日本政府、ソロモン諸島における学校給食を通じた栄養改善のため、UNICEFに5億1,300万円の無償資金協力を実施

2025年2月28日 ホニアラ(ソロモン諸島)発
日本の政府と国民の皆様の5億1,300万円の寛大な資金協力により、ソロモン諸島イザベル州とウェスタン州の対象校に通う約3,000人の子どもたちが、地元の食材を使用したより健康的な学校給食と水と衛生サービスの恩恵を受けます。
本事業は栄養不良の三重苦(低栄養・隠れ飢餓・過体重)への対応を行い、ソロモン諸島における今後の学校給食の指針を示すことで、最終的には3万人以上の子どもたちが支援の恩恵を受けることになります。また、地元の農家やコミュニティを支援し、同国における持続可能でレジリエントな(回復力のある)食料システムの構築に寄与します。
フランクリン・デレク・ワシ農業家畜大臣は、「本事業は、新鮮で栄養価の高い、地元産の食品の生産促進を通して食料安全保障と子どもの栄養を強化するという政府の優先事項に沿ったものであることから、農業家畜省として大いに期待しています。子どもたちが幼い頃から農業に触れることで、将来仕事に就く際に、様々な側面から農業に積極的に関わってくれるようになるでしょう。」と語りました。
最新のソロモン人口統計・健康調査によると、5歳未満児の32パーセントが発育阻害、8パーセントが消耗症(低身長・低体重)、39パーセントが貧血の状態です。また、果物や野菜の摂取が不十分であったり、糖分の多い清涼飲料の摂りすぎなどの不健康な食習慣により、13歳〜17歳の子どもの23パーセントが過体重や肥満に陥っています。
幼少期の栄養不良は、その後の人生における非感染性疾患の発症リスクを高め、大きな社会的・経済的負担にもつながります。
樋口惠一 在ソロモン日本国大使館特命全権大使は、「2024年7月に東京で開催された第10回太平洋・島サミット(PALM10)において、日本政府はジャーマイナ・マネレ・ソロモン諸島首相より、非感染性疾患と農業に対する支援の要請を受けました。本資金協力がソロモン諸島の人々の健康増進と農家への支援に寄与し、ソロモン諸島と日本の関係強化につながることを期待しています。」と述べました。
本事業では、不健康な加工食品の代わりに現地の食材を用いることに重点を置いた、学校給食ガイドラインの作成と実施を支援します。また、水と衛生設備を改善し、食品取扱業者や教員、生徒に対し、地元産の健康的な食材、食品の安全な取り扱い、衛生に関する意識の向上を行います。そして、受益者がこれらの重要なメッセージをそれぞれの家族やコミュニティに伝えていけるようにします。
国連児童基金(UNICEF)太平洋島嶼国事務所代表のジョナサン・ヴァイチは、「子どもたちは、安全ではない不健康な食べ物によって引き起こされる病気に対し特にぜい弱です。日本政府からのこのような寛大なご支援によって、学校に通う子どもたちの健康で栄養価の高い食事へのアクセスを大きく改善させることができます。将来子どもたちが健康的な食生活を送ることができるよう、幼い頃から地元産の食材を使った衛生的な食事を推進する必要があります。」と語りました。
周辺のコミュニティでは、さつまいも、キャッサバ、ヤムイモ、タロイモ、バナナ、カボチャなどの栄養価の高い食材が生産されています。本事業では、コミュニティの人々が協同組合を結成して新鮮な地元の食品を学校へ供給し、輸入食品や加工食品への依存を減らせるよう支援します。これは、子どもたちの健康状態の向上や地域経済の活性化、おとなの健康的な生活習慣の促進にもつながります。
また、子どもたちが健やかに成長するために必要なエネルギーと栄養を提供することで、彼らのウェルビーイングと身体的な健康に貢献します。
本事業は、農業家畜省の主導のもと、他の関係省庁やパートナー団体とも協力して、3年間にわたりUNICEFが実施します。
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