核融合による次世代エネルギー実用化を目指すHelical Fusion、東京都「ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業」に採択
3年間で最大10億円の補助を受け、全国のものづくり企業や大学と連携し、フュージョン発電プラントのエネルギー取り出しの要「ブランケット」の新開発を加速
フュージョンエネルギー(核融合)による次世代クリーンエネルギーの実用化をめざす株式会社Helical Fusion(本社:東京都中央区、代表取締役CEO:田口昂哉、以下「Helical Fusion」)は、東京都が実施する「ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業」(ゼロエミッション枠)において、2026年度の採択を受けたことをお知らせします。都内のベンチャー・中小企業が、事業会社等とのオープンイノベーションにより事業化する製品・サービス等を対象に、その開発、改良、実証実験及び販路開拓に要する経費の一部を補助するもので、3年間で最大10億円分の補助が行われます。
採択テーマは「フュージョン発電プラントを長持ちさせる新規液体金属壁」であり、核融合反応で発生するエネルギーを発電に利用可能な熱として受け取る基幹部品「ブランケット」の開発を行うものです。CO₂を排出しない次世代発電として期待されるフュージョンエネルギーの実用化に向け、発電プラント全体の効率性と寿命を両立するため、ブランケットの材料として液体金属を活用する画期的な設計を具体化します。

■核融合(フュージョン)エネルギーとは
太陽の輝きと同じ原理を地上で再現することで得られるエネルギー。二酸化炭素(CO2)排出がなく、海水などから豊富に採取可能な水素の仲間を燃料として用いること、原理的に暴走が起こらないことから安全性を確保しやすいことなどから、世界的なエネルギーの課題を抜本的に解決する技術として期待されています。
■ブランケットについて
フュージョン発電プラントの内部では、プラズマに接し、エネルギーを受け取る「ブランケット」に極めて高い熱負荷が生じます。発電プラントを長期間にわたり安定的に運転するためには、この熱を効率よく、周辺の部材への影響を抑えながら継続的に取り出す仕組みが必要ですが、世界的にも、いまだ標準的な方式は確立されていません。
今回採択された「フュージョン発電プラントを長持ちさせる新規液体金属壁」では、この課題に対し、液体金属が流れる“動く壁”という画期的なアプローチで取り組みます。既存の試験装置などで主に考案されてきた、固体材料のみでブランケットを構成する形に比べ、効率性・保守性・プラント寿命の確保などの観点で優れたコンポーネントの実現を目指します。さらに、ブランケット周辺機器も含めたメンテナンス手法も実証することで、プラント全体の稼働率を確保し、実用プラントとしての経済性を見通した開発を促進します。


■東京発の産官学連携で実証を推進
本テーマでは、国内ものづくり企業や大学と連携し、先端素材技術、機械技術、熱制御技術などを結集して実証を進めます。ブランケット開発で連携を発表している菱輝金型工業株式会社(愛知県一宮市)*1や、すでに協力関係にある助川電気工業株式会社(茨城県高萩市)*2を含む複数の国内企業との共同開発や、青山学院大学をはじめとする学術機関*3との共同研究体制のもとで取り組みます。日本の強みである高度な製造技術と研究基盤を融合した体制をもとに、東京都の支援を最大限に活用することで、フュージョン発電プラントの実用化に向けた具体的な開発が可能となります。
Helical Fusionは、フュージョンエネルギーの社会実装は一社単独で完結するものではなく、多様な専門性を持つ企業・研究機関・行政が連携することで初めて加速できると考え、パートナリングを重視しています。今回の採択を契機に、東京から新たな産業の創出を進めるとともに、将来的にはフュージョンエネルギーを再生可能エネルギーと並ぶ基幹電源の一つへと育てていくことを目指します。
*1 プレスリリース「フュージョンエネルギー実用化を進める Helical Fusion、大型金属精密加工の菱輝金型工業と協業、最終実証装置「Helix HARUKA」向け重要コンポーネントを完成」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000060.000089262.html
*2 プレスリリース「世界初の定常核融合炉実現を目指すHelical Fusion、商用核融合炉に必須となる独自の液体金属ブランケット試験装置「GALOP」を搬入」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000089262.html
*3 Helical Fusionホームページ 「PARTNER」https://www.helicalfusion.com/partner
■ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業について
本事業の採択に関する詳細は、東京都からの発表をご覧ください。
-
ゼロエミッション東京の実現等に向けた支援 採択企業決定|3月|都庁総合ホームページ
https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/03/2026033021
-
ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業 ホームページ
■代表者からのコメント
株式会社Helical Fusion代表取締役CEO 田口 昂哉

