病院勤務者の高ストレス者の割合、医師は意外と低い?看護師は高い?
~働きがいを感じている医療業従事者、身体的負担がストレス要因に~
弊社公式ブログ「AltPaperストレスチェックマガジン」(https://www.altpaper.net/b/)では、その他業種の分析結果やセルフケア方法をご紹介しておりますので、そちらもご参照ください。
<調査結果概要>
医療業全体として、高ストレス者の割合はやや高めであるのに対し、総合健康リスクは全国平均を下回りました。ほぼ全ての職種において、「心理的な仕事の負担(質)」「自覚的な身体的負担度」「家族や友人からの支援度」の数値が全国平均を下回り、ストレス要因となり易いことが分かります。しかし、[仕事のストレス要因]の中では、「職場環境によるストレス」「技能の活用度」「自覚的な仕事の適性度」「働きがい」の数値は、全国平均並みもしくはそれを大きく上回っています。
また、職種別に見ると、医師の高ストレス者の割合と医療技術者の総合健康リスクの数値は低く算出されました。この二つの職種については、ほぼ全てのストレスチェック尺度でその他職種を上回る高い数値が出ています。さらに、男性に絞って見てみると、薬剤師,獣医師,歯科医師、看護師(准看護師を含む)、事務従事者、介護サービス職業従事者については、高ストレス者の割合と総合健康リスク共に全国平均を大きく上回っています。また、女性については、看護師(准看護師を含む)の高ストレス者の割合が高く、15%を超えています。さらに、専門的・技術職業従事者、医師、薬剤師,獣医師,歯科医師については、総合健康リスクが全国平均を上回っています。
医療業のストレスチェック分析結果を職種別に集計・分析しました。
以下、「医療業ストレス平均値 調査結果詳細」をご参照ください。
<注釈>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.データの取り扱いについて
・各事業者様にご提供いただいたデータにつきましては、業種・規模・地域をお伺いして分類することとし、個々の事業者様・受検者様を識別できないようにして取り扱っております。
・各受検者様の回答につきましては、性別・職種と57項目・80項目の回答データのみ使用することとし、個人を識別できないようにして取り扱っております。
2.「高ストレス者」とは
厚生労働省が公表したマニュアル(2015)に基づいており、以下(i)及び(ii)に該当する者を指します。(i)及び(ii)に該当する者の割合については、概ね全体の10%程度とします。
(i)「心身のストレス反応(29項目6尺度)」の合計が12点以下
(ii)「心身のストレス反応(29項目6尺度)」の合計が17点以下で「仕事のストレス要因(17項目9尺度)」及び「周囲のサポート(9項目3尺度)」の合計が26点以下
3.「健康リスク」とは
基準値として設定された全国平均値100からどの程度乖離しているかで算出されます。また、健康リスクの数値を表す「仕事のストレス判定図」とは、 男女別に求められた量-コントロール判定図と職場の支援判定図から構成されます。この二つの調和平均が「総合健康リスク」となります。
◆仕事のストレス判定図
1.量-コントロール判定図…仕事の量的負担とそれに対するコントロールの度合い(裁量権)による健康リスク
2.職場の支援判定図…上司の支援と同僚の支援の状況・バランスによる健康リスク
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【関連サイト】
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・「AltPaperストレスチェックキット」サービス詳細:https://www.altpaper.net/sc/contact/
【株式会社情報基盤開発とは】
株式会社情報基盤開発は東京大学発のベンチャー企業です。学内で研究・開発された画像処理技術及びデータベース技術を用いて紙への書き込みをデータ化し、オフィスの生産性を向上することをミッションにしています。アンケート自動集計システム「AltPaper」によって紙アンケートのデータ入力業務を効率化する事業に取り組んでいます。
【報道関係者様・研究機関関係者様】
弊社は、ストレスチェック制度の更なる充実化・労働者のメンタルヘルスの向上に貢献したいと考えております。調査データのご提供や研究協力などのお役に立ちたいと考えておりますので、興味・関心をお持ちいただけましたら、下記お問い合わせ先までご連絡ください。
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社情報基盤開発 広報部
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【医療業ストレス平均値 調査結果詳細】
- 調査方法
また、その中から「医療業」に該当する55事業者様の男性2,154名、女性6,537名のデータを使用して、男女別・職種別に細分化した分析を行いました。
- 調査結果
医療業の高ストレス者の割合については、職種間でばらつきが生じています。まず、男性については、介護サービス職業従事者の高ストレス者の割合が20%以上と非常に高い数値が出ています。それに次いで、看護師(准看護師を含む)、事務従事者、薬剤師,獣医師,歯科医師でも15%程度もしくは15%以上20%未満と高めの数値が出ています。女性についても、看護師(准看護師を含む)の高ストレス者の割合は15%を超えています。
反対に、医師については、男女共に高ストレス者の割合が5%前後と低い数値が出ています。
