アサド政権の崩壊を受けてPiece of Syriaはシリア帰還民支援を行います
シリアの子ども達への教育支援活動を続けてきたNPO法人Piece of Syriaは、アサド政権崩壊を受けて高まった、シリア国内での教育支援と心のケアのニーズのための支援を開始します。
<シリア国内の状況について>
2011年から戦争が続いていた中東シリアで、反政府勢力が首都ダマスカスを制圧し、アサド政権が崩壊しました。この十日余りの情勢変化はシリアの人たちにとっても戸惑いが多く、私たちPiece of Syriaも、様々な地域に住むシリアの人たちの声を聞きながら状況把握に努めていました。
急激な変化の中で、情報も錯綜し、当初は不安と心配の声が多数でした。ですが、状況が落ち着いてくると、安堵と希望の声が徐々に増え、アサド政権が崩壊したことが確実になった後は「自由になったんだ」と、この変化を歓迎する声がほとんどになりました。
ただし、一部地域では砲撃や武力衝突が近くで起こっていて恐怖の中にある人たちや、治安の悪化が起こっているという声、そして「新しくできる政権がどうなるかがわからず、心配だ」という声も聞いています。また、シリアの隣国で難民として暮らす人たちの中には、「シリアはもう自由になったのだから出ていけ、という空気が生まれている。だが、今帰っても、シリアには家も仕事もない」と、不安の声もあります。
<母国語がわからない子どもたちへの支援>
今後、トルコなどの近隣国に避難していた難民がシリアに帰還することが見込まれます。しかし、国連は「シリア国内の人々の90パーセントが何らかの人道支援を必要としている」としており、家・食料・医療などの基本的なニーズが不足しています。
教育に関しても、治安、給与の未払い、学校の校舎の破壊など様々な要因から、就学率は33%程度であり、中長期的な復興のためには、その支援は不可欠です。そして、今後予想されるのは、シリア国外で生まれ育った子どもたちが、シリアの教育に戻るためのサポートです。
最大のシリア難民受け入れ国のトルコでは、シリアの子どもたちの半数はトルコで生まれています。トルコでは母国語であるアラビア語の学習機会はほとんどなく、家族内の日常会話はできるものの、大半の子どもたちは読み書きができません。その状況を受けて、Piece of Syriaはトルコのシリア国境の街で補習校を運営し、毎年200名に、シリアの言葉・文化・歴史などを学ぶ機会を提供してきました。
今後、シリアへの帰還が増えることが予想される中、学校に戻るための「母国語の補習授業の機会」を作っていくことが、長期的な国づくりの大切な土台となります。また、学校に数年間、行くことができなかった子どもたちは学校に戻らなくなるため、教育機会を失した「スキマの世代」が問題になっています。教育支援は「継続性」も重要ですが、「緊急性」も高い支援でもあります。
<Piece of Syriaのこれから:シリア帰還民に向けた教育支援と心のケア>
Piece of Syriaは、2016年からシリア北西部の反体制派エリアで、戦争・震災の被害を受けたシリアの子どもたちに対し、教育支援・心理ケアを届けてきました。幼稚園・小学校の修復・運営、心理的ケアセンターの運営を通して、今まで約5万人のシリアの子どもたちに教育の機会を生み出しています。
居住・食料・医療に関するニーズがある中ですが、ニーズも高く、当団体が培ってきた経験を最も活かすことができる「教育支援」と「心のケア」の活動を進めていきます。
皆様からのご寄付は、祖国に戻ったシリア帰還民のための補習校活動、心理ケアのためのサポート活動として当てさせていただきます。ぜひ、Piece of Syriaのシリア支援にご協力いただけませんか?
【中野への取材についてのお問合せ先】
中野は海外駐在となるため、オンラインにて取材を受け付けさせていただきます。
お問い合わせは下記連絡先からご連絡ください。
担当:中野 貴行(特定非営利活動法人Piece of Syria 代表理事)
Eメール:contact@piece-of-syria.org
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