このたび、東京都『ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業』に採択いただいたことを、大変光栄に思います。ここまで本テーマの検討と申請準備を進めてきたチームの努力を誇りに思うとともに、共同研究先の皆さま、そして技術面・事業面の両面からご協力をいただいている企業の皆さまに、心より御礼申し上げます。今回採択されたブランケット開発は、発電プラントにおいて、エネルギーを受け取って電気として活用するための重要部品です。今回の採択を大きな後押しとして、日本の優れた研究開発力とものづくり力とを結集し、フュージョンエネルギー実用化への歩みをさらに加速してまいります。
■ヘリックス計画について
ヘリカル型核融合炉は、これまでの国立大学や国立研究機関における70年にわたる研究開発の結果、商用発電所に適した特性が評価されている方式*4です。
Helical Fusionは、その知見を活用してフュージョンエネルギーの実用化を行う数少ない民間企業の一社として、ヘリカル型核融合炉による実用発電を達成する「ヘリックス計画(Helix Program)」を進めています。
ヘリックス計画では、2020年代中をめどに二大開発要素「高温超伝導マグネット」「ブランケット兼ダイバータ」の個別実証を完了し、2030年代中には、最終実証装置「Helix HARUKA」による統合実証、および発電初号機「Helix KANATA」による世界初の実用発電を達成する計画です。
2025年より、「Helix HARUKA」の製造・建設を進めています。Helical Fusionは、CTO(宮澤順一)を中心とした専門チームの知見をもとに、インテグレーターとして開発をリードするとともに、日本全国のものづくり企業との連携体制を強みとして、着実にエンジニアリングを前進させています。
*4 ①定常運転(24時間365日運転可能な安定性)、②正味発電(プラントの外に電力を供給できる)、③保守性(メンテナンスが可能)という「商用核融合炉の三要件」を、全て満たせる見通しを有することから。
■「実用発電」のための三要件
核融合炉を発電所として商用利用するためには、核融合反応を起こすことはもちろん、①定常運転(24時間365日運転可能な安定性)、②正味発電(プラントの外に電力を供給できる)、③保守性(メンテナンスが可能)という「商用核融合炉の三要件」をすべて満たす必要があると考えています。


■Helical Fusionについて
2021年に、NIFSにおける核融合に関する研究成果を活用して創業した、ヘリカル型核融合炉によるフュージョンエネルギーの実用化を目指す企業です。日本独自の核融合炉形式である「ヘリカル方式」は、これまでの国立大学や国立研究機関における70年にわたる研究開発の結果、商用発電所に適した特性が評価されている方式です。
その知見を活かして実用化を進める世界で唯一の企業として、「ヘリックス計画(Helix Program)」を進めています。ヘリックス計画では、2020年代中をめどに二大開発要素「高温超伝導マグネット」「ブランケット兼ダイバータ」の個別実証を完了し、2030年代中には、最終実証装置「Helix HARUKA」による統合実証、および発電初号機「Helix KANATA」による世界初の実用発電を達成する計画です。
ヘリックス計画(Helix Program)詳細(https://www.helicalfusion.com/helixprogram)

背景
■フュージョンエネルギー開発の意義
世界の人口は2050年までに約17億人増加すると予測*5され、生成AIの普及も背景とした世界的な電力需要の急増に対し、既存発電方法のみで応えることは厳しい見通しです。フュージョンエネルギーは、太陽の輝きと同じ原理を使ったCO2排出がなく効率性の高い発電方法であり、海水等から豊富に採取可能な燃料を用いることからも、世界的な課題を抜本的に解決する技術として期待されています。核融合プラント建設および電力市場は2050年までに世界で数百兆円規模にまで成長するとの試算*6もあり、今後自動車産業のように日本が世界をリードする巨大産業を創出できる可能性がある一方、国際的な開発競争も激化しています。
日本においては、2025年10月に高市早苗総理大臣が率いる新政権が発足し、「危機管理投資」や「経済安全保障」を成長戦略の核心と位置づけ、所信表明演説では “次世代革新炉や核融合エネルギーの早期社会実装” が明記されました。同年6月には 内閣府による「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」の改定により、2030年代の発電実証を目指すロードマップが提示されています。加えて、新政権が掲げる「重点投資対象17分野」にフュージョンエネルギー(核融合)が挙げられ、11月には政府として1,000億円超の予算計上、経済産業省に「フュージョンエネルギー室」が設置されるなど、政府としての支援が具体化しています。産業界をまとめるフュージョンエネルギー産業協議会からも社会実装に向けた提言が示されており、学術研究の段階から、官民をあげた産業化への動きが加速していると言えます。
*5 国際エネルギー機関(IEA)年次報告書 「2023年版世界エネルギー見通し」(World Energy Outlook 2023)
*6 FusionX/Helixos report Global Fusion Market Analysis: Electricity, Supply Chain & Construction (https://fusionxinvest.com/data-analysis/analysis/)
<本件に関するお問合せ>
株式会社Helical Fusion コミュニケーションデザイン室 contact@helicalfusion.com
すべての画像