次に、総合健康リスクについてです。男性では、薬剤師,獣医師,歯科医師のリスクが130程度(全国平均より30%程度高いリスク)と突出しています。看護師(准看護師を含む)、事務従事者、介護サービス職業従事者についても、そのリスクは全国平均を超えています。これら4つの職種(男性)は、総合健康リスクと同時に高ストレス者の割合も高く、総合的にストレス度合いが高いと推測できます。女性については、どの職種も全国平均並みもしくはそれを下回っています。その中でも、医療技術者の数値の低さが目立ちます。
(2) 男女別/ストレスチェック尺度別比較
職業性ストレス簡易調査票における各尺度の平均値が全国データからどれほど乖離しているかを計るために、全国平均値を0とし、1から-1の間に全国データの7割が入るように、正規化数値※4を算出しました。
まず、総合健康リスクの判定に使われる4つの尺度(グラフ赤枠)を見ていくと、「仕事の裁量度」「上司からの支援度」「同僚からの支援度」の数値は、男女共に全国平均並みもしくはそれを上回っています。「心理的な仕事の負担(量)」については、女性の数値のみ全国平均を下回っています。このため、総合健康リスクはあまり高くならなかったのだと考えられます。
次に、4つの尺度以外に注目すると、男女共に、「心理的な仕事の負担(質)」「自覚的な身体的負担度」「家族や友人からの支援度」の数値が全国平均を下回り、ストレス要因となっていることが分かります(グラフ黄枠)。中でも、「自覚的な身体的負担度」の数値の低さが目立ちます。しかし、[仕事のストレス要因]に含まれるその他の尺度「職場環境によるストレス」「技能の活用度」「自覚的な仕事の適性度」「働きがい」の数値は、全国平均を上回っています。
<注釈>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4. { (各尺度の値) – (全国平均) }/(全国データの標準偏差)×100を正規化数値と仮定しています。
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(3) 男女別/ストレスチェック尺度別比較
■男性グラフ
■女性グラフ
ストレスチェック各尺度の職種別平均値を算出しました。
まず、総合健康リスクの算出にかかわる4つの尺度を見ていくと、高ストレス者率・高健康リスクであった薬剤師,獣医師,歯科医師および事務従事者は男女共に、「上司からの支援度」「同僚からの支援度」について、その他職種よりも低めの数値が出ています。また、介護サービス職業従事者については、「心理的な仕事の負担(量)」「仕事の裁量度」の数値がその他職種よりも比較的低くなっています。
次に、4つの尺度以外に着目すると、男女共に、「心理的な仕事の負担(質)」「自覚的な身体的負担度」について職種間のばらつきが大きくなっています。特に、「心理的な仕事の負担(質)」については、薬剤師,獣医師,歯科医師の数値の低さが目立ちます。また、看護師(准看護師を含む)、介護サービス職業従事者については、「自覚的な身体的負担度」の数値の低さが目立ちます。「家族や友人からの支援度」については職種間のばらつきはあまりなく、どれも全国平均を下回っていますが、こちらは過去のデータと比較したところ、業種問わず悪化傾向にあるようです。
また、高ストレス者の割合が高い女性の看護師(准看護師を含む)については、[仕事のストレス要因]に含まれるほとんどの尺度において、その数値がその他職種より低くなっていることが分かります。
高ストレス者の割合が低い医師については、男女共に、ほぼ全ての尺度で全国平均並びにその他職種を上回る高い数値が出ています。また、総合健康リスクが低い医療技術者についても、男女共に、多くの尺度で医師に次ぐ高い数値が出ています。
※上記分析において、比較の基準としている「全国(厚労省データ)」は、“厚生労働省科学研究費補助金労働安全衛生総合研究事業「職業性ストレス簡易調査票及び労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリストの職種に応じた活用法に関する研究」平成19年度総括・分担報告書 表4 職業性ストレス簡易調査票下位尺度の職種別平均値及び標準集団との比較”が出典です。
- セルフケア方法
おすすめのセルフケア方法は、休日の睡眠時間を確保すること、仕事から離れた趣味を持つこと、仕事とは関係のない人と交流することです。
医療業は長時間の集中や細心の注意を必要とする業務が多いため、本分析でも明らかになったように、質的な負担や身体的な負担が大きいと思われます。自身がそのような負担がかかりやすい仕事をしているということを認識し、休日に睡眠時間をしっかりと確保すること大切です。「朝起きて、夜眠る」というリズムを崩さないようにしましょう。
また、医療業従事者の方は責任感が強く、休日も仕事のことを考えてしまいがちです。そこで、日常的な緊張感から一時的に自分自身を解放するために、趣味を見つけてみてください。くつろぎながら好きな音楽を聴いてみたり、のんびり読書をしてみたりなど、準備を必要としないものがおすすめです。また、呼吸法やヨガなどのリラクゼーション効果が期待できるものを習慣づけたり、学生時代に取り組んでいたスポーツを再びはじめてみたりなど、体を動かすことも肉体的疲労・精神的緊張をほぐすのに効果的です。
その他には、仕事とは関係のないコミュニティ(共通の趣味を持つ人々や学生時代の同級生の集まりなど)に参加し、知らない業界の話を聞くこともリフレッシュにつながります。自分とは異なる価値観を持つ人との交流は新たな気づきが多く、自分の好奇心などを刺激し、気持ちを前向きにしてくれると考えられます。
医療業従事者には、お休みの時間を有効活用して、仕事とプライベートの切り替えをしっかり行い、メンタルヘルスの不調を防いでいくことが求められます。
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