東京おもちゃ美術館、医療的ケア児向けの「遊びプログラム」を提供。入院児や在宅ケア児の暮らしをより楽しくする「時間・空間・仲間」をおもちゃコンサルタントが届けるためのクラウドファンディングを開始。
「病気だって遊びたい!」医療的ケア児と家族に笑顔の輪を広げよう
東京おもちゃ美術館や福岡おもちゃ美術館を運営する認定NPO法人芸術と遊び創造協会では、医療的ケアが必要な子どもたちの毎日を支えるためのクラウドファンディングを本日開始しました。
遊びのスペシャリスト「おもちゃコンサルタント」が、病児とその家族の毎日がより楽しくなるようプログラムを届けるための挑戦です。
<実施主体>認定NPO法人芸術と遊び創造協会・東京おもちゃ美術館
<目標額>200万円
<具体的な活動>
・在宅ケア児に向けたオンラインでの遊び時間
・小児病棟へのおもちゃコンサルタント派遣
・病児の遊び環境を考えるセミナーの開催
<募集期間>8月5日から9月20日まで
<URL>https://readyfor.jp/projects/act-toys-2024
(1)社会的背景
~増加する医療的ケア児。制限の多い日常生活~
自宅で、人工呼吸器やたんの吸引器などを装着したまま生活を続ける医療的ケア児と呼ばれる子どもたち。年々増加しており、
在宅で生活している全国の医療的ケア児は令和3年時点で約2万人にのぼると推計されています*1。
さらに様々な疾病を抱え、治療を受けながら生活している「病児」も全国で12万人にのぼるとの報告があります*2。
*2:厚生労働省「小児慢性特定疾病児童とその家族の支援ニーズの把握のための実態把握調査の手引き書」
これらの医療的ケア児や病児、その家族に対して、行政などによる支援が行われています。しかし、とはいえ、その生活に制限が多いのが現状です。子どもたちにとっても様々な経験をする機会や、行動範囲が制限されるなどの課題を抱えています。
(2)活動内容
~病気だって遊びたい!を可能にする遊びのスペシャリストによる支援~
特に様々な経験が不足しがちな病児にとって、自宅や入院先の病院など身近な場で「遊び」の機会を得られることは、日々の生活を楽しく、豊かに過ごすことにつながるのではないかという思いから、病児の遊び支援活動を始めて35年になります。
小児病棟を中心に首都圏10の病院におもちゃコンサルタントを遊びボランティアとして派遣を行っていました。国立成育医療センターでは「おもちゃライブラリー」という専用ルームを運営し、その子の症状に寄り添った遊びの提供を行い続けてきました。
おもちゃ美術館の休館日に、在宅の難病のお子さんとご家族の方々をご招待し、貸し切りで遊んでいただくイベント「スマイルデー」も開催し、たくさんの遊びのプロとともに、安心して楽しんでいただける機会となっています。
病院向け移動ミュージアム「ホスピタル・トイ・キャラバン」も全国で活動を展開し、福島県、長野県、奄美大島、沖縄県など全国津々浦々の病院とその家族に遊びの空間を届けました。
コロナ禍で始めたオンラインでの遊びの提供や、少しずつ復活しつつある病院での遊びボランティア、支援者に遊びの重要性を伝える学びの場の提供など、これからますます求められるであろう活動を提供し続けるため、私たちは今回、活動資金の一部をクラウドファンディングで募ることにしました。
また、今年度で19回目を迎える公開セミナー「病児の遊びとおもちゃケア」では、毎回質の高い講演や活動報告をいただき、参加者も一緒におもちゃで遊んだり、身体遊びに興じたり、参加者同士での交流も盛んに行われています。
(3)寄付を通じて実施する活動
目標寄付額は200万円です。遊びのスペシャリストである「おもちゃコンサルタント」たちの力によって、下記の内容を実施したいと考えています。
●在宅ケアを続ける家庭への遊び支援 毎週オンラインでみんなと遊ぶ
おもちゃコンサルタントたちが、週に1度遊びの時間を設けます。現在の運営を継続開催しながら、この活動をまだ知らないご家族に情報を届け、参加していただくためのチラシ作成や広報活動も行います。
●小児病棟への遊びボランティア派遣
ベッドサイドや病棟内プレイルームへ、一緒に遊ぶおもちゃコンサルタントが出向きます。病院ボランティアをコーディネートし、活動費用や交通費を当協会が負担することで、この活動を推進していきます。
●公開セミナーの開催
