雪印ビーンスターク第3回全国母乳調査 日本人の母乳中ビタミンD濃度の年代による変化を調査
《第37回日本骨代謝学会学術集会》で発表しました。
雪印ビーンスターク株式会社(本社:東京都新宿区 代表取締役社長:稲葉 聡)は雪印メグミルク株式会社と共同で第3回全国母乳調査を実施しております。
これらの研究の一環として、大阪樟蔭女子大学との共同研究により、日本人の母乳中ビタミンD濃度について、およそ30年前に実施した第2回全国母乳調査と本調査を詳細に比較解析いたしました。
この研究成果につきまして、10月12日より神戸国際会議場で開催された「第37回日本骨代謝学会学術集会」において、下記のとおり学術発表いたしましたので、ご案内申し上げます。
◆第37回日本骨代謝学会学術集会 発表概要
演題名 母乳中ビタミンDおよび25-ヒドロキシビタミンD濃度の経年的比較 ならびに地域・季節の影響
発表者 〇津川尚子1,2)、西野真由2)、桒原晶子2)、小笠原帆南1)、鎌尾まや4)、小林俊二郎5) 、
山村淳一5) ※ 〇は演者
1 大阪樟蔭女子大学・健康栄養学部・公衆衛生学
2 大阪樟蔭女子大大学院・人間栄養学専攻・公衆衛生学
3 大阪府立大学地域保健学域総リハビリテーション学類・栄養療法学専攻
4 神戸薬科大・エクステンションセンター
5 雪印ビーンスターク(株)・商品開発部
発表日時 2019年10月14日(月)10:30~11:30 口演10 ビタミンD
会場 神戸国際会議場(神戸市中央区港島中町6-9-1)
◆研究発表内容の要約
○背景
ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。近年の国民健康・栄養調査では、ビタミンDの摂取量は男女とも20歳代から40歳代までの中央値が「日本人の食事摂取基準2015年版」の目安量を大きく下回っていることが指摘されています1)。平成29年の国民健康・栄養調査でも授乳婦のビタミンD摂取量は平均値7.2μg、中央値2.9μgと、授乳婦の目安量8.0μgを下回っています。また、近年の妊婦および授乳婦のビタミンD栄養状態(血中25-ヒドロキシビタミンD濃度)は低く2)、授乳婦のビタミンD栄養の低下は、自身の骨代謝に影響するだけでなく、母乳中ビタミンD濃度の低下に基づく乳児くる病発生のリスクも懸念されます。
ビタミンDは食事から摂取されるだけでなく、日光の紫外線により皮膚でも産生されるため、母乳中ビタミンD濃度には地域、季節間差だけでなく、近年の女性に見られる紫外線を避ける行動も影響する可能性がありますが、これらを確認する研究は不足しています。
そこで今回、母乳中ビタミンD濃度について現代収集した母乳と1989年に実施した第2回全国母乳調査で収集した母乳を比較し、経年的変化を調べました。また地域・季節・生活スタイルの関与についても調べました。
【参考文献】
1) 池田彩子, 野村早. 日本人の成人におけるビタミンD摂取量は足りているか―国民健康・栄養調査からわかること―. ビタミン 2015;89(9):453-8.
