株式会社 Azoop、運送従事者への実態調査を実施。「特定技能外国人ドライバー採用」については6割以上が採用に消極的。一方で認知度96.3%、人手不足感83.7%。運行の安全性と現場摩擦が懸念材料に。

株式会社Azoop

 株式会社 Azoop(本社:東京都港区、代表取締役社長 CEO: 朴 貴頌、以下「Azoop」)は、2024年12月に開始した特定技能外国人ドライバー制度について、運送従事者111名を対象に実態調査アンケートを実施しました。その結果、運送会社の人手不足感(83.7%)と制度の認知度(96.3%)が高いにもかかわらず、6割以上(64.8%)が特定技能外国人ドライバーの採用に消極的でした。また、運行の安全性、日本人ドライバーとのコミュニケーションや文化の違いが懸念であり、採用検討層・消極層ともに行政や支援機関に費用・教育・トラブル発生時の支援を求めていることも明らかになりました。

■調査背景・概要

 2024年12月、特定技能制度に「自動車運送業」が追加され、トラック運送においても特定技能外国人がドライバーとして就業することが可能になりました。

 特定技能制度とは、人手不足が深刻な産業において、即戦力となる外国人材を受け入れるために創設された在留資格制度です。特定技能外国人ドライバーになるためには、自動車運送業分野の運転技能と日本語能力試験の両方に合格する必要があり、企業側も外国人材の受け入れ体制整備が求められます。

出入国在留管理庁の「主な国籍・地域別 特定産業分野別 特定技能1号在留外国人数」によると、令和7年6月末時点で特定技能「自動車運送業」の人材は計10人となっています。一方で、既に大手企業を中心に採用活動が開始されており、登録支援機関の利用や自社による海外育成機関の設立といった動きも見られています。

 このような背景のもと、特定技能制度に「自動車運送業」が追加されて約1年が経過した現在、当制度が運送業界にどの程度浸透し、企業の採用モチベーションや課題がどこにあるのかといった実態を明らかにするため、Azoopはアンケート調査を実施しました。

■調査結果まとめ

 本調査の結果、運送会社の人手不足感(83.7%)と制度の認知度(96.3%)が高いにもかかわらず、「まだ何もしていない」企業が約半数を占めるという、採用への具体的な行動が進んでいない実態が明らかになりました。採用検討企業の採用動機は、日本人ドライバー採用難が約8割を占める結果となり、採用検討層・消極層ともに最大の障壁は「日本語能力や運転技術に関する懸念」でした。企業が行政や支援機関に期待するサポートについては、採用検討層と消極層ともに、「費用面での補助金や助成金」「日本語教育や日本の交通ルールに関する研修プログラムの提供」「トラブル発生時の相談対応や法的支援」を求めていることが分かりました。

 一方、採用経験企業は、特定技能外国人ドライバーの採用支援を行う登録支援機関を利用してもなお、行政や支援機関へ求めることとして「在留資格申請・入管手続きに関するより詳細な情報提供や個別相談」を挙げました。また、採用経験企業の6社中5社は採用後の大変だったこととして「既存の日本人従業員とのコミュニケーションや文化の違いへの対応」を挙げました。

 自由記述の回答では、「荷主企業の理解促進」や「国による初期教育の徹底」といった、企業単独では解決が難しい課題に対する要望が寄せられました。本制度の定着に向けて、行政だけでなく登録支援機関は今後、就業後のトラブルや生活上の課題における受け皿として、より習熟した管理体制ときめ細やかな対応が求められると考えられます。

■調査結果トピックス

①   制度認知度96.3%に対し約半数は「まだなにもしていない」

②   6割以上の企業が採用に消極的―安全性と現場摩擦

③   採用検討層のうち、約8割が日本人ドライバー採用難を理由に検討

④   検討層・消極層共に、費用・教育・トラブル発生時の支援を求める

⑤   採用経験企業が直面した手続きと現場の課題

・回答企業について

 本アンケートの回答主体は、中小・小規模の運送事業者が約8割を占めました。また、回答者の約8割が社長・役員(36.0%)または部長・課長(39.6%)といった企業のマネジメント層です。

Topic① 制度認知度96.3%に対し47.7%は「まだなにもしていない」

 調査から、回答者の83.7%がドライバーの人手不足を感じていることが明らかになりました。同時に、人手不足解消の切り札として追加された特定技能外国人ドライバー制度の認知度は96.3%と極めて高い水準です。

 しかし、この強いニーズと高い認知度があるにもかかわらず、採用に向けて「まだ何もしていない」企業が約半数を占めており、強い人手不足を感じながらも、運送会社が採用に踏み切れない現実が浮き彫りになりました。

Topic② 6割以上の企業が採用に消極的―安全性と現場摩擦

 特定技能外国人ドライバー制度への関心がない、または採用を検討しないと回答した企業が6割以上にのぼる背景には、リスクを懸念する姿勢が伺えます。採用に関心がない層が最大の障壁として挙げたのは「日本語能力や運転技術に関する懸念(66.2%)」であり、これは運送業界の根幹である安全を最優先する企業の意思が伺えます。また、特定技能外国人ドライバーを採用した経験がある企業が最も大変だったこととして、「既存の日本人従業員とのコミュニケーションや文化の違い」を挙げており、採用後の現場での摩擦が現実的な課題となっています。

