雪印ビーンスターク第3回全国母乳調査 乳児の健康な発育に重要な多機能性たんぱく質「オステオポンチン」の乳児栄養における役割について

《第19回新生児栄養フォーラム》で発表

 雪印ビーンスターク株式会社(本社:東京都新宿区 代表取締役社長:稲葉 聡)は、雪印メグミルク株式会社と共同で2015年より第3回全国母乳調査を実施しています。
 これらの調査の一環として、当社は母乳に豊富に含まれる免疫成分「オステオポンチン(OPN)」の母乳中濃度について、2018年春に論文および学会発表を行いました。この研究では、母乳OPNはたんぱく質の約2%を占める主要な母乳たんぱく質の一つであり、その濃度には地域差が認められ分娩後日数により変化することを報告しています。また、母乳のOPN濃度は、健常な成人の血中濃度に比べて100~1000倍高いことが分かっています。
 今回は、その調査結果に関して、新生児医療に従事されている方、新生児の栄養・発達に関する研究者を対象に講演いたしました。本講演では、乳由来のOPNが免疫機能に加えて脳および認知ならびに運動機能の発達、未熟な消化管の保護に関与するといった近年の報告も取り上げ、乳児の健康な発育に重要な多機能性たんぱく質として、乳児栄養におけるOPNの役割について議論いたしました。
 これからも、当社はOPNをはじめとした母乳成分に関する研究を続けていきます。

◆本講演のポイント
・当社の第3回全国母乳調査により、母乳中のOPN濃度は地域や分娩後日数により変化することが明らかになった
・近年の研究報告によれば、OPNは乳児期の免疫機能、学習および運動機能、ならびに消化管の発達に関与する
 ことが示唆されている
・OPNは乳児の健康な発育にとって重要な母乳成分であり、更なる研究が必要である

◆発表概要
演題名          乳児栄養におけるオステオポンチンの役割
発表日時       2019年6月23日
学会名          第19回新生児栄養フォーラム
会場             三井住友銀行東館ライジング・スクエア内 SMBCホール(東京都千代田区)
発表者          上野 宏(雪印ビーンスターク株式会社 商品開発部)

【講演概要】
○オステオポンチンについて
 オステオポンチン(osteopontin, OPN)は、1986年に骨におけるリン酸化たんぱく質として、その後1987~89年に母乳でそれぞれ同定されました。OPNはヒトの体内に広く見つかっていますが、血液中の濃度は調べられた対象者によって異なります。また、尿や乳といった体液では、血液よりも高濃度でOPNが含まれることも分かっています。その中でも、母乳は157 mg/Lと非常に高濃度で含まれることが当社らの研究チームにより昨年報告されました(図1)。この濃度はたんぱく質あたり1.8%に相当し、母乳OPNは母乳の主なたんぱく質のひとつとも捉えられるようになりました。この研究では、母乳中の母乳OPN濃度には地域差が認められ、分娩後日数の経過に伴い低下することも分かっています。1)

○乳児栄養とオステオポンチン
 乳児期における母乳OPNの栄養学的役割について、乳由来OPNの経口摂取による影響が研究され、牛乳由来のOPN素材は食品素材としても安全性が確認されています。乳由来OPNについての実験動物では、経口摂取した乳由来OPNは脳に移行するとともに、脳の発育、学習および運動機能の発達に関与することや、2) 早産児モデル動物では、乳由来OPNを強化して飼育することにより壊死性腸炎の重症度が低下し、未熟な消化管に対して保護的な作用を示すこと、乳由来OPNを強化した人工栄養で飼育された実験動物では、消化管における遺伝子発現のパターンが母乳栄養に近づくことなどが示唆されています。3)
 このような知見をもとに、健常なヒト乳児を対象とするランダム化臨床試験が実施され、近年その結果が報告されています。この研究では、母乳栄養群、OPN未強化の人工栄養群(対照群)、母乳に相当するOPN濃度まで牛乳由来OPNを強化したOPN強化人工栄養群、および母乳のおよそ半分量に相当するOPN濃度まで牛乳OPNを強化したOPN部分強化人工栄養群の4群について比較検討していますが、いずれの乳児も発育に違いはなく、牛乳OPNの強化に伴う有害事象も認められていません。また、母乳栄養群に比べ、対照群における発熱の発症率が有意に高かったのですが、OPN強化ならびにOPN部分強化人工栄養群では、母乳栄養群ならびに対照群のいずれとも発症率に有意差はなく、より母乳栄養児に近づくことが示唆されています。また、炎症性サイトカインのひとつであるTNF-αの血中濃度に関して、OPN強化人工栄養群およびOPN部分強化人工栄養群の2群では、ともに対照群に比べて有意に低いTNF-α濃度を示し、人工栄養への牛乳OPN強化には炎症性サイトカインの産生を抑制する働きがあることも示唆されています。4) さらに、この研究では、乳児期における栄養法の違いが免疫細胞の発生に影響することや、血中ヒトOPN濃度への影響、ウシOPNの血中への移行などが調べられています。5)
 このように、乳由来OPNは乳児期における免疫機能の発達に加えて、脳および学習・運動機能、ならびに消化管機能の発達に関与することが示唆されており、健康な乳児の発育に有用な母乳成分であると考えられています(図2)。

 


【参考文献】
1) Bruun S, Jacobsen LN, Ze X, Husby S, Ueno HM, Nojiri K, et al. Osteopontin levels in human milk vary across countries and within lactation period: data from a multicenter study. J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2018;67:250-6.
2) Jiang R, Prell C, Lönnerdal B. Milk osteopontin promotes brain development by up-regulating osteopontin in the brain in early life. FASEB J. 2019;33:1681-94.
3) Donovan SM, Monaco MH, Drnevich J, Kvistgaard AS, Hernell O, Lönnerdal B. Bovine osteopontin modifies the intestinal transcriptome of formula-fed infant rhesus monkeys to be more similar to those that were breastfed. J Nutr. 2014;144:1910-9.
4) Lönnerdal B, Kvistgaard AS, Peerson JM, Donovan SM, Peng YM. Growth, nutrition, and cytokine response of breast-fed infants and infants fed formula with added bovine osteopontin. J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2016;62:650-7.
5) West CE, Kvistgaard AS, Peerson JM, Donovan SM, Peng YM, Lönnerdal B. Effects of osteopontin-enriched formula on lymphocyte subsets in the first 6 months of life: a randomized controlled trial. Pediatr Res. 2017;82:63-71.

【雪印ビーンスターク 全国母乳調査につきまして】
母親の生活習慣と母乳成分が乳児に与える影響に関する研究のために実施しております。
①  目  的:母乳成分とともに母子の背景情報を収集しその相互関係を把握する
②  対  象:母乳哺育している母親約 1,200 名
③  方  法:母親から母乳を提供いただくとともに、食事や生活習慣のアンケート、乳児の発育や
       疾病状況のアンケートを実施
④  実施期間:2015年~2023年(追跡調査を行うため長期実施となります)
※第1回(1960年実施)と第2回(1989年実施)の母乳調査につきましては当社ホームページをご覧ください。
https://www.beanstalksnow.co.jp/labo/milk/

【企業情報】
雪印メグミルクグループ 雪印ビーンスターク株式会社 (Bean Stalk Snow Co.,Ltd.)
設 立  :2002年8月7日
代表者  :代表取締役社長 稲葉 聡
URL     :https://www.beanstalksnow.co.jp
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