2) Yoshikata H, Tsugawa N, Watanabe Y, Tsuburai T, Chaki O, Hirahara F, Miyagi E, Sakakibara H, Uenishi K, Okano T. 25-Hydroxyvitamin D profiles and maternal bone mass during pregnancy and lactation in Japanese women. J Bone Miner Metab. 2019
doi: 10.1007/s00774-019-01032-w. [Epub ahead of print]
○方法
九州・関東・北海道地区の授乳婦93名(冬季45名、夏季48名)を対象とし、産後3~4か月の母乳を2016年から2017年に収集しました。一方、1989年に同地域の授乳婦72名(冬季49名、夏季23名)から収集した産後3~4か月の母乳の-80℃保存検体を用いました。
それぞれの母乳を前処理したのち、ビタミンD2/D3 (D2/D3)および25-ヒドロキシビタミンD2/D3(25-D2/D3)をLC-MS/MS法で全検体について測定しました。
また、現代の授乳婦には、生活スタイル調査として食事調査(BDHQ)および日光紫外線曝露に関するアンケート調査を実施しました。
○結果および考察
過去・現代の個別の母乳中ビタミンD濃度を測定したところ、過去・現代ともに冬季より夏季が有意に高い結果でした。
夏季におけるビタミンD3と25-ヒドロキシビタミンD3濃度は、過去と比較して現代が低く、約2倍の経年的変化が認められました。これは九州・関東で強く認められました。一方、冬季ではこれらの濃度に経年的変化が認められませんでした。
これまで数十名分の母乳をプールした冬季母乳・夏季母乳で比較したことはありましたが、今回、個別の母乳を測定することで、明確に過去と現代の母乳中ビタミンD濃度が変動していることが示されました。
これらの結果より、現代の夏季に日光を避ける生活スタイルが、夏季の母乳中ビタミンD濃度の低下に影響している可能性が考えられました。
【雪印ビーンスターク 全国母乳調査につきまして】
母親の生活習慣と母乳成分が乳児に与える影響に関する研究のために実施しております。
①目的:母乳成分とともに母子の背景情報を収集しその相互関係を把握する
②対象:母乳哺育している母親約 1,200 名
③方法:母親から母乳を提供いただくとともに、食事や生活習慣のアンケート、乳児の発育や疾病状況のアンケートを実施
④実施期間:2015年~2023年(追跡調査を行うため長期実施となります)
※第1回(1960年実施)と第2回(1989年実施)の母乳調査につきましては当社ホームページをご覧ください。https://www.beanstalksnow.co.jp/labo/milk/
【企業情報】
雪印メグミルクグループ 雪印ビーンスターク株式会社 (Bean Stalk Snow Co.,Ltd.)
設立 :2002年8月7日
代表者:代表取締役社長 稲葉 聡
URL:https://www.beanstalksnow.co.jp
これらの研究の一環として、大阪樟蔭女子大学との共同研究により、日本人の母乳中ビタミンD濃度について、およそ30年前に実施した第2回全国母乳調査と本調査を詳細に比較解析いたしました。
この研究成果につきまして、10月12日より神戸国際会議場で開催された「第37回日本骨代謝学会学術集会」において、下記のとおり学術発表いたしましたので、ご案内申し上げます。
◆第37回日本骨代謝学会学術集会 発表概要
演題名 母乳中ビタミンDおよび25-ヒドロキシビタミンD濃度の経年的比較 ならびに地域・季節の影響
発表者 〇津川尚子1,2)、西野真由2)、桒原晶子2)、小笠原帆南1)、鎌尾まや4)、小林俊二郎5) 、
山村淳一5) ※ 〇は演者
1 大阪樟蔭女子大学・健康栄養学部・公衆衛生学
2 大阪樟蔭女子大大学院・人間栄養学専攻・公衆衛生学
3 大阪府立大学地域保健学域総リハビリテーション学類・栄養療法学専攻
4 神戸薬科大・エクステンションセンター
5 雪印ビーンスターク(株)・商品開発部
発表日時 2019年10月14日(月)10:30~11:30 口演10 ビタミンD
会場 神戸国際会議場(神戸市中央区港島中町6-9-1)
◆研究発表内容の要約
○背景
ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。近年の国民健康・栄養調査では、ビタミンDの摂取量は男女とも20歳代から40歳代までの中央値が「日本人の食事摂取基準2015年版」の目安量を大きく下回っていることが指摘されています1)。平成29年の国民健康・栄養調査でも授乳婦のビタミンD摂取量は平均値7.2μg、中央値2.9μgと、授乳婦の目安量8.0μgを下回っています。また、近年の妊婦および授乳婦のビタミンD栄養状態(血中25-ヒドロキシビタミンD濃度)は低く2)、授乳婦のビタミンD栄養の低下は、自身の骨代謝に影響するだけでなく、母乳中ビタミンD濃度の低下に基づく乳児くる病発生のリスクも懸念されます。
ビタミンDは食事から摂取されるだけでなく、日光の紫外線により皮膚でも産生されるため、母乳中ビタミンD濃度には地域、季節間差だけでなく、近年の女性に見られる紫外線を避ける行動も影響する可能性がありますが、これらを確認する研究は不足しています。
そこで今回、母乳中ビタミンD濃度について現代収集した母乳と1989年に実施した第2回全国母乳調査で収集した母乳を比較し、経年的変化を調べました。また地域・季節・生活スタイルの関与についても調べました。
【参考文献】
1) 池田彩子, 野村早. 日本人の成人におけるビタミンD摂取量は足りているか―国民健康・栄養調査からわかること―. ビタミン 2015;89(9):453-8.