Topic③ 採用検討層のうち、約8割が日本人ドライバー採用難を理由に検討

 特定技能外国人ドライバーの採用を検討する企業(35.2%※1)が採用を検討したい理由として、約8割が「日本人ドライバーの採用が困難であるため」を挙げ、圧倒的な主要因となっています。「国の制度として導入されたため、情報収集・検討を進めたい」「将来的な事業拡大を見据えているため」が10.8%、「外国人材の多様なスキルや経験を活かしたいため」という回答は2.7%でした。この結果から、現在は特定技能制度の活用を経営戦略的な検討というより、差し迫った労働力不足への対応策として位置づけられている様子がうかがえます。

Topic④ 検討層・消極層共に、費用・教育・トラブル発生時の支援を求める

 特定技能外国人ドライバーの採用を検討する層(35.2%※1)と検討しない層(64.8%※1)の双方において、行政や支援機関に求めることの上位3項目が「費用面の補助金や助成金」「日本語教育や日本の交通ルールに関する研修プログラム」「トラブル発生時の法的支援」となりました。これは、物流業界全体で採用前後のコスト投資を重く感じていることに加え、日本独自の交通ルールやコミュニケーションが採用後の運用に関わる大きな懸念材料になっていることを示しています。

Topic⑤ 採用経験企業が直面した手続きと現場の課題

 母数は少ないながら、特定技能外国人ドライバーの採用実績がある企業も、採用の過程で様々な困難に直面しています。なかでも、最も求められたサポートとして「在留資格申請・入管手続きに関する個別相談」が多く挙がりました。採用経験企業の8割以上が登録支援機関を利用している点からも、行政の手続きの煩雑さが採用時の課題であると考えられます。

※1:Topic②図参照

■調査概要

 調査主体:株式会社 Azoop

 調査方法:インターネット調査(Google フォームによる)

 調査対象:運送業界に携わっている方

 有効回答数:111 件

 調査期間:2025 年 9月 1 日(月)~30 日(火)

■株式会社Azoop 代表取締役社長 CEO 朴貴頌 コメント

 今回の調査は、特定技能外国人ドライバー制度が開始から一定期間が経過した今、その実態を客観的データとして可視化することを目的に実施しました。調査結果から、特定技能外国人ドライバー制度が広く認知されているにもかかわらず、多くの企業が採用に踏み切れていない現実が浮き彫りになりました。企業の最大の懸念は、安全に関わる日本語・運転技術の懸念であり、採用経験企業でさえ、既存の日本人従業員とのコミュニケーションや文化の違いに苦労しています 。

 特定技能制度は人手不足解消の切り札として注目されましたが、実際に「外国人ドライバーを積極的に採用したい」という声が広がるには至っていません。その背景には、現場の受け入れ体制や言語・文化の違いによる業務上のハードルの高さがあります。また、ドライバー職自体が外国人労働者側から見て魅力的に映っていないという、採用の裾野を広げても志願者が少ないという問題も残っています。こうした課題を直視しながら、制度を持続可能な形で浸透させていくためには、企業単独ではなく、行政・支援機関・業界全体での協働が不可欠です。

 物流は社会インフラそのものであり、ドライバー不足の問題は日本経済の根幹にかかわるテーマです。Azoopは本調査のように、現場の実態を正確に捉えるデータを積み重ね、行政や企業が適切な判断を行うための基盤づくりに貢献してまいります。また、トラッカーズジョブをはじめとする当社サービスを通じて、外国人材・日本人材いずれにおいても、安心して働ける環境づくりを支援し、物流業界の持続可能な成長に寄与していきたいと考えています。

■Azoopサービス紹介

 Azoopは物流専門の人材紹介サービス『トラッカーズジョブ』にて、物流業界の深刻なドライバー不足の解決に貢献します。辞められるリスクを考慮した定着課金制で、企業のニーズに合致した質の高いドライバー人材の確保を支援し、スムーズな採用をサポートいたします。本調査で浮き彫りになった人手不足の課題解消を支援することで、運送会社の安全運行と事業継続に不可欠な信頼できる戦力の確保に寄与してまいります。

■株式会社Azoop 会社概要

 所在地                    : 〒105-0012 東京都港区芝大門 2-5-5 住友芝大門ビル 5 階

 代表者                    : 代表取締役社長 CEO 朴 貴頌(ぱく きそん)

 設立                       : 2017 年 5 月 15 日

 事業内容                 : 『トラッカーズ』の各種サービス企画・開発及び運営

                    商用車流通 DX 事業「トラッカーズオークション」

                    運送業務 DX 事業「トラッカーズマネージャー」

                    人材紹介事業「トラッカーズジョブ」 など

 URL                        : https://azoop.co.jp/

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会社概要

株式会社Azoop

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URL
http://azoop.co.jp/
業種
倉庫・運輸関連業
本社所在地
東京都港区芝大門2-5-5 住友芝大門ビル5F
電話番号
03-5787-6802
代表者名
朴 貴頌
上場
未上場
資本金
18億5100万円
設立
2017年05月