これからの採用活動において、企業が優秀な若手人材の獲得と定着を実現するためには、以下の3つの変革に取り組む必要があるとNo Companyは考えています。
1. 「母集団形成」から「採用プロセス全体の情報設計」へ
知名度向上に投資するフェーズは終わりました。エントリーから選考、内定に至る各接点において、「企業の情報の解像度」を徹底的に高める体験設計の構築が急務です。イベントの華やかさではなく、1次面接官や人事担当者といった「生身の人間」を通じて、自社のリアルな情報をどれだけ誠実に提示できるかが選考離脱を防ぐ鍵となります。
この情報の解像度を引き上げるために、まず企業が取り組むべきは「面接官ごとのバラつきをなくす、現場を巻き込んだ研修」と「自社ならではの共通言語化」です。
人事が綺麗なビジョンを語っても、次に登場する現場の面接官が実際の仕事の大変さを自分の言葉で具体的に説明できなければ、学生に「中身が薄い」と見透かされてしまいます。
2. 「良い会社」を伝えるのではなく、「ありのままの会社」を伝える
ネット検索やAIで得られるような、どこにでも使い回せる情報には価値がありません。企業側がネガティブと捉えて隠しがちな「会社の課題」「業務の難しさ」「過去の失敗談やトラブルを乗り越えたエピソード」こそが、今の若者にとっては最も信頼できる判断材料であり、その企業を選ぶ強い魅力(動機)になります。
耳障りの良い言葉ではなく、ありのままの実態をオープンに開示し、戦略的にコンテンツ化していくことが重要です。
3. 企業固有の「スタイル(価値観・行動様式)」を言語化し、採用プロセス全体で一貫して届ける
若者が企業選びで重視しているのは、「人気企業かどうか」ではなく、「自分らしく働ける環境かどうか」です。その判断材料になるのは、企業固有の価値観や行動様式、つまり"スタイル"です。
企業は、自社らしい価値観や意思決定、働き方を言語化し、採用サイト・説明会・面接・社員面談など、採用プロセス全体を通じて一貫して伝える必要があります。制度や待遇だけでは伝わらない企業のスタイルを可視化し、求職者との相互理解を深めることが、内定承諾率や入社後の定着率を高める鍵になるでしょう。
No Companyでは、独自のデータ分析とマーケティング視点に基づき、企業と求職者が本質的な価値観で結びつく「スタイルマッチ(※)」の実現、および新しい時代の採用体験(採用CX)の設計を今後も支援してまいります。
(※)価値観や行動様式をもとに企業と求職者がマッチングしている状態
◾️調査背景
近年、若手人材の採用市場では、就職活動のデジタル化やAIレコメンドツールの普及により、企業と求職者の接点が大きく変化しています。従来の採用活動では、大手ナビサイトなどのランキング上位に名を連ね、企業の知名度を高めて「数を集める母集団形成」に注力することが主流でした。
しかし、タイパを重視し、ネットやAIを駆使して「自分に本当に合う1社」をシビアに見定める現代の若者において、見栄えの良い建前だけの情報発信は通用しなくなっています。知名度をきっかけにエントリーしても、選考中の説明が抽象的であったり、入社後に「言葉にされていない職場の暗黙ルール」に直面したりすることで、選考辞退や早期離職を招くケースが後を絶ちません。
このような背景から、企業には華やかなイベントや情報で惹きつけるだけでなく、選考から入社に至るすべてのプロセスにおいて、自社のリアルな姿や独自の組織カルチャー(スタイル)を誠実に言語化して伝える「採用体験(採用CX)の設計」が強く求められています。そこで今回、No Companyでは、新卒・第二新卒層の意識調査を通じて、知名度や就職企業人気ランキングに頼った採用活動の限界と、これからの時代に求められる情報開示のあり方を明らかにすべく、本調査を実施しました。
◾️調査概要
調査時期:2026年6月4日~2026年6月6日
調査方法:インターネット調査
対象エリア:全国
調査対象:2023年4月~2026年4月に新卒入社した新卒・第二新卒社員
有効回答数:408
No Companyが実現する「スタイルマッチ」
採用マーケティング支援のリーディングカンパニーであるNo Companyでは、企業のスタイル(価値観や行動様式)を言語化・可視化し、求職者に届けることで、自社に合う人材とのマッチング=「スタイルマッチ」を実現しています。
これまでに100社・1000人を超える人事・採用担当者との対話を通じ、企業ごとの価値観や文化に関する知見を積み重ね、それぞれに最適な採用マーケティングの戦略や戦術を模索しながら取り組んできました。こうした経験をもとに、生活者に響く情報発信や採用プロセス設計を行い、企業と求職者双方にとって最適なマッチングを目指しています。
No Companyは、「スタイルマッチで組織と人を変えていく」を事業ミッションとし、この理念に基づいた多様なサービスを通じて、企業の人事・採用活動を支援しています。
株式会社No Company
博報堂グループ初のSNSデータを活用した採用広報支援企業。株式会社スパイスボックス(本社:東京都港区、代表取締役社長 田村栄治) の子会社として2021年10月1日に設立。SNSデータ活用ノウハウ、博報堂グループの一員として持つ豊富なマーケティング知見、実績を活かし、採用マーケティングのリーディングカンパニーとして企業の採用活動の支援や人的資本経営におけるブランディング支援を行う。

社名 :株式会社No Company(読み方:ノーカンパニー 英文社名:No Company, inc.)
設立 :2021年10月1日
資本金 :2000万円
出資者 :株式会社スパイスボックスほか
所在地 :東京都港区虎ノ門4-1-1 神谷町トラストタワー21階 WeWork内
代表者 :代表取締役社長 秋山真
事業内容:採用マーケティング支援
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