2) Yoshikata H, Tsugawa N, Watanabe Y, Tsuburai T, Chaki O, Hirahara F, Miyagi E, Sakakibara H, Uenishi K, Okano T. 25-Hydroxyvitamin D profiles and maternal bone mass during pregnancy and lactation in Japanese women. J Bone Miner Metab. 2019
doi: 10.1007/s00774-019-01032-w. [Epub ahead of print]
○方法
九州・関東・北海道地区の授乳婦93名(冬季45名、夏季48名)を対象とし、産後3~4か月の母乳を2016年から2017年に収集しました。一方、1989年に同地域の授乳婦72名(冬季49名、夏季23名)から収集した産後3~4か月の母乳の-80℃保存検体を用いました。
それぞれの母乳を前処理したのち、ビタミンD2/D3 (D2/D3)および25-ヒドロキシビタミンD2/D3(25-D2/D3)をLC-MS/MS法で全検体について測定しました。
また、現代の授乳婦には、生活スタイル調査として食事調査(BDHQ)および日光紫外線曝露に関するアンケート調査を実施しました。
○結果および考察
過去・現代の個別の母乳中ビタミンD濃度を測定したところ、過去・現代ともに冬季より夏季が有意に高い結果でした。
夏季におけるビタミンD3と25-ヒドロキシビタミンD3濃度は、過去と比較して現代が低く、約2倍の経年的変化が認められました。これは九州・関東で強く認められました。一方、冬季ではこれらの濃度に経年的変化が認められませんでした。
これまで数十名分の母乳をプールした冬季母乳・夏季母乳で比較したことはありましたが、今回、個別の母乳を測定することで、明確に過去と現代の母乳中ビタミンD濃度が変動していることが示されました。
これらの結果より、現代の夏季に日光を避ける生活スタイルが、夏季の母乳中ビタミンD濃度の低下に影響している可能性が考えられました。
【雪印ビーンスターク 全国母乳調査につきまして】
母親の生活習慣と母乳成分が乳児に与える影響に関する研究のために実施しております。
①目的:母乳成分とともに母子の背景情報を収集しその相互関係を把握する
②対象:母乳哺育している母親約 1,200 名
③方法:母親から母乳を提供いただくとともに、食事や生活習慣のアンケート、乳児の発育や疾病状況のアンケートを実施
④実施期間:2015年~2023年(追跡調査を行うため長期実施となります)
※第1回(1960年実施)と第2回(1989年実施)の母乳調査につきましては当社ホームページをご覧ください。https://www.beanstalksnow.co.jp/labo/milk/
【企業情報】
雪印メグミルクグループ 雪印ビーンスターク株式会社 (Bean Stalk Snow Co.,Ltd.)
設立 :2002年8月7日
代表者:代表取締役社長 稲葉 聡
URL:https://www.beanstalksnow.co.jp
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