「BiNFi-s/銀ナノ粒子の抗菌・抗ウイルス効果」を確認
銀ナノ粒子をナノファイバー上で担持、新しいナノファイバーの用途
株式会社スギノマシン(富山県魚津市、代表取締役社長:杉野 良暁)は、バイオマス原料を由来としたナノファイバー*1(商品名:BiNFi-s、ビンフィス)の開発を進めています。その中で、セルロースナノファイバー(CNF)、キトサンナノファイバーの表面に銀ナノ粒子*2を担持させたBiNFi-s/銀ナノ粒子を既に販売しており、この機能性素材において抗菌・抗ウイルス効果を新たに確認しました。本成果の詳細は、今後、当社が出展する展示会、セミナー、HPなどで発表します。本研究開発は、岡山県工業技術センターとの共同研究成果、富山県新世紀産業機構による産学官オープンイノベーション推進事業の成果です。
1.BiNFi-s/銀ナノ粒子とは
「BiNFi-s/銀ナノ粒子」は、バイオマス原料であるセルロースやキトサンをナノファイバー化したBiNFi-sの繊維上に、ナノサイズの銀粒子を担持させた製品です。きわめて微細な銀ナノ粒子(直径2~20 nm)が分散した状態で析出しているのが特徴で、図1のようにペースト状で提供しています。
2.抗菌剤・抗ウイルス剤での利用
試験対象としてBiNFi-sキトサン/銀ナノ粒子を希釈した分散液(以降BFキトサン分散液)を選び、抗菌・抗ウイルス性の確認には、それぞれ大腸菌とネコカリシウイルスを用いました。
①大腸菌での抗菌効果
BiNFi-sキトサン/銀ナノ粒子を希釈した分散液(以降BFキトサン分散液)に、大腸菌を接種した後の菌数変化と、一定時間ごとにBFキトサン分散液に大腸菌を追加接種したときの菌数変化を計測しました。
図3に示すように、BF分散液に接種した大腸菌は、3分後には検出限界以下の菌数まで減少しました。また、一定時間ごとにBF分散液に大腸菌を追加接種した場合も24時間後には検出限界まで菌数が減少しました。
さらに、BFキトサン分散液の銀ナノ粒子濃度の影響を確認するために、MIC*3(最小発育阻止濃度)を指標に測定を行った結果、MICは4.2 mg/L、銀ナノ粒子濃度は0.53 mg/Lとなりました。一般的にMICは一桁mg/Lが有効とされており、大腸菌に対して十分な抗菌効果があると考えられます。
②ネコカリシウイルスでの抗ウイルス効果
抗ウイルス測定では、綿布にBFキトサン分散液を塗布し、乾燥後にネコカリシウイルスを添加し、効果を確認しました(JIS L1922を参考)。その結果は、抗ウイルス活性値が4.4であり、十分な効果ありと判定できる値3.0を大きく上回りました。ネコカリシウイルスは、感染性胃腸炎の原因となるノロウイルスと類似した構造を持つため、ノロウイルスにおいても同様の抗ウイルス効果が期待できます。
また、これらのウイルスはインフルエンザウイルスなどとは構造が異なり、アルコール消毒が効かないため、次亜塩素酸ナトリウム消毒が一般的に用いられています。これをBFキトサン分散液に置き換えることで、次亜塩素酸ナトリウムの特異な臭いの解消にもつながります。
③銀ナノ粒子を担持したナノファイバーの長所
銀ナノ粒子を担持したナノファイバーは粘性を持つため、洗濯対象の繊維物質(布、タオルなど)への固定が容易です。同様に、ナノファイバーの3次元ネットワーク構造に大腸菌などの微生物やウイルスの捕捉も容易になるため、銀ナノ粒子単体よりもナノファイバーが介在した方が抗菌・抗ウイルスの効果が向上すると考えられます。
また、次亜塩素酸ナトリウムをBFキトサン分散液へ置き換えることで、酸性洗剤との混合による有害ガスの発生を低減する可能性もあります。
このほかにも、BiNFi-s/銀ナノ粒子は、ナノファイバーの特徴である不織布やフィルムへの加工も容易なため、抗菌・抗ウイルス性能を付与しやすい材料と言えます。
3.用語・補足
*1 ナノファイバー
直径が100 nm以下、長さが直径の100倍以上の繊維状物質
*2 銀ナノ粒子
直径がナノオーダーの銀粒子。マイクロ粒子と比較して、比表面積が大きいのが特徴。この特徴は、銀粒子の触 媒の反応率向上や電池の高容量化や軽量化に寄与する。
*3 MIC(最小発育阻止濃度)
薬品による細菌増殖を抑制可能な最小濃度。MICの値が低いほど、薬品の微生物生育作用は、より強力となる。
<会社概要>
■会社名:株式会社スギノマシン ■代表者:代表取締役社長 杉野良暁
■本社所在地:〒937-8511富山県魚津市本江2410番地
■TEL:(0765)24-5111(代) ■創業:1936年3月1日
■事業:高圧ジェット洗浄装置、超高圧水切断装置、原子力発電保守用機器並びに廃炉機器、湿式・乾式微粒化装置、ドリリングユニット、タッピングユニット、マシニングセンタ、拡管工具・装置、抜管装置、鏡面仕上工具、バイオマスナノファイバー、産業用ロボット等の開発、設計、製造、販売
