【報道参考資料】世界エイズ社会学会(クアラルンプール) 開催
WHO 新たな提言でHIVの早期治療を求める 新たな抗レトロウイルス療法でHIV感染の大幅な削減が可能に
報道各位 2013年7月1日
【2013年6月30日クアラルンプール発】
6月30日から7月3日までクアラルンプールで開催される第7回世界エイズ学会(IAS:
International AIDS Society)「HIVの原因と治療、予防」 にあわせ、WHO(世界保健機関)は
新たなHIV治療ガイドラインを発表し、抗レトロウイルス療法を今よりも早く開始することを
提言しました。最新の症例から、抗レトロウイルス療法をより早期に始めるとHIV陽性の人が
より健康な生活を送り、長く生きられること、また、HIVを他者に感染させることが大幅に
減ることがわかりました。早期治療が実現すれば、は、現在から2025年までに、エイズによる
死亡はさらに300万人減少し、新たなHIVへの感染を350万人予防できるとみられます。
■治療を受けられる人は970万人
WHOの基準ガイドラインに、治療とHIV感染予防のために抗レトロウイルス薬の使い方といった
新たな提言が盛り込まれています。また、最新の調査により、
970万人が投薬治療を受けていることがわかりました。
マーガレット・チャンWHO事務局長は「これらのガイドラインにより、さらなる目標と成果が示され、
その実現へ向けてまい進しています。数年前には考えられなかったことがですが、いまや、
約1千万人の人が、抗レトロウイルス療法を受けられるようになりました。HIVの流行を大幅に
減少させる取り組みを強化する機運はとても高まっています」と述べました。
■新ガイドライン、子どもや妊娠中、授乳中の女性への治療を提言
新たな提言ではすべての国に対し、HIV陽性の成人の場合、免疫システムが正常のままであっても、
CD4細胞が500 cells/mm3以下となったときに治療を開始することを促しています。
2010年のWHOの提言では、CD4細胞が350 cells/mm3 以下となった場合に治療を開始することを
求めていました。現在、9割の国が2010年の提言を採用している一方で、アルジェリア、アルゼンチン、
ブラジルといった数カ国では、すでに500 cells/mm3の設定を採用し、治療を始めています。
新たな提言では、5歳未満のHIV陽性の子どもたちと妊婦、授乳中の女性はCD4細胞の値に関わらず、
抗レトロウイルス療法を受けることも含まれています。また、HIV陽性のパートナーを持つ、
HIV陰性の人も予防治療を受けることを進めています。WHOは引き続き、結核やB型肝炎に罹ったことが
ある人でHIV陽性の人は、抗レトロウイルス療法を受けることを提言しています。
アンソニー・レーク ユニセフ事務局長は「今回のガイドラインに見られる進展で、
子どもと妊婦がより早くより安全に治療を受けられるようになり、我々が目指す
“エイズのない世代”の実現が、より近くなっています。だからこそ、新しい技術に投資し、
新生児をより早く検査して適切な治療を受けられるように、取り組みを加速させる必要があります。
新たな命がHIVに感染することなく、生まれてくるようにするのです」と述べました。
フリータウンでHIVの血液検査を受ける母親(シエラレオネ) © UNICEF/SRLA2011-0500/Asselin
■多剤混合薬の服用と保健サービスへの統合を提言
この提言では、すべての成人が多剤混合薬※を使った抗レトロウイルス療法を受けることを
薦めています。多剤混合薬は、これまで成人や妊婦、若者、年長の子どもたちに提言されてきた
ほかの薬との組み合わせよりも、安全とされます。
※多剤混合薬:抗レトロウイルス薬であるテノフォビル、ラミブジン、エファビレンツの
3種が対象となります。
ゴットフリード・ヒムシャル WHO HIV部 部長は「HIV陽性の人がより早期に、
安全に、実行できて、管理しやすいかたちで、服薬できれば健康でいられ、新たな感染を
招かないことにもなります。各国が、こうした取り組みを自国のHIV政策に統合し、必要な
リソースとまとめることができれば、国民の健康に、大きな改善を及ぼします」と述べました。
WHOは、各国に対し結核や母子保健、性と生殖に関する健康(リプロダクティブ・ヘルス)や
薬物依存症の治療などほかのサービスとあわせて、HIIVに関する保健サービスを
実施することを求めています。
マーク・ダイブル世界 エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)事務局長は
「WHOの新たなガイドラインは、HIVの予防と治療のプログラムの拡大による成果を捉えたものです。
今回の事例は、公衆衛生への脅威として、世界基金とWHOがHIVに取り組んできた一例です。
