日本政府、アフガニスタンにおけるポリオ根絶と予防接種強化のため、UNICEFに7億1,400万円の無償資金協力を実施
本パートナーシップは、アフガニスタンの保健分野に対する日本政府の長年にわたる支援、特にポリオ根絶という世界的な目標に向けた持続的な進展を再確認するものです。

2025年7月10日 カブール(アフガニスタン)発
日本政府は、国際協力機構(JICA)を通じて、アフガニスタン全34県におけるポリオ根絶および定期予防接種強化のため、国連児童基金(UNICEF)に対し7億1,400万円の無償資金協力を実施します。本事業は12カ月にわたって実施され、定期予防接種や全国ポリオ予防接種キャンペーンを通じて、1,300万人以上の子どもたちに命を守るポリオワクチンを提供します。
アフガニスタンの母子保健指標は依然として世界最低水準にあり、2001年から2021年にかけて5歳未満児死亡率は1,000人あたり125人から56人へ、また妊産婦死亡率は2001年から2020年にかけて10万人あたり1,273人から620人へと改善が見られたものの、保健サービスへのアクセスには依然として課題が残されています。予防可能な命に係わる疾病へのリスクは依然として高く、アフガニスタンは野生株ポリオウイルスが残る世界で最後の2カ国のうちの一つです。
2023年にはポリオの感染が再拡大し、特にアクセスが困難な地域や、移動したり国境を超えたりして生活する人々の間で免疫格差が顕著になっています。さらなる感染拡大を防ぐためには、定期的かつ全国規模での予防接種の実施が不可欠です。日本政府を中心とした支援による近年の取り組みによって、コールドチェーンの強化や全国的な予防接種率の向上が達成されました。しかし、依然として支援が届きにくく感染リスクの高いコミュニティでは、予防接種率に大きな格差が残されています。
黒宮貴義 在アフガニスタン・イスラム共和国日本国大使館大使は、「日本政府および国民は、アフガニスタンにおけるポリオ根絶の重要性を認識しています。日本は20年以上にわたり、UNICEFによる質の高い予防接種活動を継続的に支援してきました。我々のパートナーシップのもと、この度の新たな取り組みがアフガニスタン全土の子どもたちや家族の健康と生活の向上に寄与することを願っています。」と述べました。
UNICEFアフガニスタン事務所代表のタジュディーン・オイワレは、「アフガニスタンにおけるポリオ根絶は、今や手に届くところまで来ています。日本政府とのパートナーシップ、そして日本国民の皆様の寛大なご支援が、アフガニスタンの子どもたちにとってこの重要な節目の実現を後押ししてくれることでしょう。本資金協力により、最も支援が届きにくい人々に質の高い予防接種サービスを提供することが可能となり、同国におけるポリオ根絶に大きく貢献することことを確信しています。」と述べました。
本事業は、アフガニスタンのポリオ根絶プログラムに沿って、今後12カ月間で全34県において約1,330万人の5歳未満児に予防接種を実施し、十分な集団免疫を確立することで、野生株およびワクチン由来のすべてのポリオウイルスの感染を断ち切ることを目指しています。
日本は20年以上にわたり、アフガニスタンにおけるUNICEFの主要なパートナーとして、従来型ワクチン(BCG、はしか、B型肝炎、ポリオ)の調達支援、コールドチェーン・システムの強化支援、予防接種事業に対する技術支援を行ってきました。
この度の7億1,400万円の新たな資金協力は、2025年に予想されるワクチン供給の深刻な不足を補い、人的資源を強化することで、UNICEFが最も支援が届いていない地域において、質の高い予防接種サービスを提供し続けることを可能にします。日本政府および国民の皆様のアフガニスタンの子どもたちに対する継続的なご支援に、心より感謝申し上げます。
■ UNICEFについて
国連児童基金(UNICEF)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190以上の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。
※UNICEF国内委員会が活動する32の国と地域を含みます
※UNICEFの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■ UNICEF東京事務所
UNICEF東京事務所は、ニューヨーク本部直轄の国連機関事務所として、日本政府からの政府開発援助(ODA)による資金協力や、国会議員、国際協力機構(JICA)、非政府組織(NGO)等との連携を促進しています。
すべての画像