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独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
会社概要

高感度光検出型のメンタルヘルスケアチップの開発【産技助成Vol.62】

独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
独立行政法人産業技術総合研究所


ストレスや過労の指標となるカテコールアミン類(注1)を
簡便、迅速、高感度に検出できる光検出型センシングシステムを開発。
過剰なストレス負荷やそこから発症する鬱病等の疾患を
未然に防ぎ、QOL(注2)の向上に寄与。
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【新規発表事項】 
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)の産業技術研究助成事業(予算規模:約50億円)の一環として、独立行政法人産業技術総合研究所の研究員、福田 伸子氏は、ストレスや過労の指標となるカテコールアミン類を簡便、迅速、高感度に検出できる光検出型センシングシステムの開発をしました。
 専門家でなくても容易にカテコールアミン類を定量的に計測できるシステムの開発により、現代の社会環境の中で多くの人々が抱えている過剰なストレス負荷や、そこから発症する疾患を未然に防ぎ、QOLの向上に寄与します。
本技術は、カテコールアミン類と選択的に結合し蛍光誘導体を形成する物質がコートされたセンサーチップによりカテコールアミン類を蛍光検出することができます。光導波モード(注3)発振時に起こる電場増強効果(注4)を利用して、酸化シリコンで作製された光導波路表面に存在する10-15mol(f(フェムト)mol)レベルの極微量のカテコールアミン類の蛍光検出を可能にします。


(注1) カテコールアミン類とは、神経伝達物質やホルモンとしての役割を持つ生体アミンを指し、ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリンが存在する。血中、尿中のカテコールアミン濃度とストレスとの関係が指摘されている。
(注2) Quality of lifeの略。人の生活の質を計る尺度。
(注3) 光導波モードとは、光導波路と呼ばれる光の伝送路を通じて光を伝送させる方式のこと。光通信の分野ではすでに広く利用されているが、最近ではバイオセンシングの分野での利用も盛んに研究されている。
(注4) 電場増強効果とは、光導波モードが起こっているときに光導波路表面(図1のシリカの表面がこれに該当する)の電場強度が著しく増強される現象のこと。光導波路(図1だとシリカ層)の表面では、入射した光のエネルギー強度が何十倍にも大きくなる(電場増強される)。電場増強の度合は、シリカ表面が最も大きく、シリカから離れていくに従って(膜厚方向へ行くに従って)急激に減衰していく。


1.研究成果概要
少子高齢化による労働人口の減少が危惧される中、年間3万人を超える人々が自殺しているという異常な状況が続いています。生活の中で受ける様々なストレスを、どこでも・いつでも・だれでも・簡便に計測できれば、ストレス・マネージメントにより鬱病等の疾患を減らし、生活の質の向上のみならず、労働人口減少への対策も可能となります。そこで、私たちはストレス関連物質として知られるカテコールアミン類に注目しました。
神経伝達物質やホルモンの役割を担うドーパミンやアドレナリン、ノルアドレナリンはカテコールアミンと呼ばれ、生体中に存在しています。血中あるいは尿中のカテコールアミン濃度とストレスや疲労度との関係性は従来から指摘されており、ストレス測定の観点からのカテコールアミン計測の重要性も高まっています。
現在のカテコールアミン類分析法は、主に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法と蛍光ラベル化あるいは電気化学測定を組み合わせた方法で行われていますが、分析のための前処理や解析が煩雑であるため、重篤な疾病の診断・治療時に用いられるに止まっています。そこで、スライドガラスのような基板(チップ)上でカテコールアミン類を蛍光検出し、メンタルヘルス(精神衛生)ケアの場で利用できるシステムの構築を目指すべく、チップの設計、高感度化、多検体一括分析といった課題を挙げ、研究を進めてまいりました。
その結果、光導波モードを利用した技術を導入することにより、チップ表面で1.5 fmolという極微量でのカテコールアミン蛍光検出に成功しました。また、2500点/cm2の集積密度でカテコールアミン蛍光誘導体をパターニングすることに成功し、64点程度を同時に蛍光検出することができていることから多検体を一括で蛍光検出することができます。


2.競合技術への強み
(1)分析時間の大幅短縮:本システムでは多サンプル一括の分析が可能なため、分析時間の大幅短縮が可能です。
(2)操作の簡便性:操作技術を習得しある程度の専門知識が必要な従来法に対し、本システムではチップ上にサンプル液を垂らし、蛍光強度を見るだけの簡便な方法です。
(3)高感度検出:従来法と比較して、1桁以上の高感度検出が可能です。
(4)確度:従来法はカテコールアミンの種類をも分画(注5)できる優れた方法ですが、本システムでは分画能はありません。しかしながら、ストレスや疲労度の簡易検出という点においては、カテコールアミンの種類を分画することは必須条件ではないと考えられます。検体中のカテコールアミンとともに混在する夾雑物質(注6)による誤検出を防ぐ対策が今後の課題です。


(注5) 分画とは、混合物を、それを構築する成分に分けること。
(注6) 夾雑物質とは、カテコ-ルアミンの検出において誤検出の元となる余計なもののこと。


3.今後の展望
基板表面でのカテコールアミン検出にとって重要なことは、カテコールアミン認識能の向上と夾雑物質の除去です。現状は基礎~応用研究の段階といわざるをえないので、今後は大学や企業の研究者と共同しながら認識能の向上および夾雑物質によるノイズ軽減に寄与する表面修飾あるいは表面改質を行い、光導波モードを用いた高感度測定と組み合わせてカテコールアミン検出確度および感度をアップしていきます。また、装置の小型化にも注力し、実用化を目指します。


4.参考
成果プレスダイジェスト:産業技術総合研究所 福田 伸子氏

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種類
その他
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URL
http://www.nedo.go.jp/
業種
製造業
本社所在地
神奈川県川崎市幸区大宮町1310番 ミューザ川崎セントラルタワー16~21階
電話番号
044-520-5100
代表者名
村田 成二
上場
未上場
資本金
-
設立
-
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