令和3年度・総務省「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」『富士山地域DX「安全・安心観光情報システム」の実現』の成果ならびに今後の計画について

                                                山梨県
                                        山梨県富士山科学研究所
                                               東京大学
                                      NECネッツエスアイ株式会社
                                 株式会社インターネットイニシアティブ
                                           株式会社ヤマレコ
                                  NPO法人中央コリドー情報通信研究所 

 山梨県(山梨県甲府市丸の内1-6-1)、山梨県富士山科学研究所(山梨県富士吉田市上吉田字剣丸尾5597-1)、東京大学(東京都文京区本郷7丁目3−1)、NECネッツエスアイ株式会社(東京都文京区後楽2-6-1 飯田橋ファーストタワー)、株式会社インターネットイニシアティブ(東京都千代田区富士見2-10-2 飯田橋グラン・ブルーム)、株式会社ヤマレコ(長野県松本市庄内1-8-12 1F)、およびNPO法人中央コリドー情報通信研究所(東京都新宿区百人町1-1-8 リープ新宿102号室、以下CCC21-NPO)は、CCC21-NPOを代表機関とするコンソーシアムを形成し、令和3年度・総務省「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」に採択された、『富士山地域DX「安全・安心観光情報システム」の実現』の実証事業により富士山におけるローカル5Gの有効性を検証しました。
 その結果、個々の実証テーマについてはそれぞれ有効性を確認することができたものの、本実証成果の社会実装に向けては、恒久的な設備運用のため、厳しい気象条件下で十分な強度を確保するための設計や施工等について検討が必要であるとの結論に至りました。
 同コンソーシアムは令和4年度以降、ローカル5Gを活用した「安全・安心観光情報システム」の恒久的な設置の実現に向けてインフラ整備、予算確保、運用体制の構築を進めながら、令和8年度までに今回の実証成果を社会実装する具体的な計画を検討します。
 
  • 背景
 富士山の噴火は、前兆現象の発現から噴火に至るまでの時間が短い、広大な山域のどこに火口が出現するかが噴火の直前まで確定できない等の特徴を持つ。登山道も当然火口出現が想定される範囲にあり、登山者と火口の位置関係によって避難するべき経路は異なることから、最適な避難ルートをエリアごとの登山者に迅速かつ的確に伝える必要がある。

 2020年度末には、山梨県富士山科学研究所等の最新の研究に基づき、改定版富士山ハザードマップが公表された。本公表により、富士山噴火に伴う新たな被害想定が明らかとなり、観光客や地域住民らへの情報伝達を含む避難対策の構築が急務となっている。

 一方、観光登山の対象としての富士山も多くの問題を抱えている。登山を知らない登山者や、日本のルールを知らない観光客により引き起こされる多くのトラブルに、対応が後手に回らざるを得ないのが現状である。

 こうしたトラブル対処を更に難しくしているのが、富士山における電力・通信インフラの脆弱性等であり、基本的な遭難者対応から落石による大事故に至るまで基本は電話による対応となっている。

 

 
  • 事業の目的
 ローカル5Gは5Gを地方自治体の敷地内に整備することで、これまで、通信の脆弱性により課題解決が阻まれていた人口過疎の敷地内へ通信を自ら提供することが可能となる「情報通信の民主化」による課題解決や産業振興が日本全体に波及することが期待される。
 本事業の目的は、安全安心の登山観光を国民に提供であり、管理者・登山者・遭難者のライフラインとしての通信が脆弱であるという課題をローカル5Gの整備により解消する。
 また、日常時における火山監視や登山者の安全対策に貢献し、噴火等の災害対応にも活用できるフェーズフリーな火山防災の実現を目指す。
 登山客の増加に伴い、噴火現象の迅速な把握、登山者や観光客の人流把握など的確な情報収集・提供が益々必要となっており、ローカル5G等によるデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の重要性は非常に大きくなっている。

 令和年度の実証事業では、登山観光の代表として富士山を実証フィールドとし、4合目、5合目、6合目(注)に基地局を設置し、技術実証、課題実証を実施した。
 
  • 課題の全体像

 

 

  • ​実証事業の成果 
1.技術実証
①電波伝搬モデルの精緻化
 傾斜の角度や上り下りの方向が、今回の距離範囲においては電波伝搬に影響を与えない可能性を確認した。
②準同期TDDの追加パターンの開発
 同一周波数帯の同期局、準同期局の共用にあたっては、基地局正対の場合は数kmの離隔距離が必要であるものの、基地局併設の場合は数10m程度で運用可能となることを確認した。

2.課題実証
①【情報収集】危険状況・災害予兆可視化のための遠隔監視システムの構築
 遠隔監視システムは、4Kカメラによる定点観測において天候や登山客の状況を把握できることを確認した。
②【情報交換】迅速かつ円滑なローカルコミュニケーションシステム
 ローカルコミニュケーションシステムは、必要な映像・音声のスループット・伝送品質・操作性を確認した。
③【サイエンスビッグデータ情報共有】ローカル5Gエッジコンピューティングによる大容量データの低遅延共有
 溶岩流ドリルマップ等サイエンスデータを表示可能なアプリを開発し災害発生状況の可視化を実現した。

以上の成果によりローカル5Gの活用により、正確な状況把握に基づく登山者への適確な危険周知等、安全・安心な観光登山に寄与することを確認できた。

 
  • 社会実装(恒久設置)に向けた課題
・光ケーブル恒久設置には地下埋設工事が必須
 令和3年度の実証実験では、光ケーブルを地面に転がす敷設方法により許認可を得た。
 従って、雪崩の恐れがある谷間の区間は実証終了後にケーブル撤去せざるを得なかった。
 冬場を含めた年中観測できる本格運用には光ケーブルの地下埋設工事が必須となる。

・電源ケーブルも必須
 電気のない富士山では、実証期間中は自家発電等により検証を行った。
 山小屋等の自家発電は、富士山が山開きされる7月初から9月初までに限られる。
 冬場を含めた年中観測できる本格運用には、光ケーブルに併せて電源ケーブルも必須となる。

・工事できる期間が短い
 凍結・積雪が早い富士山は工事できる期間が短いため、複数年度にわたる工事が必要となる。

・富士山は許認可する監督官庁が多い
 富士山はユネスコ世界文化遺産となった。
 工事のための許認可には多くの関係省庁が関わるため、調整には十分な交渉期間設定が必要となる。
 
  • 5か年フォローアップ計画
 今後の展開として、厳しい環境下における富士山への施設の恒久設置に向けた設計・施工等について検討を行い、関係省庁への許認可並びに財政支援申請に向けた具体的な5か年フォローアップ計画を検討します。
 併せて、全国の火山地域に向けた富士山地域DX「安全・安心観光情報システム」の成果展開を図ります。

課題事項(恒久設置に関する課題)
 電源確保、光/電源ケーブル埋設、基地局等の暴風対策・低温対策等

関係機関との調整事項
 環境省  :自然公園内での行為に関する調整
 文化庁  :文化財の現状変更に関する調整
 経済産業省:電気工作物、受電に関する調整
 東京電力 :受電に関する調整
 観光庁  :観光DXに関する協議・調整
 
  • コンソーシアム構成メンバーの役割について


(注)当初「5、6、7合目」と記載しておりましたが、記載に誤りがあったため「4、5、6合目」と修正いたしました。(2022年8月24日)
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