【医師アンケート調査】花粉症の最新治療「舌下型免疫治療」の施行について、耳鼻科医の34%が「やるかどうか思案中」で最多
*「舌下免疫治療」は、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を少量ずつ体内に投与することで、アレルギー反応を弱めていく「アレルゲン免疫療法(減感作療法)」の内、舌の下に薬を滴下する治療法です。スギ花粉症では2014年10月より、ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎では2015年11月より、この舌下型免疫療法薬が発売されています。処方するために、医師はあらかじめ指定の講習会やeラーニングを受講する必要があります。
■調査結果:花粉症などのアレルギー疾患に対する「舌下型免疫治療」の施行について
(対象者:耳鼻咽喉科の医師102人**、調査期間:2015/1/18 ~ 2015/1/24)
**全回答者(2,576人)の内、耳鼻咽喉科を標榜する医師105人から、「診療する機会がない」と回答した医師3人を除いた計102人を対象として集計しています。
■サマリー
- 「舌下型免疫治療」の施行について、耳鼻咽喉科の医師102人が回答をした。結果、最も多かったのは「やるかどうかを思案している」で34.3%であった。治療薬の発売から間もないため、もう少し様子を見て「効果や安全性を確認してから」という声や、導入における「手続きの煩雑さ」を懸念しているケースが多かった。
- 「すでに始めている」と回答した医師は26.5%だった。「患者の希望で、まずスギ花粉から始めている」という声が多かった。
- 「やりたい」と回答した医師は12.8%であり、そのほとんどが講習会やeラーニングは受講済みであった。価値は感じているものの、患者のニーズや適正が懸念点になっているようだった。
- 「やらない」と回答した医師は26.5%だった。主な理由は、「治療期間の長さ」や「副作用などのリスク」であった。
■回答コメント(一部を抜粋)
「すでに始めている」 27件
・スギに関しては安全性が高いと考えて、開始しました。(50代、勤務医)
・患者さんの希望で始めている。(50代、開業医)
・例数は少ないが、始めてます。ダニは、副作用が出るらしく考慮中です。(50代、開業医)
・効果が出ている患者さんも増えています。(50代、勤務医)
・症状の度合いにより考えます。必ず毎年あって、症状がひどくなるようなら、免疫療法勧めます。(50代、勤務医)
「やりたい」 13件
・唯一の根治療法ですので。ただし患者を慎重に選ぶ必要はあります。(50代、勤務医)
・若年者はやる価値があると思います。(40代、勤務医)
いつでもできますが、効果など見極めてからにしたいです。(40代、開業医)
・やりたいですが、なかなか投与期間も長いので、適した患者がいません。(30代、勤務医)
「やるかどうかを思案している」 35件
・発売後日も浅いので、もう少し経過を見てからと考えています。(70代、勤務医)
・安全性や有効性を確認してからです。(40代、勤務医)
・講習会も受講済みですが、あまり積極的にやりたいとは思っていません。中途脱落が非常に多いみたいですし、効果が出るまで2年というと、対象になる人は少ないのではないでしょうか?(50代、開業医)
・すでに資格があります。すぐにでもできます、しかしいったんアナフィラキシーショックが起こったときの対応をしにくい今はできないでしょう。(50代、開業医)
・講習は受けているが、地域からニーズが上がってこない。(30代、勤務医)
・手間がかかる割には診療報酬が少ない。(40代、勤務医)
「やらない」 27件
・長期間に及ぶ治療が継続できるか疑問。(30代、勤務医)
・時間がかかる、効果が確実ではない、アナフィラキシーなどのリスクがある。(30代、勤務医)
・十分に対応できないと、モンスター患者がこわい。(50代、勤務医)
・自分がスギ花粉症でとても困っているなら、後鼻神経切断術を受けます。(40代、勤務医)
・緊急時対応が困難です。(50代、開業医)
・需要が増えれば考え直すと思いますが。(30代、勤務医)
■記事引用時のお願い
医師専用コミュニティサイト「MedPeer」調べ、と明記ください。
WEB上での引用に際しましては、「MedPeer」にhttps://medpeer.jpへのリンク付与をお願い致します。
■参考
昨年2015年2月に行った、「医師が自身で行っている”花粉症対策”」についての調査結果は以下をご覧ください。
◇医師が自身で行っている”花粉症対策”について
治療の開始時期は「2月」、最重要視する花粉除去対策は「マスク」、治療法は「薬物療法(ケミカルメディエーター受容体拮抗薬)」が1位に。
https://medpeer.co.jp/press/_cms_dir/wp-content/uploads/2015/02/Posting_201502232.pdf
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