病児に関わる様々な立場の方々が一堂に会し、病気の子どもの生活がより豊かになるように、病児の遊びや環境について考える公開セミナー「病児の遊びとおもちゃケア」を開催します。2006年に初開催し、2025年には第19回を迎えます。
日時:2025年3月9日(日)
会場:国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都)
(4)代表メッセージ
~私たちが病児の遊びに取り組む理由とこれまでの歩み必要な理由~
本来、子どもは遊びの天才です。2、3歳児が砂場での遊びに打ち込む姿や、人形やぬいぐるみとコミュニケーションをとる姿には、子どもならではの感性や想像力の豊かさがみなぎっています。学習と同様に、子どもにとっての「遊び」は多くの体験と経験を与えてくれます。
だからこそ、健康であるか否かによって遊びの量と質が著しく低下することは、一度しかない子ども時代を生きる幼児にとって、その後の成長に少なからず影響を与えることにもなりえるのです。
遊びの量と質の低下を最低限に食い止めるために、特に病児や障がい児に関わる私たちは配慮する必要があるのではないでしょうか。
今から35年ほど前に、国立小児病院の看護師を対象に手作りおもちゃの研修会を実施したことが芸術と遊び創造協会の「病児の遊び支援」の歴史の始まりとなりました。
そして、東京都清瀬小児病院での遊び支援ボランティア活動の開始をきっかけに、全国16ヵ所の小児病院での活動へとつながり、病院向け移動ミュージアム「ホスピタル・トイ・キャラバン」の展開や、今年度で19回目を迎える公開セミナー「病児の遊びとおもちゃケア」の開催など、活動の幅を広げました。
また2020年にコロナ禍に入った直後には、いち早く活動の場をオンラインへと切り替え、在宅ケアを必要とする子どもたちに「オンラインおもちゃの広場」を通して遊びを届け続けてまいりました。
芸術と遊び創造協会は、こうした社会的活動によって、どんな状況でも繋がり合うことの大切さと、遊びによる支援を持続可能な事業として止めないことの重要性など多くのことを学びました。
決してゴールのある活動ではありません。これまでの活動を振り返り、これからの10年へ向けて歩むことが出来ますよう、ご支援をいただきたく思います。
認定NPO法人芸術と遊び創造協会 理事長
東京おもちゃ美術館 館長
多田 千尋
(5)これまでの活動実績
芸術と遊びの専門機関として
私たち認定NPO法人芸術と遊び創造協会は、「人間が初めて出会う芸術は、おもちゃである」というフィロソフィーを大切に、60年以上にわたり「芸術」と「遊び」による社会貢献活動の実現を目指してきました。
|多世代交流型ミュージアム「おもちゃ美術館」の運営
新宿の旧校舎を活用し運営する「東京おもちゃ美術館」、博多にできた超大型商業施設で運営する「福岡おもちゃ美術館」を自主運営しています。五感を刺激するおもちゃを展示し、乳幼児から高齢者まで多世代に向けて豊かな遊び体験を提供しています。そしてその輪は全国12館の姉妹おもちゃ美術館に、ひろがっています。
全国のおもちゃ美術館:https://art-play.or.jp/area/
|遊びのスペシャリストの養成
おもちゃをよりよく知り、おもちゃを見る確かな目を育てる日本で唯一の総合的なおもちゃ講座「おもちゃコンサルタント養成講座」を開講し、遊びとおもちゃの専門家も育成しています。
開講30年の歴史を持ち、全国で6000名以上の取得者が活躍しています。その活動は、保育・幼児教育の現場、優良おもちゃに関心のある消費者へのアドバイザー、おもちゃの製作・販売、小児病棟や高齢者福祉施設での社会貢献など、多方面に渡ります。
病児ケアにおける「おもちゃコンサルタント」の存在は、心を育てる栄養を高める役割が期待できます。おもちゃは単なる時間つぶしの道具ではなく、コミュニケーションのツールです。そのことを、一緒に遊びながら伝える役目を持つのが「おもちゃコンサルタント」なのです。
おもちゃコンサルタント養成講座:https://artplaylab.jp/toy/consultant.html
(6)詳細について
クラウドファンディングのページには、小児科医からのメッセージ、難病児の親の会からの応援コメントもございます。ぜひご覧ください。
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