■URL:https://www.sugino.com/
-以上-
「BiNFi-s/銀ナノ粒子」は、バイオマス原料であるセルロースやキトサンをナノファイバー化したBiNFi-sの繊維上に、ナノサイズの銀粒子を担持させた製品です。きわめて微細な銀ナノ粒子(直径2~20 nm)が分散した状態で析出しているのが特徴で、図1のようにペースト状で提供しています。
BiNFi-s/銀ナノ粒子を乾燥化して観察すると、ナノファイバーの繊維状構造と銀ナノ粒子が確認できます(図2)。この微細な粒子は、比表面積が大きく反応性に富むため、触媒反応や消臭効果があります。また本製品を希釈した分散液はスプレー噴霧が可能で、銀ナノ粒子の濃度の高さから効果の持続性が高いため、さらに抗菌・抗ウイルス性を確認できれば、従来の抗菌・抗ウイルス剤との差別化が期待できます。
2.抗菌剤・抗ウイルス剤での利用
試験対象としてBiNFi-sキトサン/銀ナノ粒子を希釈した分散液(以降BFキトサン分散液)を選び、抗菌・抗ウイルス性の確認には、それぞれ大腸菌とネコカリシウイルスを用いました。
①大腸菌での抗菌効果
BiNFi-sキトサン/銀ナノ粒子を希釈した分散液(以降BFキトサン分散液)に、大腸菌を接種した後の菌数変化と、一定時間ごとにBFキトサン分散液に大腸菌を追加接種したときの菌数変化を計測しました。
図3に示すように、BF分散液に接種した大腸菌は、3分後には検出限界以下の菌数まで減少しました。また、一定時間ごとにBF分散液に大腸菌を追加接種した場合も24時間後には検出限界まで菌数が減少しました。
さらに、BFキトサン分散液の銀ナノ粒子濃度の影響を確認するために、MIC*3(最小発育阻止濃度)を指標に測定を行った結果、MICは4.2 mg/L、銀ナノ粒子濃度は0.53 mg/Lとなりました。一般的にMICは一桁mg/Lが有効とされており、大腸菌に対して十分な抗菌効果があると考えられます。
②ネコカリシウイルスでの抗ウイルス効果
抗ウイルス測定では、綿布にBFキトサン分散液を塗布し、乾燥後にネコカリシウイルスを添加し、効果を確認しました(JIS L1922を参考)。その結果は、抗ウイルス活性値が4.4であり、十分な効果ありと判定できる値3.0を大きく上回りました。ネコカリシウイルスは、感染性胃腸炎の原因となるノロウイルスと類似した構造を持つため、ノロウイルスにおいても同様の抗ウイルス効果が期待できます。
また、これらのウイルスはインフルエンザウイルスなどとは構造が異なり、アルコール消毒が効かないため、次亜塩素酸ナトリウム消毒が一般的に用いられています。これをBFキトサン分散液に置き換えることで、次亜塩素酸ナトリウムの特異な臭いの解消にもつながります。
③銀ナノ粒子を担持したナノファイバーの長所
銀ナノ粒子を担持したナノファイバーは粘性を持つため、洗濯対象の繊維物質(布、タオルなど)への固定が容易です。同様に、ナノファイバーの3次元ネットワーク構造に大腸菌などの微生物やウイルスの捕捉も容易になるため、銀ナノ粒子単体よりもナノファイバーが介在した方が抗菌・抗ウイルスの効果が向上すると考えられます。
また、次亜塩素酸ナトリウムをBFキトサン分散液へ置き換えることで、酸性洗剤との混合による有害ガスの発生を低減する可能性もあります。
このほかにも、BiNFi-s/銀ナノ粒子は、ナノファイバーの特徴である不織布やフィルムへの加工も容易なため、抗菌・抗ウイルス性能を付与しやすい材料と言えます。
3.用語・補足
*1 ナノファイバー
直径が100 nm以下、長さが直径の100倍以上の繊維状物質
*2 銀ナノ粒子
直径がナノオーダーの銀粒子。マイクロ粒子と比較して、比表面積が大きいのが特徴。この特徴は、銀粒子の触 媒の反応率向上や電池の高容量化や軽量化に寄与する。
*3 MIC(最小発育阻止濃度)
薬品による細菌増殖を抑制可能な最小濃度。MICの値が低いほど、薬品の微生物生育作用は、より強力となる。
<会社概要>
■会社名:株式会社スギノマシン ■代表者:代表取締役社長 杉野良暁
■本社所在地:〒937-8511富山県魚津市本江2410番地
■TEL:(0765)24-5111(代) ■創業:1936年3月1日
■事業:高圧ジェット洗浄装置、超高圧水切断装置、原子力発電保守用機器並びに廃炉機器、湿式・乾式微粒化装置、ドリリングユニット、タッピングユニット、マシニングセンタ、拡管工具・装置、抜管装置、鏡面仕上工具、バイオマスナノファイバー、産業用ロボット等の開発、設計、製造、販売
■URL:https://www.sugino.com/
-以上-
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