世界基金は、2002年の設立以来、151カ国で1000以上のプログラムを支援し、
420万人にエイズ治療を提供してきました」と述べました。
■子どもへの治療の普及などが急務
課題は依然としてあります。WHO、国連エイズ合同基金、ユニセフによって、
支援を必要とする人が明らかになっています。
抗レトロウイルス療法を受けた人の数は、2011年~2012年の間で成人は20%増加している一方で、
子どもは10%にとどまっており、子どもへの支援が必要です。また、薬物注射をする人々、
男性間で性行為をする人々、トランスジェンダーの人々、性産業に従事させられている人々といった
HIV感染の危険性が高い人たちほど、法的にも文化的にも困難に直面し続けており、治療が受けにくい
状況に置かれています。治療を受けられ人がかなりの割合いることにも留意が必要です。
一方で「HIVの治療結果とインパクト、機会に関する世界の最新状況
(仮訳:英語Global Update on HIV Treatment: Results, Impact and Opportunities)」では、
より早期に抗レトロウイルス療法を実施することの実現可能性を強化するデータも含んでいます。
2011~2012年の1年間で、抗レトロウイルス療法を受けられるようになった人は過去最大となり、
新たに160万人増え、計970万人が受けられるようになりました。
加えて、世界のすべての地域で治療の普及率が上昇。2012年、治療を受けられるようになった人の
5人に4人は、サハラ以南のアフリカの人々です。
ミシェル・シディベ 国連エイズ合同基金事務局長は「現在、約1千万人の人が、治療を受けています。
これは大いなる進展です。科学の力によって、2千600万人の人たちがHIV治療と予防のために、
抗レトロウイルス薬を利用できるようになりました。さらなる取り組みが可能だと信じています」と
述べました。
世界エイズ学会会議は、2年おきに開催。科学者や臨床医、公衆衛生の専門家、地域の指導者に、
HIVに関する最新の研究や結果を発表し、科学の進歩に基づくHIVエイズへの世界的な対応を
発信する場となっています。
※本報告書PDF(英語版)をご希望の方は、広報室(03-5789-2016、jcuinfo@unicef.or.jp)まで
ご連絡ください。
■ 本件に関するお問い合わせ先
(公財)日本ユニセフ協会 広報室
TEL:03-5789-2016 FAX : 03-5789-2036 メール: jcuinfo@unicef.or.jp
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、世界36の先進工業国と地域で活動するユニセフ国内委員会の
ひとつです。1955年に設立され、ユニセフ本部との協力協定に基づき、民間団体として日本国内で
唯一ユニセフを代表する組織として、国内におけるユニセフの広報、政策提言(アドボカシー)、
ユニセフ募金の窓口としての役割を担っています。2012年(1月~12月)の1年間に、日本から
本部に届けられたユニセフ募金は130億円。過去数年にわたり、民間拠出(個人、企業、団体、
学校等からの寄付)として世界最高額の支援実績を残しています。
www.unicef.or.jp
■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、世界の子どもたちの命と健やかな成長のために、
1946年、国連総会の総意で設立され、現在190以上の国と地域で活動しています。
ユニセフは、保健、栄養、水と衛生、教育、暴力や搾取、HIV/エイズからの保護や、
緊急支援などの分野で活動。幼い子どもの命を守るワクチンの、世界最大の供給団体です。
ユニセフは、国連本部から財政的な支援を受けることはなく、その活動資金は、
すべて個人や企業・団体からのユニセフ募金や寄付、各国政府からの任意拠出金でまかなわれています。
www.unicef.org
※本信は6月30日にユニセフが発表したプレスリリースを基にしたものです
※原文(英語)をご入用の際には、別途お送りいたします。
日本ユニセフ協会 広報室までお問い合わせください。
発信者:(公財)日本ユニセフ協会 広報室
世界エイズデー2012特集 ある親子の一年後~ツラーニさん(レソト)はこちらよりご覧いただけます
http://www.youtube.com/watch?v=bFCJ5BW24gg&featur
ツラーニさんの1年後はこちらよりご覧いただけます
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=O777LW59JwQ
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