水素エネルギーで世界が注目、レゾナックのケミカルリサイクル施設をIPEFが視察
~使用済みプラスチックが化学の力で水素・アンモニアに生まれ変わる~
本年5月に米国・デトロイトで開催されたIPEFの閣僚会合では、脱炭素燃料として注目される水素について、「水素イニシアティブ」が日本とシンガポール主導で立ち上げられました。当イニシアティブは水素エネルギーにおけるサプライチェーン構築を目的としています。それを受け、IPEFメンバー国の交渉担当者や関係省庁担当者、民間のステークホルダー向けに、デジタル貿易とクリーン経済について、官民セクターの現状と課題を理解いただく「IPEF 協力プログラム~IPEF ジャパンウィーク~」が、8月28日~31日に開催されました*。このIPEF協力プログラムにおいて、当社KPRに受け入れの要請があり、このたび視察が実現しました。
*(経済産業省の「令和 5 年度 技術協力活用型・新興国市場開拓事業(制度・事業環境整備事業)」を(一財)海外産業人材育成協会(AOTS)が受託し実施)
日本国内において使用済みプラスチックの多くが埋め立てられたり燃やされたりしているなか、KPRは使用済みプラスチックの資源循環に20年間貢献してきました。世界では回収されたプラスチックごみの79%が埋め立てあるいは海洋等へ投棄されており、プラスチックのリサイクル率は世界で9%ですが、日本では24.8%に上ります(出展:環境省「プラスチックを取り巻く国内外の状況<第5回資料>」)。KPRでは家庭や企業からゴミとして排出される使用済みプラスチックから化学の力で水素やアンモニアを製造しており、「水素イニシアティブ」のように国際的に水素活用の協力や支援が推進されているクリーン経済分野で貢献できます。
■基礎化学品事業部 原聡事業部長コメント
当社は20年間このプラスチックケミカルリサイクル事業を続けてきて、既に100万㌧を超える使用済みプラスチックを有用な化学品などに再生し、資源の再利用・資源循環社会の構築に貢献して来ました。このたび、IPEF加盟国からの視察団をお迎えし、同じ目標を持っている方たちとのネットワークが広がりました。『化学の力で社会を変える』という当社の「パーパス」を具現化するために、この事業を一層強化していきたいと思います。
【プラスチックケミカルリサイクル事業(KPR)とは】
KPRは2003年にアンモニア原料となる水素を生産する目的でガス化ケミカルプラントとして誕生しました。ガス化ケミカルリサイクルを20年近く長期にわたって安定運転しているのは、KPRが世界で唯一のプラントです。KPRでは使用済みプラスチックを原料に、高温でガス化し分子レベルまで分解して水素とCO2を取り出しています(ガス化ケミカルリサイクル)。運転中に化石燃料をまったく使わないため、熱交換率は100%です。ここで取り出された水素の一部は近隣プラントにて化学原料向けや水素ステーションにて燃料自動車向けに活用され、そのほかは主にアンモニアの原料になり合成繊維、合成樹脂、化学肥料、薬品などに使われます。一方のCO2は大気中に放出することなくグループ会社でドライアイスや炭酸飲料、医療用炭酸ガス向けの原料に使用されるなど、資源循環を実現し持続可能な豊かな社会実現に向け活躍しています。
川崎プラスチックリサイクル(KPR)プラント
【IPEFとは】
世界人口の半分以上を占め、世界の経済活動の中核であるインド太平洋地域では、包括的かつ持続可能な経済成長を目指し、2022 年 5 月にインド太平洋経済枠組み(IPEF)が設立されました。IPEF は、加盟国が平等に利益を享受できる世界的なルールと構造を形成するための議論を主導することが期待されています。
加盟国は、米国、日本、オーストラリア、ブルネイ、フィジー、インド、インドネシア、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、韓国、シンガポール、タイ、ベトナムの14か国。
【ご参考】
プラスチックケミカルリサイクル事業において使用済みプラスチックのリサイクル量 累計100万トンを達成
https://www.resonac.com/jp/news/2022/02/09/2254.html
CO2排出量80%強削減を確認、使用済みプラスチックから生まれた低炭素アンモニア
https://www.resonac.com/jp/news/2022/12/20/2263.html
使用済みプラスチックを原料としたサプライチェーンで国内初の国際認証取得
https://www.resonac.com/jp/news/2023/05/18/2496.html
以上
【Resonac(レゾナック)グループについて】
レゾナックグループは、半導体・電子材料、モビリティ、イノベーション材料、ケミカル等を展開し、川中から川下まで幅広い素材・先端材料テクノロジーを持つ化学会社です。2023年1月に昭和電工グループと昭和電工マテリアルズグループ(旧日立化成グループ)が統合し、新たなスタートを切りました。新社名の「Resonac」は、英語の「RESONATE:共鳴する・響き渡る」と、Chemistryの「C」を組み合せて生まれました。レゾナックは「共創型化学会社」として、共創を通じて持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。2022年度の売上高は約1兆4千億円、うち海外売上高が56%を占め、世界22の国や地域にある製造・販売拠点でグローバルに事業を展開しています(2023年1月時点)。詳しくはウェブサイトをご覧ください。
株式会社レゾナック・ホールディングス https://www.resonac.com/jp/
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